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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 新年あけましておめでとうございます。

私は今年も子どもの代弁者たる小児科医として子どもファーストで真摯に向き合っていきたいと思っています。さらに今年は対面を意識して人の絆を深めていきたいと思います。

昨年11月末、第12回富士山マラソンに出場しました。天候にも恵まれ、雄大な富士山を眺めながら最後は体がボロボロになりながら42.195km走り切りました。結果は前回より30分も短く4時間40分!反省点は多々あるものの満足のいく走りでした。次回は4時間半以内を目指します。

 年末もインフルエンザの猛威が収まらず、さらにアデノウイルス感染症・溶連菌感染症・胃腸炎などの子どもたちの感染症の流行がみられています。当院では、アデノウイルスを調べる迅速検査キットが手に入らないため、アデノウイルスが疑われるお子さんには検査ができません。アデノウイルスは感冒のウイルスでもあり、特殊なウイルスではないので、過度に心配しすぎる必要はありません。まず、感冒の時と同じ対応をして、熱が長引き、水分摂取できないなどの場合は受診してください。

 2022年12月、文科省から通常学級に在籍する小中学生の8.8%が、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性があることが発表されました。 今月は小中学生の1割弱が該当する「発達障害」について、どのようにしてわたしたちは向き合うべきかを考えていきます。

 

発達障害とは

 発達障害は脳機能の発達が関係する障害です。臨機応変な対人関係が苦手、こだわりが強いといった自閉スペクトラム症(ASD)、不注意・多動性・衝動性のある注意欠如・多動症(ADHD)、読み・書き・計算が苦手な学習障害(LD)などに分けられます。これらの発達の特性が重複してみられたり、強弱がみられたりします。その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。その原因は親のしつけや教育の問題でもないことが大前提です。

 

園・学校と家庭と医療機関の連携が大切!

 社会で生きていくためには、社会性やコミュニケーションが必要となります。発達障害のあるお子さんは、そこが苦手なため、園や学校で集団生活をすると、様々な問題や困難に直面することになります。健診・園・学校からお子さんの発達が気になることを指摘された場合は「様子をみること」はせず、専門の医療機関に相談をすることをお勧めします。医療側では発達特性を評価し、親に伝えていきます。療育の関わりで、専門的なアプローチでのお子さんへの関わり方を知ることで無駄に怒らず対応することができます。

 発達障害のお子さんは「できることをほめる」「できないことを叱らない」「視覚的な情報を提示して説明する」「説明や指示は短い文で、順を追って、具体的に」「安心できる環境を整える」「善悪やルールをはっきりと教える」「温かく見守る」などの対応を親や園・学校の先生が連携を取りながら進めていくと、集団でのストレスが減り、不登校や引きこもりなどの2次障害を防止することができます。

 

親の理解が大切!

 2005年に施行された発達障害者支援法で発達障害の認知が広がり、社会で認知されてきました。この法律の第一章に「発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要である」と述べています。つまり早期の対応の大切さを訴えています。発達障害の特性は生涯残ると言われていますが、子どもの柔らかい脳に適切な関わりをすることで、その特性とうまく付き合い、よい刺激を受けながら社会と一緒に生きていけるようになります。

親が気になって園・学校・医療機関に子どもの発達の相談をしていただくケースでは、お子さんの能力を最大限に伸ばす環境が整えられつつあります。一方で親に園・学校からの気になるお子さんであることを伝えても、なかなか理解していただけないケースがあります。こういった場合、適切な関わりができていないお子さんは生きづらさを感じ、ストレスが増し、自己肯定の低下などで不登校・引きこもりなどの2次障害に発展しかねません。子どもは親だけで育てることはできません。ぜひ、関係機関と連携をし、一緒に子育てしていくことが大切です。親に伝えて理解していただけない場合、私たちも諦めてしまいがちですが、将来ある子どもたちのために、親に理解してもらえるように何度も何度もお話させていただきます。親亡き後のお子さんを想像して、親だけに子どもを押し付けるのではなく、社会全体で子どもを育てる時代になることが一番の子どもたちの幸福につながります。子どもたちのために。

 

参考文献

学校の中の発達障害 SB新書 本田秀夫著

発達障害の早期発見・早期療育・親支援 金子書房 本田秀夫編著

通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について 文部科学省ホームページ

発達障害って、なんだろう?政府広報オンライン

発達障害者支援法 文部科学省

 先月上旬までは夏のような気温の日が続き、秋を感じることがないままに冬に移行したと感じます。クリニックでは例年11月はインフルエンザワクチン接種を集中して行うのが主なのですが、今年11月はワクチン接種とインフルエンザの流行が重なり、受診の要請があっても全て対応することができず忙しい状況が続いています。

子どもが小さいときは子育てで疲れることもあると思いますが、子育てが終わった後の私の体験談をお伝えします。私には今成人になった子どもが4人いますが、今は会う機会が徐々に減っています。先月、私は息子(24歳)に誘われ、フルマラソン出場のための練習で20キロを初めて親子一緒に走りました。日頃は会ってもあまり会話は弾まないのですが、一緒に走ると不思議と会話が弾み、楽しく思い出深い一時を過ごすことができました。子育て中は私たち親が子どもたちに時間や気持ちを与えるばかりだと思っていましたが、成長していく中で子どもたちは私たち親に少しずつ時間や気持ちの恩返しをしてくれるようになるのだと感じた出来事でした。これも子育てに向き合った人が感じることができるご褒美だと思います。今子育てに奮闘している保護者の皆さん、そんな日を夢見ながら子どもと一緒にいられる貴重な毎日を大切に過ごしてほしいです。

 先月に続き、今月もワクチンパレードに参加した体験談をお伝えします。今月は、日本産婦人科医会会長が一番訴えていたワクチン、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについてお伝えします。先月は、HPVワクチンはアメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダでは男性への定期接種が始まって、HPVは肛門がん・陰茎がん・中咽頭がんの発症原因になっていることをお伝えしました。私の息子たちが20歳代だったので、HPVワクチンの話をしたところ、4人とも進んで接種しました。

 

子宮頸がんについて

 子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。感染経路は性的接触と考えられています。そして、そのうち一部の女性が子宮頸がんに発症し、数年から数十年かけて子宮頸がんに進行します。

 子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも微増しています。特に50歳未満の若い世代での罹患の増加が問題となっています。この年齢の女性は多忙を理由に検診率がなかなか上昇しない現状もあります。

 

HPVワクチンについて

 2013年から積極的な勧奨を一時的に差し控えていましたが、令和4年4月から他の定期接種と同様に、個別の勧奨を行なっています。さらに2・4価HPVワクチンに加えて9価HPVワクチンが今年4月から公費で使用できるようになりました。特に9価HPVワクチンは9割以上の子宮頸がんを予防できると推定されており、効果が今までよりも高くなっています。

 HPVワクチンと聞くと、マスコミにより大きく報道され積極的な勧奨を一時的に差し控えたとされるきっかけとなった手足の動かしにくさ、不随運動などを中心とする「多様な症状」のことを思い浮かべると思います。厚生労働省専門部会により「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係はなかったという報告や2015年に名古屋市で行われた約3万人のアンケート調査では、24種類の「多様な症状」の頻度がHPVワクチンを接種した女子と接種しなかった女子で有意な差がなかったことが明らかにされています。

 定期接種の時期は小6から高1までの女子が対象で、さらに接種ができなかった平成9年から平成17年度生まれの女性に2025年3月まで公費での接種ができます。前向きに検討されることをお勧めします。

 

HPV検査を導入検討

 HPVワクチンで予防し、さらに検診で早く病気を見つけることで子宮頸がんを大幅に減らすことが期待できます。国では子宮頸がんの検診は現行では20歳過ぎたら2年に1度の細胞診(変化した・がん化した細胞がないか)を勧めています。2024年度から導入を検討しているHPV検査(30~60歳)はHPVが感染していないかを調べるもので、より早い段階でがんとなる可能性がわかるようになります。HPV検査で陰性であれば、細胞診は2年ごとであるのに対して、HPV検査が陰性であれば5年ごとになり、検診の負担も軽減できると言われています。但し、HPV検査陽性者はその後、細胞診を行ない、長期的なフォローが必要になるため、自治体での体制づくりが課題とされています。

 子宮頸がん予防のために、まずHPVワクチン接種、20歳代で2年に1度の細胞診、30歳以降で来年度以降検討されている5年ごとのHPV検査で患者数を大幅に減らすことが期待できます。ご自身の健康のためそして家族のためにも、ワクチンと検診をお考えください。

 

参考文献

子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために 日本産婦人科学会

子宮頸がん検診におけるHPV検査単独法の導入について 厚生労働省

 

 寒さを感じるようになり、秋らしくなってきました。私は今月末にある富士山マラソンに備えて、少し長めにランニングをしています。

先月、自宅のトイレの便座部分のみが壊れたため、ネットで購入した便座をYouTubeで見ながら自分で取り換えることにしました。YouTubeを見ると30分で簡単にできるようだったので気軽な気持ちで始めました。途中、便座の型が違うことに気づき、やり方がわからない状態で四苦八苦していました。ウォシュレットトレイのため電気配線ボックスを開け、懐中電灯で照らしながら配線を抜き差ししました。狭い所があったので、私より手が小さい娘にも手伝ってもらい、2人で汗をかきながら1時間以上かかりなんとか取り換えることができました。

 10月12日、患者支援団体・医師などの専門家が企画した「第14回ワクチンパレード2023」に初めて参加してきました。数十人が参加して東京の六本木から日比谷までを「希望するすべての人たちに無料でワクチンを」とアピールするパレードを行いました。この日は秋晴れで大変気持ちよく行進できました。さらに武見大臣と面談し、各患者会からの要望書を提出し、記者会見も行いました。医療従事者と患者会の協働という貴重な経験をすることができましたので、各患者会から提出された要望書に関してお伝えします。

 

おたふくかぜワクチンの定期接種化を!

 両側難聴で人工内耳をつけている人工聴覚情報学会の理事の方が「おたふくかぜワクチンを定期接種化してもらいたい!」と訴えていました。おたふくかぜにかかると合併症として、無菌性髄膜炎が約50人に1人、一生治らない重度の難聴が約1000人に1人の割合でかかると言われます。

その理事の方から片側性難聴でも不自由さがあることを聞きました。音の立体感がわからず、どこで音がしているかがわからないそうで、自分のポケットからスマホを落としても音は聞こえるがどこで音がしているかがわからず、落としたことに気づくことができず、電車の発車ベルが鳴ってもどの電車から発した音がわからないといった不自由さがあることを知りました。

 

不活化ポリオ5回目の定期接種化を!

「ポリオの会」からは3人が参加していました。定期接種である生ポリオを飲んだ後、まれに起こる副反応でポリオを発症、足に麻痺がみられ、車椅子生活になってしまったワクチン被害者の方々でした。生ポリオワクチンによる小児まひを防ぐために、2012年から不活化ワクチンに切り替えられました。

現在、不活化ポリオワクチンの4回接種を実施していますが、接種から時間が経つと感染を予防する力が低下してきます。ポリオの会では、就学前の5回目接種の必要性を要望していました。

外務省の海外安全ホームページによると、ポリオの発生はアフガニスタン・マラウイなどだけでなく、アメリカ・イギリス・カナダの国も含まれていて、渡航時は追加接種を検討するように呼び掛けています。ただ、国内でもコロナ5類以降渡航者が増えている状況を考えるとリスクはあると思います。

 

HPVワクチンをどこでも、男子にも!

 今回のパレードでは日本産婦人科医会会長からHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種率が低いため、もっと接種率が上がるようにと切に訴えていました。さらに、今回のパレードの中心的な立役者である小児科医の細部先生からはHPVワクチン接種率が上がらない原因の一つである、大学生の接種が居住地と住民票が異なることで、書類のやり取りが複雑になり、接種のしづらさがある状況を解消して欲しいと要望していました。

 現役の男子大学生は、HPVワクチンを男子にも定期接種化することを訴えていました。アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダでは男性への定期接種が始まっています。HPVは肛門がん・陰茎がん・中咽頭がんの発症原因になり、HPVワクチンを接種することでそれらの病気を予防できます。HPV感染は性交渉でうつるため、男性が接種することで、これらのがん予防だけでなく、大切なパートナーへの感染の広がりを抑え、子宮頸がんなどの病気から守ることにもなります。いくつかの自治体で男性へのHPVワクチンの助成が始まっています。今後も最新のワクチン情報を収集しながら、小児科医として啓蒙活動に努めていきたいと感じた一日になりました。

 

参考文献

NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会 ホームページ

外務省 海外安全ホームページ ポリオの発生状況

みんパピホームページ 男性はこちら

 9月に入っても猛暑日が続き、夏が好きな私もさすがに体に応えましたが、皆さんはどうですか?

ところで先日、追突事故に遭いました。お店の駐車場に車を止め、シートベルトをはずし車から降りる直前に、後ろから体に強い衝撃が走りました。幸い、首の痛み以外の症状はありませんでしたが、皆さんも車の運転にはくれぐれも気をつけてください。

例年、小児科は9月頃感染症が落ち着く時期なのですが、今年はコロナやインフルエンザの受診が多く、まだまだ落ち着いていない現状です。この3年間インフルエンザはコロナ禍の感染対策の効果もあって、流行が抑えられていました。多くの人たちはインフルエンザに対する免疫力が低下していることを考えると、今冬は例年通りにインフルエンザワクチンの接種も忘れずに備えるべきだと思います。

今月は、知的な遅れがないが「読み・書き」「計算」などの習得がうまくいかない発達障害の中の一つである「学習障害」について皆さんにお伝えしたいと思います。

 

学習障害とは

 学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力について習得できない、もしくはうまく発揮することができないため、学習上、様々な困難に直面している状態をいいます。学習障害は発達障害の一つとして位置づけられています。

原因は中枢神経系の何らかの機能障害によるものと推定されています。頻度として、2012年に小中学校教師を対象とした全国調査が行われ、学習面に著しい困難を示す児童生徒は4.5%存在することが示されました。タイプとして読字・書字表出の障害(読み書き障害、ディスレクシア)・算数の障害に分けられます。

 

学習障害の診断など

 幼児期に文字に興味がない・文字を覚えようとしない・文字を一つ一つ拾って読む・読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む・本を読んでいるとすぐ疲れるなどがみられるとディスレクシア(読み書き障害)の可能性があります。診断は特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドラインによると、知的発達が問題ないか知能検査(WISC-Ⅳなど)をし、読みや算数のテストを行い、平均からどの程度の遅れがあるかで判定していきます。

 

ディスレクシア(読み書き障害)について

ディスレクシアのお子さんは文字が読めないと表現されることが多いのですが、正しくは読むのが極端に遅く、よく間違えます。1文字を読むのに時間がかかり、間違えるため、読むだけで疲れてしまい、意味を把握する段階まで至りません。そのため読書に対する拒否感が生じてしまうことになります。その結果、語彙や知識が不足して、学業不振が著しくなっていきます。さらには心身症や不登校といった二次障害が起こることもあります。

 

学習障害のお子さんの対応方法

 読み書き・計算が苦手なのか、障害なのかを判定するのは簡単ではないと思いますが、努力しても習得に困難がある場合は学習障害を疑うことも大切です。診断は専門の医療機関で対応できますので、相談することをお勧めします。

学習障害がある場合は、通常学級にするか、通級や支援級にするか迷っている方もあるかと思います。発達障害の第一人者である本田秀夫先生著「学校の中の発達障害」では、小1で通常学級に入り「自分は失敗した、がんばれなかった」という挫折感を持つと子どものメンタルヘルスが損なわれるので、特性がみられるのであれば、入学時は通級や支援級を勧めています。通級や支援級で趣味の合う子が見つかる場合もあるようです。親としては通常学級を希望しがちですが、見学等を通してお子さんと一緒に考えると良いでしょう。親が子どもに勉強を教えると、力が入りすぎて、親子関係が悪くなります。学習のお手伝いをしてくれる放課後等デイサービスの利用も検討してはいかがでしょうか?

私が関わったケースでは、通学している学校に通級体制がなく、通級を利用したい場合は別の学校に移動するため、保護者が子どもを送迎しなければならない状況があることを知りました。通級をすべての学校に設置して、子どもに適切な教育を受けられる配慮をしていただけたらありがたいです。

 

参考文献

学習障害 文部科学省   

学習障害 e-ヘルスネット(厚生労働省)

ディスレクシア 国立成育医療研究センター

通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について2012 

稲垣真澄:特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドライン.診断と治療者. 2018

本田秀夫:学校の中の発達障害.SB新書.2023

今夏は猛暑で大変でした。連日の熱中症警戒アラート発生に、子ども達の外での遊びも制限せざるを得ない夏になりました。みなさんの夏休みはいかがでしたか?久しぶりの行事への参加・実家への帰省など各々の思い出ができたと思います。

私の夏の思い出の一つ目が神明の花火大会(市川三郷町)です。約2万発の花火は素晴らしすぎで感無量でした。二つ目は息子の部活大会の応援です。大学生の息子がボート部に所属しています。昨年の大会は猛練習していたのですが、大会直前に部員1人がコロナに罹り全員が出場停止となりました。今年は無事大会にシングルで出場し、なんと2位との差が0.3秒という僅差で優勝しました。息子の喜びを一緒に共有することができ、仲間の部員に胴上げされている息子を目にしてよい思い出となりました。

今月は先月に引き続き、認知度は高まってきたが、まだまだ関心が薄いLGBTQ+についてさらに理解を深めていきましょう。

 

SOGIE(ソジー)って?

 SOGIEは性の多様性を表す際に使われる言葉で、性的指向(好きになる性別:Sexual Orientation)、性自認(自分の性別についての認識:Gender Identity)、性表現(服装や髪形など性別についての表現:Gender Expression)の頭文字を取っています。LGBTQ+は「どんな人」であるかを表すのに対して、SOGIEはLGBTQ+だけでなく、誰もが持っている性の要素です。これらの要素の組み合わせで性のあり方が決めると考えることができます。

 

SOGIEハラ(そじはら)に注意!

 LGBTQ+の当事者であると周りに伝えることを「カミングアウト」と言い、カミングアウトされたことを、本人の同意なく、第三者に「その人がLGBTQ+である」ことを暴露することを「アウティング」と言います。

 SOGIEハラはアウティングやSOGIEに関する差別やいやがらせのことを言います。「女の子なのに」「男らしくない」「あの子レズなんじゃない?」「あまえらホモかよ」「女の子なんだからちゃんと制服のスカートをはきなさい」などはSOGIEハラになりますので気をつけましょう。

 2020年6月から施行された改正労働施策総合推進法(いわゆる「パワハラ防止法」)に基づき、SOGIEハラ防止の対応が企業や地方自治体に義務づけられています。

 SOGIEハラを見かけた場合は注意をしたり、他の話題に切り替えたり、SOGIEハラを受けた人に後から声をかけたりして、サポートできると良いと思います。一緒になって笑ったりするような同調行為をしないように気をつけるべきです。

 

LGBTQ+の人たちの現状

 周りの人にカミングアウト(公表)しているLGBTQ+の人はまだ少ないのが現状です。最新の厚生労働省の調査によると、「誰にもカミングアウトしていない」という回答が6~7割に上っています。気づく時期は思春期が多く、中学卒業までに約9割の当事者は自覚していたという調査結果もあります。

また、性のあり方は肌の色や目の色などと同じように、基本的には生まれつきと考えられています。努力して治る類のものでもありません。例えば、恋愛対象として「異性が好き」という方が、気づいたら異性が好きという感情が自然に芽生えていて、同性が好きになるように努力してもそうならないのと同じと考えてください。

これまでの社会の仕組みがLGBTQ+の存在を想定せずに作られているために、自分の性別に違和感を持たず、異性が好きな人しかいないという前提が広く共有されています。このため、疎外感を味わいながら生きている当事者も少なくないことを知っておくことが大切だと思います。

 

カミングアウトされたら

 カミングアウトされた時は、驚いたり、当惑したり、様々な感情が湧きおこるのは自然な反応です。もしかしたら本人も、とても悩んで、必死の思いであなたに打ち明けたかもしれません。まずは本人の話をじっくり聴いて、どうやって寄り添っていけるか一緒に考えてほしいと思います。また、聴いた話は本人の同意を得ずに勝手に他の人に伝えない(アウティングしない)ように注意してください。本人はできたら、特別扱いせず、一人の人として尊重してほしいと思っています。「一人で悩んでつらかったでしょう。私に話してくれてありがとう。何か困っていることがあったら遠慮せずに言ってね」というような受け止めが嬉しかった、肩の荷が下りたという当事者の声も聞かれるようです。

 私自身、カミングアウトされた経験はありません。LGBTQ+の人たちは私たちの周囲にいて、いろいろと悩んでいます。カミングアウトしやすい社会になると、当事者がもっと生きやすくなってくるのではないでしょうか。

 

参考文献

LGBTQ+/SOGIEの基礎知識 明石市ホームページ

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