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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 

 まだまだ暑い日が続きますね。子どもたちは夏休みが終わり、園や学校に行き始め、やっと通常通りの生活がやってきたとホットしている親御さんは多いと思います。我が家の夏休みは県外にいた大学生3人がバラバラと帰省し、子どもたちの学校や友達の話を聞き、各々の成長を親として感じることができました。日頃あまり遊ぶことのない年の差の娘はプールや科学館へ兄に連れて行ってもらい、楽しい時間を過ごすことができました。

 今回、千代田区立麹町中学校長工藤雄一先生の著書「学校の当たり前をやめた」という本をもとに、みなさんの子どもが通う「学校」について考えたいと思います。教育に関しては専門家ではない私ですが、かかりつけ医として「不登校」等のお子さんと接することがあるので、教育と医療の連携を痛感させられることが多々あります。著者の工藤先生は「定期テスト廃止」「宿題廃止」「クラス担任制廃止」など、数々の大胆な改革を行い、生徒・教員・保護者までもが主体性を発揮し、生き生きとした教育活動を展開しています。

 

宿題廃止!

 全国ほとんどの学校で宿題を出すのが当たり前だと思っています。一般的に宿題の意義は「子どもの学力を高めること」「学習習慣をつけること」であると言われています。工藤先生は学力を高めていくには、自分が「分からない」問題を「分かる」ようにするプロセスが大切で、宿題を出すのであれば「分からないところをやっておいで」が大切であると言っています。

漢字の書き取りテストで間違えたところを1文字につき20回書くことが宿題となれば、「へん」だけを先に20回、その後に「つくり」を20回埋めていく「作業」をする人もいて、その時に「作業」を淡々とこなす際の脳はほぼ思考停止状態になっているそうです。この時「やらされている」気持ちだけになり、早く終わればいいとしか思っていないようです。これで学力を高めることができているかは疑問です。学習は「できない」問題を「できる」ようにするプロセスでないと意味がないようです。こういった考え方から日頃の宿題も夏休みの宿題も廃止したそうです。宿題を全廃したことで最も喜んだのは受験を控えた中3の生徒たちで、自分にとって重要ではない非効率な作業から解放されたからだそうです。

子どもの中には朝から夕方まで学校で活動し、帰宅後宿題に追われてしまい、疲れ果てている子も少なからず見受けられます。宿題に時間がかかる場合は担任の先生と相談し少なくしてもらう工夫も大切ではないかと思います。

 

学校は何のためにあるのか

 工藤先生は「学校は子どもたちが社会の中でよりよく生きていけるようになるために学ぶ場所である」と本の中で何度も書いてありました。「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する」つまり「自律」する力を身に付けさせていくことだと言っています。大人が先回りをして、手を掛けすぎて育てられた子どもの多くは自律できず、自分で解決できない場合は他人のせいにしがちになるそうです。本来の学びとは、自分で分からなければ調べたり考えたり、それでも分からなければ聞くことが大切です。社会に出れば、物事を解決するときには対話→発信→受け取る→合意形成を行うことと同じだと述べています。

 日々の子育てではなるべく失敗しないようにと親は手を出しがちで、学校ではお子さんのテストの点数がよければいいと思いがちですが、「自律する」ということにもっと目を向けないといけないことに私自身も気づかされました。

 現場で働く教師の方々もこれらのことを理解しているものの、前例主義の前ではやれることも限られているのかもしれません。工藤先生は学校を良くするには校長や教員だけでなく、保護者も地域住民も「学校を良くするために、自分たちは何ができるか」という視点を持つ必要があると述べています。つまり、私たち保護者もお願いするだけではなく、共に連携することが大切であることを気づかされました。

 

2学期を前に

 楽しかった夏休み明けは特に園や学校へ行くことにすぐに慣れずに、頭痛や腹痛を訴えるお子さんがいます。私のクリニックにも相談に来ます。「なまけ癖がつくと困る」等と言ってお子さんを無理やり学校に行かせないでください。子どもは学校に行きたいという気持ちはあるものの、行けない状況になっているのだと理解して下さい。子どもの話をしっかりと聞き、遠慮せずに担任の先生や校長先生に相談をしてみて下さい。それでも難しければ、医療機関に相談をしてください。決して親子だけで悩まないでください。サポートしてくれる人は必ずいます。

 

参考文献

学校の「当たり前」をやめた。時事通信社 工藤勇一

 

 今年は例年になく、梅雨が長く続きました。本格的な夏が始まると熱中症の報道が多くなります。体調を崩さずに花火大会・海や山へ出かける夏を楽しんでくださいね。うちは例年通り花火大会の予定を立てて、合わせて大学生の息子たちが帰ってくるので家で出迎えたいと思っています。

ところで『ヘアードネーション』って言葉知っていますか?小児がんや先天性の脱毛、不慮の事故などで頭髪を失った子どもたちのために、寄付された髪の毛でウィッグ(かつら)を作り無償で提供する活動で、いくつか活動している団体があります。実はうちの妻が最近この活動をしていて、2回目の寄附をしました。31㎝以上の髪の寄附で、フルウイッグができるのですが、15㎝以上でも髪の毛付インナーキャップウイッグが作成できるということで受付している団体もあります。うちの長女も昨年度協力しています。子ども用のウィッグは高価(30~50万円)であるため家計の負担がかかります。こうした試みが広がってくることを期待します。

 先月、昭和大学小児科教授池田裕一先生の講演会でトイレトレーニングについて専門家からのお話を聞いてきましたので皆様にお届けします。

 

始める時期は?

 トイレトレーニングを開始する時期は一般的には2~3歳がお勧めです。2歳前に開始すると、体に無理な負担をかける可能性があり、おむつ外れが遅くなることがあります。腎臓で作られたおしっこが膀胱にたまると、その信号が脊髄を通って大脳に伝えられ、尿意を感じます。大脳がおしっこをためるか出すかの判断をして、出すとなれば大脳から膀胱に指令が伝わり膀胱を収縮させて出し、大脳がおしっこを我慢するという信号を送れば、尿道をキュッと締めておしっこを我慢します。おしっこを出したり我慢したりができるようになるためには、大脳機能が発達してくる2歳くらいまで待つ必要があります。年齢だけでなく「おしっこの間隔が2時間空くこと」も指標になります。周囲の人の意見に惑わされずに、お子さんの発達を確認しながら始める時期を決めることが大切です。

 

トイレトレーニングのポイント

まずは、絵本や親が実際している所をみせて、お子さんにトイレの使い方をみてもらいましょう。次にお子さんをトイレに誘って便座に座って体験してみます。トイレでいきなりは難しければ、おまるや補助便座で座れるといいです。すんなりとできればいいですが、いろいろと問題がおこります。1度できてもまたできなくなることもあります。気長に対応し決して怒らず、ほめてあげてください。少しでもできたらほめるということは今後の子育てにも役立てることができます。トイレの狭い空間や流れる水の音、水自体をいやがる場合もあるので、トイレでできないようなら、居間におまるを置いて使用してみるのもよいでしょう。ある程度、成功することができたら、昼間はパンツに履き替えていきましょう。

下の子の誕生等、環境が変わると、進んでいたトイレトレーニングがうまく行かないことがあります。そういった場合はしばらく休ませてあげることも大切です。周りのお子さんとの比較をしがちですが、個人差がありますのであせりは禁物です。ただし、4歳すぎてもトイレトレーニング完了しない場合は尿路感染症、過活動性膀胱(おしっこを我慢できずトイレに行く前にもらしてしまう)などが原因のこともあるので、かかりつけの小児科医に相談をしてください。

 

夏休み明けの注意点!

 内閣府の調査では過去42年間の統計で9月1日が自殺者の一番多い日であることがわかっています。夏休みが明けて子どもたちは学校へ行くことへの不安が強くなり、中には学校が始まる2~3日前から頭痛、腹痛などを訴えるお子さんもいます。切り替えが苦手なお子さんの場合は特に気をつけてください。お子さんの気持ちに寄り添いながら、集団登校で行くことが難しければ、子どもと一緒に校門まで行ってもいいし、少し遅れていくのもいいし、不安が強ければ休ませてもいいよと伝える懐の広さを持つことで、子どもたちは安心します。子どもたちは親の期待に添いたいし、学校へ行かなければいけない、勉強しなければいけないということは充分にわかっています。昨今の引きこもりのニュースを多々耳にすることで、このまま怠け癖がついてしまうのでは・・と親が不安になり、何とか学校に送り出そうとすると、問題が長引くことがあります。まずは子どもの不安を理解しようと対応することが大切で、その思いは必ず子どもに届きます。

 

参考文献

「おしっこトラブルどっとこむ」ホームページhttps://www.pee-trouble.com/

 

 暑い夏がやってきました。適度な休養、水分をとって熱中症にならないように気をつけましょう。先月、なんとこの年齢で初めての経験をしてきました。娘(小1)のクラスの生徒さんに読書ボランティアで絵本を読んできました。うちは日頃、絵本を子どもたちに読んでいるのは妻で私はあまり読んだこともないため、大変緊張しました。ゆっくりと大きな声を出すことを心掛けてやってみたところ、生徒さんたちは集中して、時に感想をつぶやきながら真剣に聞いてくれました。終わった後、子どもたちから話しかけてくれることもあり、子どもたちとの距離が一気に縮まりました。これからも読書ボランティアなどで学校への関りを深めていきたいと思います。

今月は花粉症の新しい治療法であるアレルゲン(舌下)免疫療法についてお話します。

 

アレルゲン免疫療法について

アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。実は以前からも行われていた治療でした。以前までは注射による治療だったこともあり、大学病院などの一部の医療機関でしか行われておらず、広く普及していませんでした。今回の薬はなめるということで、自宅で行なえるため体への負担が小さく普及への期待が高まっています。自分自身の体質を変えていくというアレルゲンに対する過敏性を減少させる今までにない画期的な治療です。食物アレルギーの治療法でも取り入れられていて、食物を除去しても治らない場合は医師の指導の基で原因の食物を少量ずつ食べて体を慣らしています。

 

スギ花粉舌下錠が登場!

花粉症はいまや日本人の5人に1人以上が発症する国民病です。鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどの症状があり、夜間の鼻づまりで眠れない方、対処療法の薬の副作用で昼間の眠気がとれない方には朗報です。舌下免疫療法は、数年前から液体の薬が登場しましたが、適用が12歳以上であったこともあり、小児科では普及が進んでいませんでした。昨年から錠剤が発売され、かつ原則6歳以上に適用が引き下げられました。さらに今年5月からは1か月分の処方ができるようになったこともあり、うちのクリニックでもスギ花粉症のお子さんに声をかけ始めたところ、舌下錠を治療する人が少しずつ増えてきました。数年後には従来の対処療法の薬だけではなく、スギ花粉舌下錠の治療が身近になってくることが期待されます。花粉症は親子で発症している方も多いので、親子での治療もお勧めです。ちなみに、うちの娘も昨年から花粉症を発症し、舌下錠を検討中です。

 

実際の治療法

舌下錠は1日1回、舌の下に置くと1分もしないうちに溶けてしまい、残りを飲み込むだけです。毎日使用しながら、定期的に通院し3年間続けていく必要があります。始める時期はスギ花粉の飛散が終わる今頃から年内までに行ってください。実施できる医療機関はアレルギーの専門的知識と経験を十分に持った医師(アレルギー専門医など)に限られています。実施している医療機関はアレルゲン免疫療法ナビ(http://www.torii-alg.jp/)で検索が可能です。

効果は初年度から現れますが、2年目、3年目と長くなるほど効果が現れやすく、8~9割の人に効果があることがわかっています。3年以上治療を続けてきた患者さん(有効例)では、治療終了後4~5年経過した時点でも8~9割の方が効果の持続があるという調査結果が出ています。さらに体質が変わることでぜんそくやアレルギー性鼻炎などの発症が抑えられる効果も期待できます。副作用は数%の方に口の中の腫れやかゆみがあります。全身の副作用が起こる可能性は非常に低いため安全に行えます。

スギだけではなく、4人に1人いるといわれているダニによるアレルギー性鼻炎にも舌下錠があります。1年中、くしゃみ・鼻水・鼻づまりで日常生活に困っているアレルギー性鼻炎の方への有効性も8~9割効果が期待できます。適応の年齢と治療機関についてスギ花粉と同様ですが、始める時期はいつでも構いません。

 

参考文献

スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版) 一般社団法人日本アレルギー学会(https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf

アレルゲン免疫療法ナビ(http://www.torii-alg.jp/

皆さんは先月の長い10連休、どのように過ごされましたか?私はクリニックで3日間、救急センターで2日間診療をしました。残りの5日間は娘と県内の牧場や公園に行き、楽しく過ごしました。いつもよりも長い休みだったので、さらに家で大掃除までして家はきれいになり過ごしやすくなりました。

私のクリニックに隣接しているげんき夢こども園にある子育て支援センター「ながれ星」では、子育て中の保護者が子どもの身体の話を専門科に聞くという目的で様々な科の医師に講演会を依頼し、私もよい学びを得てきました。今年度も既に私が担当する小児科医の講演会は先月開催されました。皆さんも興味がありましたら、ぜひ今後の講演会にご参加下さい。

さて、これまで皮膚科医、整形外科医、耳鼻科医の講演会の話を紹介してきましたが、今月は南アルプス市で開業している眼科医堀内二彦先生の話についてお伝えします。

私は10数年前に堀内先生が中巨摩郡医師会長をされていた頃から、いろいろと相談に乗っていただいています。私自身が尊敬する医師でもあります。

 

目のしくみ

 目は光が角膜を通って水晶体(光を屈折させるレンズ)、硝子体を伝わり、目の奥にある網膜に焦点を合わせることで物が見える仕組みになっています。水晶体の周りに小さな筋肉がついていて、水晶体の厚みを変えることで焦点を調節します。赤ちゃんは水晶体の厚みを調節する力がしっかりありますが、40歳過ぎるとその調節する力が衰えてくる老視(老眼)になってピントが合わず、近くの物がみえづらくなってきます。そのピントが網膜の前にずれると近視、後ろにずれると遠視と言います。赤ちゃんは目の発育が未熟なため、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)が短く、ピントが後ろになり遠視になりますが、成長とともに眼軸長も成長し網膜に焦点が合ってきます。はっきりと見るために眼鏡やコンタクトレンズを使用し調整しています。

 

弱視を早く発見することが大切!

 物を見る時、角膜、水晶体、硝子体を通って、網膜にピントが合った後に、その情報が視神経を通って脳に伝わっています。つまり物は目でみているのではなく、目で光を受けて脳で見ています。

弱視は、この視覚情報が伝わる経路のどこかに支障があるときに生じます。低身長の治療は身長が伸びる時期である思春期までに対応するのが望ましく、大人になってから治療しても身長が伸びないのと同じように、視力の発達は3~5歳までと身長の伸びよりももっと低年齢で終わってしまいます。それ以降に弱視を治療すると反応が悪いため、早めに発見し治療することが大切になってきます。片方の目のまぶたがさがったまま(眼瞼下垂)・黒目の中心が濁る(角膜混濁、白内障)・片方の目の位置がずれる(斜視)場合、網膜にピントが合わず、弱視の原因になります。弱視のお子さんは物をぼやけた状態で目に情報が入り脳で見てしまっています。3歳児健診では目のチェックを行いますが、この時期に弱視などを発見できることが大切になります。いつもテレビを近づいて見る・ものを見る時に顔を傾けて見ることを繰り返す場合は眼科へ受診をしてください。

治療は眼鏡かけて網膜に焦点を合わせて鮮明な像が結ばれる状態にしたり、視力のよい方の目に遮閉具(アイパッチ)を付け、視力の悪い方の目でしっかり見て視力の発達を促します。気になる場合は、眼科へ相談をしてください。

講演の中で目の病気だけではなく、『エコーチェンバー(共鳴室)現象』についても説明してくれました。SNSで価値観の似た物同士でのみ交流、共感し合うだけの情報だけであると方向性を誤る恐れがあることを例示しながら、語ってくださいました。一歩下がって物事を捉える大切さ・「目は見を守り豊かな思考を育てる道具」であり、つまり目は敵を発見し身を守るという多くの動物に備わっているものだけではなく、人間だけは字と字の間である行間を読むことができる豊かな思考が備わっているので読書をすると人生が豊かになること。そして霊長類であるヒトと軟体動物のタコは全く異なった進化の道を歩んできて体型的には全く異なった姿だが、目に関しては類似性がある「目の収斂進化」が起こっていたことについて。また、ご自身の長い経験から幸せな家族とは子どもの幸せを考えることと合わせて、自分の親の面倒もみて親孝行することが本当の幸せな家族と言えるのではないかということなど幅広い話をしていただきました。さらに、6年前に先生が執筆された「The eyes」(創英社/三省堂書店)を10冊寄贈していただきました。本当にありがとうございました。

 

参考文献

日本眼科学会ホームページhttps://www.joa.or.jp/index.html

 

 

 新元号は「令和」になりましたね。とても品のある元号で好きになりました。先月は新たな仕事や園・学校が始まり、生活のリズムにまだ慣れないご家庭も多いのではないかと思います。生活に慣れるには時間がかかりますし、体を慣らすために休息はとても大切です。10連休を利用しゆっくりと休んでください。うちも生活が変わりました。娘が小学1年生になり、今までより早く起床しなければならず、私たち親も意識して早めに寝かせるようにしています。私は娘と一緒に登校班が来るのを待っているのですが、緊張して不安そうな面持ちで娘は歩いていきます。帰宅後は娘から学校の様子を聞き、新たな友達ができて楽しそうな話を聞き、ホッとしているところです。

また先月、息子(高1)と一緒に南アルプス桃源郷マラソン大会(ハーフマラソン)に出場してきました。目標としていた2時間を切ることができ、1時間58分と息子より8分も早く走ることができました。身長は追い抜かれてしまった息子に中盤以降の粘りで勝つことができ、ダブルで喜べました。息子は10k以降ペースダウンし、次々と年長者に追い抜かれた経験から、日々の練習の大切さを痛感したそうです。

今月は聞きなれないウイルスである「ヒトメタニューモウイルス」についてお話します。

 

ヒトメタニューモウイルスって?

 まだ皆さん知らない方も多いと思います。このウイルスは2001年に発見され、RSウイルス流行後の3月から6月にかけて流行します。今年は少し早めから流行し始めています。5年前から保険適用になったことやインフルエンザの検査と同じような迅速検査ができるようになり、当科では今年から検査をよくするようになりました。

 咳・鼻水・熱が主な症状で、RSウイルスやインフルエンザウイルスにかかった時と似た症状を呈します。潜伏期間は約4~6日、くしゃみや咳による飛沫感染で広がります。1度かかれば、もうかからなくなるわけではなく、1回の感染では免疫が獲得できず、何度か感染します。ただ、何度かかることで免疫がつき、症状は軽くなります。この感染症はインフルエンザやRSウイルス感染症にかかるより、重くないことが多いですが、中には高熱が続き、咳がひどくなり、入院するケースもありますので、特に乳幼児期のお子さんがかかった時は注意が必要な病気です。

 

治療と予防は?

 インフルエンザにかかった場合、抗インフルエンザ薬で対応しますが、このウイルスには特効薬がありません。対処療法の薬を使用し、細菌感染が疑われる場合、抗生剤を使用する場合があります。熱が4~5日間続くことがあり、咳・鼻水が約1~2週間続きます。治癒証明書が必要な病気ではないので、感冒と同じように熱が下がり、食欲がもどり、咳・鼻水が落ち着いてきたら登園可能となります。予防はかぜと同じく手洗い・うがいです。

 

迅速検査のタイミングは?

 迅速検査をするタイミングはなかなか難しいと思います。地域の流行状況を考慮し検査を実施します。先ほど述べたように、わかったとしてもインフルエンザと違って特効薬がないため、確認をして原因がわかることで少し安心ができるといった位置づけになります。当科でもインフルエンザのように積極的に検査をするというより、長引く熱や咳がひどくなった場合に検査を実施しています。

 

風しんの追加対策について

風しん流行を広げない・止めるための取り組みとして、国は今年4月から3年間、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日(40歳~57歳)までの間に生まれた男性の風しん定期予防接種が追加されました。この世代は風疹の予防接種を受ける機会がなく、抗体保有率が低いと言われています。実施方法は抗体検査をして、抗体価が十分でない方は予防接種を行うというものです。

妊娠初期の方が風しんにかかると赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかることがあります。先天性風疹症候群にかかると難聴や心疾患など、赤ちゃんの成長に影響を及ぼす障がいがみられます。安心した妊娠・出産の環境作りのためにもぜひ対象年齢にある男性については、お住いの市町村に確認をしてください。費用は無料です。

 

参考文献

国立感染症研究所ホームページ

 

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