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院長コラム

メイク・ア・ウィッシュ

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

桜が終わりハナミズキが咲き新緑あふれる季節です。うちの庭の芝生も緑が深まってきました。4月から新生活が始まりようやく慣れてきた頃と思います。

先月、うちの保育園の研修会で、「メイク・ア・ウィッシュ」の事務局長である大野寿子さんの講演会を聞く機会がありました。皆さんにもこの活動を知っていただきたいので今月はこのお話を取り上げます。

 

メイク・ア・ウィッシュって?

「メイク・ア・ウィッシュ」とは「願い事をする」という意味で、難病と闘う子どもたちの夢をかなえるお手伝いをしているボランティア団体のことです。夢をかなえることで子どもたちに生きる力や病気と闘う勇気を持ってもらおうと設立されました。国際的な団体で1980年にアメリカで発足し、今では世界28か国にまで広がり夢をかなえた子たちは12万人を超えました。日本では発足して20年が経ち、2000人以上のお子さんの夢をかなえてきました。

この講演を聞き、私は小児科医になって最初の4年間、難病の子たちの治療に携わってきたことを思い出しました。その頃の私は未熟でしたから子どもの細い血管に点滴・採血をするだけで悪戦苦闘の毎日で、診察・カルテ書き・コンピューターの入力などの仕事に朝から晩まで追われていました。やりがいがある一方、難病のためお子さんが亡くなるという切ない経験もしました。最近は少なくなりましたが、その当時の苦い経験を思い起こし悪夢を見ることもあります。ただ今振り返ると、携わるスタッフのストレスと比較できないほど難病のお子さんやそのご両親・兄弟の不安や辛さは大きいものだったと思います。

 

活動の紹介

 皆さんは子どもの頃どんな夢がありましたか?「野球選手になりたい。パティシエになりたい。保育士さんになりたい」と多くの子どもたちは夢を持ちます。しかし、難病の子どもたちは長い闘病生活の中で「あれをやりたい」「これをやりたい」と言っても、そのたびに「病気が治ったらね」「元気になったらね」と言われ夢見ることをあきらめたり、つらい治療が続きうれしいことや楽しいことを忘れてしまいがちになります。そんな難病を抱えた子どもたちひとりひとりに「君の夢はなんですか?その夢をかなえるお手伝いをしますよ」と問いかけ、夢の実現をお手伝いするのが「メイク・ア・ウィッシュ」です。

 メイク・ア・ウィッシュが夢のお手伝いをしたのは、ディズニーランドに行ったり、イルカと一緒に遊んだり、自宅に帰ったりと多種多様でありました。そして夢が実現した子どもたちはひとまわりもふたまわりも大きく見えるほど、堂々として誇らしげになるのだそうです。この夢実現へのステップで親が病気になった子どもに対して自分を責めたり兄弟に迷惑や心配をかけている気持ちばかりであったのが、少し整理され前向きに人生を歩んでいこうと変わってくるそうです。夢の実現はゴールではなく、新しい夢へのスタートラインになっていくようです。

  「絵本を作る」夢をかなえた12歳の女の子のお話をします。内容は動物たちが力を合わせて宝物を探しだすというストーリーで、動物たちは宝物の箱を見つけ出しますが、中は空っぽでした。大切なのはみんなで力を合わせることであり、そういう仲間がいることだと締めくくられています。題は「いちばん大切なもの」でこれまでに2万冊近く売れました。さらに本人が病気と闘っている子どもたちに「つらいのはきみひとりだけじゃないよ、元気を出してほしいから。」とプレゼントしたそうです。その女の子は絵本ができる前日に旅立ったそうです。この本はクリニック・保育園でも購入しました。皆さんもぜひ手に取っていただきたいと思います。

 

最後に

今回の講演の中で「頭を鍛えるには勉強をする、体を鍛えるには運動をする、心を鍛えるにはボランティアをする」という話が心に残りました。自分のボランティア経験は被災地への医療活動の経験があったぐらいで、ボランティアで心を鍛えることを知り、これから積極的にボランティアに挑戦したくなりました。子育て中でも、ママ友に声をかけ互いの子育てを励ましあったり、手を貸したり、席を譲ったりということは立派なボランティアといえます。自分の人生の中でボランティアをする心の余裕を持ちたいですね。

私も含め、げんき夢保育園ではスタッフと園児さんがメイク・ア・ウィッシュのTシャツ・トレーナーを購入し活動を支援しています。

 

参考文献

メイク・ア・ウィッシュの大野さん 大野寿子 メディアファクトリー

 

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