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院長コラム

スキンケア

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 

 あっという間に一年で最後の月になりました。今月の一大イベントはなんと言ってもクリスマスですよね。サンタさんからのプレゼントを子どもたちは大変楽しみにしていることでしょう。うちの娘はまだプレゼントが決まっておらず、おもちゃ売り場に行ったりしてせかしています。

今春、私のクリニックの隣にあるげんき夢こども園に子育て支援センター「流れ星」がオープンしました。このセンターで今秋、昭和町で開業している大竹皮フ科クリニックの大竹直人先生(皮膚科専門医)による「こどもの皮膚について」の講話が開催されました。今月は参加して下さったお母さん方と一緒に、私も聴講してきましたので、その内容を皆さんにお伝えいたします。

保湿剤の塗り方

 生後1か月まではテストステロン(男性ホルモン)の分泌が盛んで皮脂は保たれますが、生後2か月以降はテストステロンの分泌が低下、皮脂の分泌が減り、表皮の一番外側の角層から水分が蒸発し、皮膚バリア機能が低下してきます。皮膚が乾燥した状態いわゆるドライスキンになり、角層が剥がれてすき間ができ、外からの刺激を受けやすくなり、湿疹や皮膚炎、細菌・ウイルス感染症にかかりやすくなります。このドライスキンは思春期に入るまで続くため、小児期は冬だけでなく、年間通じて保湿剤を使用して、皮膚を守ることが大切です。

 保湿剤は皮膚の水分が逃げないように「ふた」をしたり、皮膚に水分を与えたりする役割をしています。皮膚に潤いのある入浴後5分以内に塗ると効果的です。入浴後でない場合は、保湿剤を塗る前に皮膚を軽く湿らせておくと十分な保湿効果が得られます。塗り方は手のひらを使って、こすらずに優しく塗りましょう。ワセリンなどは寒い時期、硬くなるので手のひらやこたつの中に入れたりして温めてから使ってください。種類について夏はローションなどのさっぱりとした使用感の良いものを、冬はクリームや軟膏の皮膚を覆う効果に優れたものを選ぶとよいでしょう。くちびるが荒れる場合はワセリンをつけて対応するのがお勧めと母親からの質問に答えていました。

体の洗い方

 石けんをよく泡立てて、その泡で洗うことが大切です。お湯だけで洗うだけでは、皮膚の表面の雑菌や汚れが十分に落ちません。タオルやスポンジを使うと皮膚を傷めるため、素手で爪を立てずに指の腹を使って洗うことをお勧めします。強くこすると皮膚を傷めるため気をつけましょう。アカスリは皮膚を傷めるだけなのでやめましょう。

 泡立て方はペットボトルに少量の液体石けんとお湯を入れ、上下に振ってよく混ぜます。案外楽しいものなのでお子さんと一緒にやってもいいかもしれません。また、少しお湯をつけた泡立てネットを使って固形石けんまたは液体石けんをつけ、ネットをもみながらよく泡立てる方法でも構いません。石けんは添加物などが入っていないもので構いません。お湯の温度は高温ではなく、ぬるま湯の方がかゆくならずに済みます。入浴後は皮膚がまだ濡れていて、潤いがあります。入浴後(5分以内が効果的)すぐに、保湿剤を塗ると保湿効果が高まります。入浴時にはお子さんの皮膚の様子を観察することが大切であることも強調していました。

保湿剤の塗り方の動画(https://www.maruho.co.jp/hoshitsu/)と体のあらいかたの動画(https://www.maruho.co.jp/araikata/)があります。短時間ですのでどうぞ参考にしてください。

こどもの皮膚の病気

 こどもで多いアトピー性皮膚炎は東南アジアにはあまりいない病気です。日本は生活水準が高くなったことで、きれいになり、細菌・ウイルスが減った環境になったことも一因であるといわれています。上記に述べたスキンケアがとても大切であり、赤くなった所にはステロイド軟膏を塗ってよくすることが治療方針になります。ステロイド軟膏の副作用は皮膚が薄くなり、毛が多くなるなどがありますが、診察時確認をするので安心して使用してください。服はタグが刺激になるので取り外しましょう。また柔軟剤でかぶれることもあるので注意してください。

 そして、虫刺されは蚊が若い血を好むので子どもが刺されやすいこと、予防は長そで長ズボンで皮膚を覆うことがお勧めだそうです。また、尋常性疣贅(イボ)はスイミングスクールで足の裏をきちんと洗わないとうつってしまうとも話してくれました。

以上が講演の要旨です。講演では質問も多く、優しく丁寧に返答してくださっていた姿が印象的でした。そして、参加したお母さん方は疑問点が解決して満足そうな表情でした。わかりやすい講演をありがとうございました。

本格的な寒さがやってきました。今シーズンのインフルエンザは近年になくゆっくりと到来し、年明けから流行が始まってきました。学級閉鎖のニュースも入ってきています。また小さなお子さんがかかると重症化しやすいロタウイルスによる胃腸炎も流行してきます。お子さんの体調管理にご注意ください。

新年2日、自分の子どもの応援で甲府市里垣地区新春マラソン大会に行ってきました。当日参加ができたため、40歳代男子の部(4km)で走りました。結果は23分27秒。少し無理しながらも走りきり、ケガすることなく無事完走できました。学生以来のマラソン大会参加はとても楽しかったです。応援以上に参加する醍醐味を味わいました。

また、8日にはコラニー文化ホールで開催された小出裕章さんの講演会「子どもの未来のために知ってもらいたいこと」を聞きに行って来ました。小出さんは原子力の専門家であり、福島第一原子力発電所の事故や放射能に関しての話でした。今後、私たちが生活していくうえで知っておくべき大事な事を教えていただけました。今回の原発事故での放射能の広がりを考えると、山梨の近くには、新潟県や静岡県に原子力発電所があり、他人事ではないことを思い知らされました。

 

乾燥注意報での対応法

 今シーズンは雨が少なく、例年以上に乾燥が続いているそうです。子どもの肌は大人と比べ乾燥に弱く、カサカサな肌になりやすいです。ひどくなると赤く盛り上がってきて湿疹になり、かゆみを伴い、さらにひどくなると掻いて血が出ます。対策としては、保湿剤の使用が一番大切です。保湿剤はお風呂上がりに肌が潤いのあるうちに塗って下さい。よく皮膚を掻いてしまうお子さんの場合は爪を切っておき、睡眠時は手袋を使用し爪で掻かせない工夫も一法です。湿疹になると、保湿剤だけで治らず、ステロイド軟膏を使用すると1~2日で治ってきます。ステロイド軟膏を短期間使用することでは副作用を気にする必要はありません。かゆみがひどい場合は抗ヒスタミン剤を飲むこともお勧めです。

 もう一つ、インフルエンザウイルスは寒くて乾燥している環境を好みます。加湿器を利用し部屋の湿度(50~60%)を上げると、インフルエンザウイルスに罹患しづらくなります。

 

被災地へ

昨年4月、医療ボランティアに参加して以来の被災地訪問でした。年末年始を利用して2か所に訪れました。1か所目は岩手県山田町。私の妻が昨年5月に保育士と一緒に、避難所の子どもたちに保育ボランティアをさせていただいたときに、たいへんお世話になった山田町の保育園園長と再会をしました。その園長は保育園が高台にあったため園舎は被災せず、そのため地域の避難所になり、責任者としてたいへんなご苦労をされました。3・11直後はトイレがなく、裏庭に穴を掘って便所代わりにしたこと、電気がなくロウソクで生活をしていたこと、全国から自衛隊・警察・ボランティアの多くの助けや支援物資のおかげでたいへん勇気づけられ、感謝していることを聞いてきました。避難所生活が一緒だった男性も再会に駆けつけていただきました。この方は家も流され、お兄さんも津波で流された境遇でありながらも、前向きに生きている姿を私たちに見せてくれました。

2か所目は宮城県気仙沼市。病院へ医療物資を届けに行きました。この病院は津波が押し寄せ、1階部分が壊滅的な状態になりましたが、現在は補強工事を終え病院診療を続けていました。

 また、山田町から気仙沼市に行く途中、多くの犠牲者がでた南三陸町の防災対策庁舎を訪れました。この庁舎では津波が来ることと高台に避難することを放送し続けていた役場の多くの方が津波に流された所でした。現在は庁舎の鉄筋部分だけが残っていて、たくさんの献花や折鶴があり当日も多くの方が焼香に訪れていました。

今回、何人かの被災者と話を聞く貴重な経験をさせていただきました。皆さんが前向きに生きていること、全国からの支援に感謝をしていることを肌で感じてきました。復興は少しずつ進んでいるようですが、まだまだがれきの山がたくさんあり、壊れた建物がまだ撤去されていない所も多々ありました。多くの仮設住宅もあって、以前の暮らしに戻る日はまだまだ先のように思えました。今後も自分のできる範囲での関わりを持っていくつもりです。

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