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院長コラム

病児保育

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

今年の夏は本当に暑かったですね。私は夏休みに大阪に行って、甲子園で行われた全国高校野球大会の観戦をしました。礼儀正しい高校球児が全力で野球をしている姿を見てとても感動しました。
 今月は、ちびっこぷれすの中で何度か取り上げてられている「病児保育」についてお話したいと思います。私と園長で7月の連休に行われた「第20回全国病児保育研究大会」に参加しました。全国各地で精力的に行われている病児保育のスタッフからいろいろなことを学び、親睦を深めてきました。病児保育はまだまだ発展途上の分野であり、社会全体で理解を深めなければいけないと感じました。

 

病児保育のはじまり

病児保育室は、40年前、大阪府枚方市で始まりました。保育所の父母とそれを受け止めた小児科医・自治体単独事業として認めた行政の3者がうまく機能したことで今でも続けられています。ここをきっかけに近隣自治体から全国へ広がりました。現在、県内でも病児保育・病後児保育が徐々に増えてきています。

 

病児保育って何ですか?

病児保育は、一般的に保育園や幼稚園に通っている子どもが病気にかかり、集団保育が不可能な場合に、その子どもを預かることを言いますが、正式には全国病児保育協議会により「病児保育とは、単に子どもが病気のときに保護者に代わって子どもの世話をすることを意味しているだけでなく、病気にかかっている子どもに、子どもにとって最も重要な発達のニーズを満たしてあげるために、 専門家集団(保育士・看護師・医師・栄養士等)によって保育と看護を行い、 子どもの健康と幸福を守るためにあらゆる世話をすることである」と定義されています。子どもが病気にかかると親は不安になります。その際経験豊富な専門家が全面的にサポートしていくものです。

 

病児保育に携わって

昨年9月からげんき夢保育園が主体で、保育園の保育士が中心となり、食事は栄養士が個別に対応し、クリニックの看護師がサポート、そして小児科医である私も関わり実施しています。初めは場所や人に慣れないで泣いていた子どもも保育士になれて、楽しそうに遊んでいます。現在の利用人数は平均1~2名程度で、アットホームな感じで対応しています。利用されたご両親から感謝の言葉を聞くと、存在意義を感じます。病児保育を上手に利用すれば、子どもの安静が保て親の不安も軽減できるのではと思っています。

 

問題点はまず2つ

1つ目は「病気のときぐらいは親(特に母親)がみるべき」と考えている社会の冷ややかな目です。祖父母などがサポートしてもらえたらありがたいのですが、すべての家庭がそうであるとは言えません。毎回、病児保育を利用した方がいいと言っていませんが、「困ったら病児保育がある」という安心感が子育て中の両親には必要ではないかと思います。子育ては親だけでできるものではなく、社会全体で子育てを行うべきものです。皆さんに病児保育の存在意義をわかっていただきたいと願っています。

2つ目は、経営的な問題があります。病児保育があまり広がらないのは病児保育に対する補助金が少なく、多くの病児保育施設が赤字経営であることです。保護者からの声は多くありニーズを感じますが、現状の補助金の制度では毎年変動があり、安定経営が心配されます。

今後、共働き世帯が増えていく中、女性が出産・育児をしながら、安心して仕事も続けられるようなしくみを私たち一人一人が考え、声を上げていく必要があるのではないでしょうか。

 

あとがき~お子さんはビタミンKを飲みましたか?~

先々月、山口市の助産師が出産を担当した女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促している「ビタミンK」を与えず、その女児が頭蓋内出血のため生後2か月で死亡したというニュースがありました。ビタミンKは血液凝固に関与するもので、新生児や乳児はビタミンKが充分にないため、出産直後、1週間後、1ヶ月後の計3回、ビタミンKが入ったシロップを飲んで出血予防をしています。お子さんが飲んだかどうかは母子手帳に記載されていますので確認して下さい。

 

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