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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 先日娘とキュウリ・ナス・ミニトマト・ピーマンの苗を買って、庭に植えました。毎日娘が水やりを気にしていて、大きく育ち一緒に収穫するのを今から楽しみにしています。

 ゴールデンウイークが過ぎたころから、新しい生活に適応ができず、頭痛、腹痛などの症状を訴え、クリニックに相談に来る人が増えてきました。様子を聞くと、学校でのクラス替えによる友達関係の問題・新しい担任に慣れないことなどが挙がります。こうした場合は保護者が先生に相談をし、解決策を考える必要があります。ひどくならないうちに、早めの対応をお勧めしています。難しいケースは子どもの総合医である私たち小児科医も一緒に考えていきます。

 そして少子化の勢いが止まりません。2023年の出生数が前年より約4万人減少し、約75万でした。いろいろな子育て支援策を実施しておりますが、なかなか歯止めがかからないのが現状です。1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」は1.26(2022年)であり、前年より0.04%低下しています。韓国は合計特殊出生率0.78(2022年)と日本よりもさらに低いことに非常に驚きました。子どもを育てやすい環境を若い人の意見を聞きながら、一つ一つ改善していく必要があります。

 今月は子育て支援策の一つとして注目されている「産後ケア事業」について皆さんにお伝えいたします。

 

産後ケア事業とは

 みなさんは「産後ケアセンター」って聞いたことがありますか?聞いたことはあるが、利用した人はそう多くないかと思います。産後ケア事業は、退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援することとされています。

 最近は核家族化し、自分の親などが近くにいない状態で妊娠・出産することがまれではなくなっています。また、近くにいても高齢や病気により親に頼れない場合もあります。妊娠・出産・子育てを家庭のみに任せるのではなく、生活している地域で様々な関係機関が支援し、母親の孤立を防ぐことが重要とされています。こうした背景の中「産後ケア事業」の役割があります。

 種類は宿泊をしながらケアを受ける「宿泊型」、日中のみの「日帰り型」、自宅に助産師らが出向く「アウトリーチ型」があります。母体の心身のケア・育児に関する相談・沐浴や授乳などの育児指導を受けることができます。母親に対応するのは助産師・保健師・看護師などとなります。

 

利用にあたって

 実際、利用を検討する場合は利用料金・助成の回数などが市町村でバラツキがあります。対象者は産後に心身の不調または育児不安などがあり、支援が必要な方となっています。興味のある方はお住いの市町村にお尋ねください。ちなみに甲府市は利用料金が宿泊型3,600円(1泊2食)、日帰り型500円、助成回数が宿泊型3泊4日、日帰り5日まで、産後4か月までとなっています。他県の情報として鳥取県では令和2年度から利用料金を無償化(全国初)したそうです。

 

県内の実施場所

県内で産後事業を実施している施設は2016年から「健康科学大学産前産後センターママの里」(笛吹市)が、宿泊型・日帰り型をしています。来月から私のクリニックと連携しながら「げんき夢こども園」で産後ケア事業を開設する予定です。定員は2組、対象年齢は産後1年まで、日帰り型で助産師・看護師が対応します。昼食時は母親の孤独を防ぐために子育て支援センター利用の先輩母との交流も検討しています。小児科併設・子育て支援センター・一時保育・病児保育などの機能を活かしながら、微力ではありますが関わらせていただきます。

 

最後に、産後ケア事業は充足されれば、育児環境は万全かと言われると、決してそうではありません。産後ケアは母親のケアをしてもらえますが、子育てで母親と同じくらい大切な人である「父親」の存在・役割を忘れてはいけません。育休取得率が増えてはいますが、子育ての役割はまだまだ母親に重くのしかかっています。父親は仕事だけをする存在ではなく子育て・母親への支えをしていく役割が求められています。みんなで母親も父親もサポートしていきましょう。

 

参考文献

産前・産後サポート事業ガイドライン(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/sanzensangogaidorain.pdf

産後ケア事業について(こども家庭庁)

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ce28e632-7504-4f83-86e7-7e0706090e3f/1d73c9a2/20231122_councils_shingikai_seiiku_iryou_tWs1V94m_04.pdf

 ハナミズキが咲き誇り、新緑が眩しい季節となりました。

我が家では昨年に続きファミリーマラソンに出場しました。私も足首の故障から復活し、1周約1.2㎞超の17周を家族7人で交代しながら走り切りました。子ども4人が成人になると家族全員で一緒に会う機会が少なくなるので、こういったイベントを大事にして家族の絆を深めていきたいと思っています。

 小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題で健康被害の訴えが相次いでいます。うちのクリニックでも、20歳代の男性2人が健康診断時の血液検査で肝・腎機能異常を指摘され相談を受けたことがありました。今回の紅麹とは違いますが、別のサプリメントを飲んでいたため、そのサプリメントを飲まないことで肝・腎機能改善した経験があります。また、診察時にご両親からお子さんにサプリメントを飲んでいいかと質問されることがありますが、基本的には普段の食事だけで充分であることを伝えています。

 今月は発達障害の一つとされている「場面緘黙(ばめんかんもく)」についてまず皆さんに知っていただければありがたいと思います。

 

場面緘黙とは

 場面緘黙とは、家庭ではごく普通に話すのに、幼稚園・保育園や学校などで話をしたりすることができない状態を言います。家では問題なく話すため、長い間、気づかず、先生やお友達から聞いて驚かれる保護者が多くいます。また、園・学校ではおとなしいタイプが多く、見過ごされがちになる場合もあります。不安や緊張が強く話すことができません。

 場面緘黙は、医学・法令・学校教育で分類が異なり、学校教育においては「情緒障害」、医学的には「不安症群」、法令上は「発達障害者支援法」の対象となっています。学校では「特別支援教育」の対象であり、合理的配慮を求めることができます。

 発症頻度は近年わが国で行われた大規模な調査では0.21%(約500人に1人)という報告(梶・藤田,2019)があります。発症は通常5歳未満で、社会的な交流や発表などの機会が増える入園入学後に症状がはっきりしてきます。親の過保護やしつけなど「育て方のせい」と考えるのは誤解で、最近の研究結果からも関連性は否定されています。

 

私が経験したケース

 2歳で保育園に入園したお子さんが、園で話をすることができず、毎日のように帰宅後、ご両親に園に行きたくないと泣くばかりでした。困り果てたご両親は転園を決意、その園ではその子の特性に合わせたかかわりを園全体で理解し対応することで、不安が少しずつ和らぎ、先生・友達に少しずつ話をすることもできるようになりました。年長になった生活発表会では1人で発表することまでできる成長が見られました。その子にあった丁寧な関わりが実を結ぶ経験をしました。

 

園・学校での配慮

 場面緘黙のお子さんは自分の意志で「話さない」わけではありません。「話せない」のです。自分から悩みを発信することができません。適切な支援なく園・学校生活を過ごした場合、長期にわたるストレス状況から、うつ的症状や不登校などの2次的な問題へとつながるケースも見られます。自閉症スペクトラム症などの発達障害やその傾向をあわせもつ場合もあります。話せないこと以外の困り感や特性を知って支援してもらえるとありがたいです。さらに話せないことだけでなく、集団の場で不安や緊張が強く、体が動かなくなる場合もあります。

 園・学校の対応法としては、家庭と園・学校などが協力して、まず安心できる環境を調整することが最も大切です。1)場面緘黙のお子さんは自分で助けを求めることができないので、家庭と連携し対応を協議する。2)「話せない」状態のため、話すことを強制せず、どうしたら話せるようになるかを本人と保護者と一緒に考える。3)大きな声や乱暴な言葉づかいにとても敏感なので、直接、本人に言ったわけでなく、周囲へ強い口調をしたことでも恐怖を感じます。そのため必要以上の叱責を控える。4)症状が一人一人違うので、以前経験した対応方法でうまくいかない場合もあります。その子にあったやり方を考える4点が挙げられます。

 

 最後に、一番の理解者である保護者の方は場面緘黙であるお子さんのつらさを理解するように努め、話すようにプレッシャーを与えず、不安を取り除けるように子どもの話を聞きながら関わってください。焦らずに、園・学校、家庭、専門機関とも連携しながら、少しずつできる体験を増やし、お子さんの成長を見守っていきましょう。

 

参考文献

かんもくネット https://www.kanmoku.org/

かんもくネット『場面緘黙Q&A』角田圭子(編)、学苑社、2008年

金原洋治・高木野潤『イラストでわかる子どもの場面緘黙サポートガイド:アセスメントと早期対応のための50の指針』合同出版、2018年

 ようやく暖かくなり、草花が芽吹く春がやってきました。

入園・入学・就職と新生活になるご家庭ではお子さんの生活、そしてご自身の仕事に慣れていただくことが第一です。新年度の4月は家族1人1人が新生活で疲れがでます。無理をしない・頑張りすぎずに生活が送れるといいですね。  うちは息子が大学を無事卒業し、新社会人になります。彼が社会人としてどんな風に成長していくのかを楽しみにしている今日この頃です。

 2月末、福岡県内の小学校で1年生の児童が給食で提供されたうずらの卵をのどに詰まらせて亡くなった事故がありました。2015年にも大阪で小学1年生がうずらの卵による窒息事故で亡くなっています。小学1年生の頃は歯が生えかわる時期で前歯がない時期です。前歯がない状態では、表面がツルツルした食べ物の場合、噛もうとしてもうまく嚙み切れず、そのまま吸い込んでしまうことがあります。うずらの卵だけでなく、あめ類・ラムネ・ブドウ・ミニトマト・白玉・球形のチーズなどは給食・ご家庭でも出さないようにお願いします1)。事故発生時での対応を学ぶことも大切ですが、このような食べ物を出さないことを徹底すると予防につながります。

 さて先月、山梨県での上映予定がないため、東京の田端にあるわずか20席しかない小さな映画館で「弟は僕のヒーロー」という映画を観てきました。この映画は実話を基に作成されています。イタリアの作品で、ダウン症の弟との関わりを兄の視点から描いています。兄は思春期を迎え、障がいがある弟を隠すようになっていく心理、ピュアな心を持ち続ける愛に溢れた弟、そして家族への愛情が表現されていました。障がい児を持つ家族にとっては同じような経験があって、大変な苦労と葛藤があるのだと思いました。そういった家族の思いを社会全体で共有することができれば、もっと温かい社会になるのではないでしょうか。上映中、すすり泣く声が聞かれたのが印象に残りました。

 今回の映画では障がい児を持つ家族の中の健常児の兄が主人公でした。このような家族の場合、親はつい障がい児に目を向けてしまいがちになります。健常児の兄弟にとっては、愛情が届きにくい状況になることがしばしばあります。

円滑な生活を送るために、健常児が家族の一員として、家事や障がい児の世話などの時間に追われるということが社会問題化されています。そのような状況にある子どものことを「ヤングケアラー」と言い、社会的に認知が広がってきています。今月はヤングケアラーについてお話します。

 

ヤングケアラーって?

 ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこどものことを言います。障がいや病気の家族に代わり、買い物・料理・洗濯・掃除などの家事、幼い兄弟の世話をしたりしています。責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうことがあります。2)2022年度に実施した調査結果において、山梨県内では、ヤングケアラーとして支援すべき子どもの存在が約28人に1人程度(3.6%)いることが明らかになっています。2022年12月、県でヤングケアラーやその家族に寄り添った支援を展開していくために、支援の方向性を具現化した「山梨県ヤングケアラー支援計画」が策定されました。その計画の中に、県民が正しい理解を深め、ヤングケアラーとその家族を支えられるように、ヤングケアラー本人への支援の充実と福祉サービスの充実を強化していくことが書かれています。3)

 

ヤングケアラー本人への関わり

 うちのクリニックでは、人工呼吸器や胃ろうなどを使用している医療的ケア児を対象としたデイサービスを運営している関係で、医療的ケア児の兄弟と診療などで出会うことがしばしばあります。そんな時はなるべく、積極的に声をかけるなどの配慮をしています。

 ヤングケアラー本人は特別扱いもしてほしくないと思いますが、ぜひ周囲の大人は気にしていきましょう。本人が困ったときは学校の先生・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・親戚の人など信頼できる周りの大人に頼ることが大事です。県のヤングケアラー相談窓口として電話・SNS・対面での方法があります。子どもに関する全般的な相談窓口でも構いません。話を聞くだけでも対応してくれます。1人だけで悩まないで。あなただけが、がんばり過ぎることはありません。あなたの家族を社会が関わることで支えていきます。

 

参考文献

 新年あけましておめでとうございます。

私は今年も子どもの代弁者たる小児科医として子どもファーストで真摯に向き合っていきたいと思っています。さらに今年は対面を意識して人の絆を深めていきたいと思います。

昨年11月末、第12回富士山マラソンに出場しました。天候にも恵まれ、雄大な富士山を眺めながら最後は体がボロボロになりながら42.195km走り切りました。結果は前回より30分も短く4時間40分!反省点は多々あるものの満足のいく走りでした。次回は4時間半以内を目指します。

 年末もインフルエンザの猛威が収まらず、さらにアデノウイルス感染症・溶連菌感染症・胃腸炎などの子どもたちの感染症の流行がみられています。当院では、アデノウイルスを調べる迅速検査キットが手に入らないため、アデノウイルスが疑われるお子さんには検査ができません。アデノウイルスは感冒のウイルスでもあり、特殊なウイルスではないので、過度に心配しすぎる必要はありません。まず、感冒の時と同じ対応をして、熱が長引き、水分摂取できないなどの場合は受診してください。

 2022年12月、文科省から通常学級に在籍する小中学生の8.8%が、学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害の可能性があることが発表されました。 今月は小中学生の1割弱が該当する「発達障害」について、どのようにしてわたしたちは向き合うべきかを考えていきます。

 

発達障害とは

 発達障害は脳機能の発達が関係する障害です。臨機応変な対人関係が苦手、こだわりが強いといった自閉スペクトラム症(ASD)、不注意・多動性・衝動性のある注意欠如・多動症(ADHD)、読み・書き・計算が苦手な学習障害(LD)などに分けられます。これらの発達の特性が重複してみられたり、強弱がみられたりします。その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。その原因は親のしつけや教育の問題でもないことが大前提です。

 

園・学校と家庭と医療機関の連携が大切!

 社会で生きていくためには、社会性やコミュニケーションが必要となります。発達障害のあるお子さんは、そこが苦手なため、園や学校で集団生活をすると、様々な問題や困難に直面することになります。健診・園・学校からお子さんの発達が気になることを指摘された場合は「様子をみること」はせず、専門の医療機関に相談をすることをお勧めします。医療側では発達特性を評価し、親に伝えていきます。療育の関わりで、専門的なアプローチでのお子さんへの関わり方を知ることで無駄に怒らず対応することができます。

 発達障害のお子さんは「できることをほめる」「できないことを叱らない」「視覚的な情報を提示して説明する」「説明や指示は短い文で、順を追って、具体的に」「安心できる環境を整える」「善悪やルールをはっきりと教える」「温かく見守る」などの対応を親や園・学校の先生が連携を取りながら進めていくと、集団でのストレスが減り、不登校や引きこもりなどの2次障害を防止することができます。

 

親の理解が大切!

 2005年に施行された発達障害者支援法で発達障害の認知が広がり、社会で認知されてきました。この法律の第一章に「発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うことが特に重要である」と述べています。つまり早期の対応の大切さを訴えています。発達障害の特性は生涯残ると言われていますが、子どもの柔らかい脳に適切な関わりをすることで、その特性とうまく付き合い、よい刺激を受けながら社会と一緒に生きていけるようになります。

親が気になって園・学校・医療機関に子どもの発達の相談をしていただくケースでは、お子さんの能力を最大限に伸ばす環境が整えられつつあります。一方で親に園・学校からの気になるお子さんであることを伝えても、なかなか理解していただけないケースがあります。こういった場合、適切な関わりができていないお子さんは生きづらさを感じ、ストレスが増し、自己肯定の低下などで不登校・引きこもりなどの2次障害に発展しかねません。子どもは親だけで育てることはできません。ぜひ、関係機関と連携をし、一緒に子育てしていくことが大切です。親に伝えて理解していただけない場合、私たちも諦めてしまいがちですが、将来ある子どもたちのために、親に理解してもらえるように何度も何度もお話させていただきます。親亡き後のお子さんを想像して、親だけに子どもを押し付けるのではなく、社会全体で子どもを育てる時代になることが一番の子どもたちの幸福につながります。子どもたちのために。

 

参考文献

学校の中の発達障害 SB新書 本田秀夫著

発達障害の早期発見・早期療育・親支援 金子書房 本田秀夫編著

通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について 文部科学省ホームページ

発達障害って、なんだろう?政府広報オンライン

発達障害者支援法 文部科学省

 先月上旬までは夏のような気温の日が続き、秋を感じることがないままに冬に移行したと感じます。クリニックでは例年11月はインフルエンザワクチン接種を集中して行うのが主なのですが、今年11月はワクチン接種とインフルエンザの流行が重なり、受診の要請があっても全て対応することができず忙しい状況が続いています。

子どもが小さいときは子育てで疲れることもあると思いますが、子育てが終わった後の私の体験談をお伝えします。私には今成人になった子どもが4人いますが、今は会う機会が徐々に減っています。先月、私は息子(24歳)に誘われ、フルマラソン出場のための練習で20キロを初めて親子一緒に走りました。日頃は会ってもあまり会話は弾まないのですが、一緒に走ると不思議と会話が弾み、楽しく思い出深い一時を過ごすことができました。子育て中は私たち親が子どもたちに時間や気持ちを与えるばかりだと思っていましたが、成長していく中で子どもたちは私たち親に少しずつ時間や気持ちの恩返しをしてくれるようになるのだと感じた出来事でした。これも子育てに向き合った人が感じることができるご褒美だと思います。今子育てに奮闘している保護者の皆さん、そんな日を夢見ながら子どもと一緒にいられる貴重な毎日を大切に過ごしてほしいです。

 先月に続き、今月もワクチンパレードに参加した体験談をお伝えします。今月は、日本産婦人科医会会長が一番訴えていたワクチン、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについてお伝えします。先月は、HPVワクチンはアメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダでは男性への定期接種が始まって、HPVは肛門がん・陰茎がん・中咽頭がんの発症原因になっていることをお伝えしました。私の息子たちが20歳代だったので、HPVワクチンの話をしたところ、4人とも進んで接種しました。

 

子宮頸がんについて

 子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。感染経路は性的接触と考えられています。そして、そのうち一部の女性が子宮頸がんに発症し、数年から数十年かけて子宮頸がんに進行します。

 子宮頸がんは年間約1万人が罹患し、約2800人が死亡しており、患者数・死亡者数とも微増しています。特に50歳未満の若い世代での罹患の増加が問題となっています。この年齢の女性は多忙を理由に検診率がなかなか上昇しない現状もあります。

 

HPVワクチンについて

 2013年から積極的な勧奨を一時的に差し控えていましたが、令和4年4月から他の定期接種と同様に、個別の勧奨を行なっています。さらに2・4価HPVワクチンに加えて9価HPVワクチンが今年4月から公費で使用できるようになりました。特に9価HPVワクチンは9割以上の子宮頸がんを予防できると推定されており、効果が今までよりも高くなっています。

 HPVワクチンと聞くと、マスコミにより大きく報道され積極的な勧奨を一時的に差し控えたとされるきっかけとなった手足の動かしにくさ、不随運動などを中心とする「多様な症状」のことを思い浮かべると思います。厚生労働省専門部会により「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係はなかったという報告や2015年に名古屋市で行われた約3万人のアンケート調査では、24種類の「多様な症状」の頻度がHPVワクチンを接種した女子と接種しなかった女子で有意な差がなかったことが明らかにされています。

 定期接種の時期は小6から高1までの女子が対象で、さらに接種ができなかった平成9年から平成17年度生まれの女性に2025年3月まで公費での接種ができます。前向きに検討されることをお勧めします。

 

HPV検査を導入検討

 HPVワクチンで予防し、さらに検診で早く病気を見つけることで子宮頸がんを大幅に減らすことが期待できます。国では子宮頸がんの検診は現行では20歳過ぎたら2年に1度の細胞診(変化した・がん化した細胞がないか)を勧めています。2024年度から導入を検討しているHPV検査(30~60歳)はHPVが感染していないかを調べるもので、より早い段階でがんとなる可能性がわかるようになります。HPV検査で陰性であれば、細胞診は2年ごとであるのに対して、HPV検査が陰性であれば5年ごとになり、検診の負担も軽減できると言われています。但し、HPV検査陽性者はその後、細胞診を行ない、長期的なフォローが必要になるため、自治体での体制づくりが課題とされています。

 子宮頸がん予防のために、まずHPVワクチン接種、20歳代で2年に1度の細胞診、30歳以降で来年度以降検討されている5年ごとのHPV検査で患者数を大幅に減らすことが期待できます。ご自身の健康のためそして家族のためにも、ワクチンと検診をお考えください。

 

参考文献

子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために 日本産婦人科学会

子宮頸がん検診におけるHPV検査単独法の導入について 厚生労働省

 

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