

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。



小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
桜も散り、新緑溢れる季節となりました。気持ちも前向きになりますね。
一方で、京都小6遺体遺棄事件については大変残念な気持ちになりました。 将来ある子どもを親が殺めることはどんな理由があろうとも決して許されることではありません。複雑な家庭環境にある子どもたちに寄り添う必要性を痛感しました。3月に、妻と一緒に都内の映画館で「女性の休日」を観てきました。この映画は1975年10月24日、アイスランド全女性の90%が仕事も家事も一斉に「休んだ」歴史的ムーブメントを振り返った、知られざる運命の1日のドキュメンタリーです。国は機能不全となり、女性がいないと社会がまわらないことが証明されました。その後も1985年・2005年・2010年・2016年・2018年・2023年の10月24日に実施。今、アイスランドは最もジェンダー平等が進んだ国となっています。世界経済フォーラムでは2025年、ジェンダーギャップ指数ではアイスランドが148か国中1位、日本は118位(G7中最下位)でした。しかし、日本では昨年度初の女性首相が誕生しました。少しずつギャップが埋まってくることを望みます。
今月は「5歳児健診」についてお話します。5歳児健診は以前から県内でも一部の市町村で実施されていましたが、ここ最近、こども家庭庁からの後押しもあり、多くの市町村で今年から開始したり、まだ実施しない市町村も近いうちに始まると思われます。
5歳児健診とはこども家庭庁からの通知で「幼児期において幼児の言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期であり、保健、医療、福祉による対応の有無が、その後の成長・発達に影響を及ぼす時期である5歳児に健康診査を行い、子どもの特性を早期に発見し、特性に合わせた適切な支援を行うとともに、生活習慣、その他育児に関する指導を行い、幼児の健康の保持及び増進を図ること」と明記されています。
5歳児健診では、今までの健診と同じように成長や発達、生活リズムをチェックします。具体的には、身長と体重を確認し、身体が健康かどうかを調べ、目や耳の具合についてもお聞きします。そして発達については、同年代のこどもと協力しあったり、ルール遊びができたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちをくみとったりすることができるかを確認しています。多くの場合、事前にご家庭に問診票が郵送され、ご家族にチェックしてもらいます。食事、運動、睡眠、メディアの利用など、毎日の生活の状況についても確認します。気になるくせ、きょうだいのことなど、日ごろの心配事や困りごとについての子育て相談もできます。小学校に安心して、通学するために順調に成長・発達しているか、何か心配なことや困っていることがないかを健診会場で保健師や医師と一緒に確認します。
5歳児健診では発達障害かどうかを診断することはありません。お子さんの困り感やご家族の心配事などについて一緒に考えて、どうするかを相談する場所です。もし、日々の生活の中で、お子さんが困っていたり、ご家族が気になっていることがあれば、5歳児健診の機会に、保健師・医師にご相談ください。5歳児健診を実施した自治体では、不登校となったお子さんが少なかったという調査1)もあります。5歳児健診導入することで親子の困り感が減る一方で、学校側は対応法が早い段階でわかり、お子さんがスムーズに学校生活ができているのでしょう。
こども家庭庁では、「5歳児健診ポータル」というサイトを立ち上げています。そのサイトの「保護者の方」の中に、保護者向けにわかりやすい言葉で内容が述べられています。「みんなでいこう!ごさいじけんしん」では、お子さん向けにweb絵本があり、こどもと一緒に楽しめるサイトもあります。お子さんに事前に説明することで安心を得ることができます。
家庭ではごく普通に話すのに、幼稚園・保育園や学校などで話をしたりすることができない状態を「場面緘黙」といい、5歳児健診の中で確認する項目の一つに挙げられています。お子さんが保健師や医師にうまく答えることができない場合は、「場面緘黙」の可能性があります。不安が強いお子さんに現れます。安心させる環境づくりを園・学校に配慮してもらえると少しずつ話ができるようになります。
5歳児健診は多くの市町村で初めての健診で、お子さん・親・保健師・心理士・教師などの教育関係者・医師など多くの方が関わります。受ける側も提供する側も慣れておりませんので、両者で将来あるお子さんのために協働して構築していく必要があります。
5歳児健診マニュアル こども家庭庁
5歳児健診ポータル こども家庭庁
1) Korematsu S, Takano T, Izumi T. Pre-school development and behavior screeningwith a consecutive support programs for 5-year-olds reduces the rate of school refusal. Brain Dev. 2016;38:373-6.
アメリカ・イスラエルがイランを攻撃し、ホルムズ海峡封鎖に伴いガソリン価格が上昇しています。ロシアとウクライナの戦争も終結していない中で、世界平和が程遠い事態となって心が痛みます。人間は大昔から戦いを繰り返して殺し合って苦しんできました。歴史から学び、戦争を止めることができないのでしょうか。
今月はお子さんにとって入学・入園だけでなく、クラス替え・担任が変わるなど変化を伴う時期となります。新しい生活に慣れないと、園・学校への行き渋り、腹痛・頭痛など体に症状がでる場合があります。まず、お子さんの話をよく聞き、様子を気にかけてください。子どもとの対話が大切です。もし気になれることがあれば、園・学校の先生にお伝えすることも大切です。
そして、親子とも花粉症でお困りの方も多い頃かと思います。私も花粉症ですが、体が老いてくると免疫機能も老いて低下するため、若いときにあった夜間鼻づまりで起きることはなくなってきました。年を取ることは悪くないと思えることの一つです。今までの花粉症の治療は花粉を遠ざけ、症状緩和のお薬を使用することしかありませんでしたが、2018年からスギ花粉症の舌下免疫療法の薬が誕生し、体質を改善できる治療があります。そのお薬を舌の下に1分間置くことを毎日3年間続けていくと、症状が緩和されます。特に症状がひどい方は生活に支障がでていると思いますのでぜひお勧めしたい治療です。
今月取り上げるRSウイルス感染症はインフルエンザ同様、子どもたちにとってかかるとダメージの強い感染症です。これまで子どもたちをRSウイルス感染症から守るお薬はシナジス・ベイフォータス(RSウイルスに対する抗体)という注射薬を早産などの赤ちゃん対象に接種していました。今月4月からは妊婦さんを対象にRSウイルス感染症に対する母子免疫ワクチンが定期接種化されました。全妊婦さんに注射することで、すべての赤ちゃんをRSウイルスから守れる体制が整います。今月はこの母子免疫ワクチンについてお伝えします。
RSウイルスにかかると、年齢問わず、何度も感染を繰り返しますが、初めてかかると、より重症化しやすいと言われています。特に生後6か月以内に感染すると、細気管支炎や肺炎など重症化することがあります。生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が少なくとも1度はかかります。潜伏期間は2~8日、接触・飛沫感染によって広がります。症状は発熱・鼻汁・咳などがあり、迅速検査により診断が可能です。治療には特効薬はなく、症状を和らげる対処療法を行います。
乳児は免疫の機能が未熟なため、抗原に暴露しても自力で十分な量の抗体を産生することができないとされています。母子免疫ワクチンとは、妊婦の方が接種することで、母体内で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生まれたお子さんが出生時からRSウイルスに対する予防効果を得ることができます。つまり、妊婦さんにワクチンをすることで作られた抗体がおなかの赤ちゃんに移行し、生まれる前からRSウイルスに対する抗体をもっているため、RSウイルスにかかりづらい状態になって生まれてくるのです。
今月から始まるRSウイルス感染症に対する母子免疫ワクチンは妊娠28週0日から36週6日までの時期に行います。生後6か月以内に発症を予防する効果は約5割、重症化を予防する効果は約7割でした。妊婦さんへの安全性は主な副反応として疼痛(40.6%)、頭痛(31.0%)、筋肉痛(26.5%)などがみられます。生まれてきたお子さんに対しては重大な懸念は認められていません。
最後に、母子RSワクチンによりRSウイルス感染症にかかる赤ちゃんが重症化しづらくなることが期待されます。子どもたちから感染症を守る体制がまた1つ強化されました。しかし、おたふくかぜワクチンがまだ定期接種化されていないのが現状です。1日でも早い定期接種化を強く望みます。
RSウイルスワクチン 厚生労働省
ようやく春がやってきますね。
私は健康維持にマラソンをしています。昨秋から2~3km走ると膝が痛くなる状況が続き、ネットで調べると靭帯の炎症が疑われたので、筋力を鍛え、ウォーミングアップ等の対処法をしっかりとしたところ、膝の痛みがなくなってきました。老い始めている体を労わりながら、無理せず健康維持に取り組んでいきたいと思います。
先月は子どもの性被害についてお伝えしました。ここ1か月間の報道だけでも、「学童クラブの支援員だった保育士の男が泊まり保育で就寝中の男子児童にわいせつな行為をした疑いで逮捕」「埼玉県の公立高校内で男子生徒の着替えを盗撮したとして同校教諭を逮捕」という記事がありました。被害対象が女の子だけではないことがわかります。今月も子どもの性被害についてお伝えします。
小児性愛障害は精神疾患の病名です。アメリカ精神医学会による『精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)』では診断基準として、「思春期前の小児を対象とする性的興奮をもたらす反復的な強い空想、衝動、または行動が6か月以上にわたり認められる」「本人が衝動を行動化しているか、その衝動および空想によって著しい苦痛または機能障害が生じている・そのような衝動または行動に関わる苦痛の経験は診断の要件とされていない」「本人が16歳以上でかつ空想または行動の対象である小児より5歳以上年長である」と記されています。大半は男性、フィンランドやドイツで行われた大規模調査では有病率1%でした。
2011年、熊本市で当時3歳の女児が家族と一緒に買い物に来た女児を障碍者用トイレに連れ込んだ後、女児に対してわいせつ行為を行い、口を塞いだ状態で首を絞めて殺害した痛ましい事件がありました。この事件では父親が女児1人でトイレに行かせて、犯人が後をついて犯行に至りました。250人もの加害者と対面してきた斎藤章佳さんによると、外見は「特徴がない」のが特徴だそうです。どこにでも存在し、子どもに近づいてもあやしまれにくい人物像です。アメリカの児童保護サービス機関の全国データによると、小児被害のうち81%が子どもと加害者が1対1になったときに起きていたそうです。子どもがひとりきりになるチャンスをうかがっていることがわかります。1対1にならなければ起きづらいとも言えます。
外見では見分けられない小児加害者を行動で見分ける必要があります。加害者に共通する特徴的な行動として、入念な下調べのもと子どもに接触し、子どもに接する職業や役割に就いてきます。グルーミングとは性加害を目的に親切を装って子どもに近づき、信頼や依存を高めて油断させていくことです。子どもは心身が発達段階にあり、人間関係の経験値も少なく判断能力が充分に身についていないので、優しくしてくれたり、お菓子をくれたりする大人に近づいていきます。徐々に接近し、肩や太ももなど一見無害な場所へのタッチからはじめて、次第にあからさまな場所を触ってきます。また、SNSやゲームなどのオンラインを通して、相談相手になったり、リアルに会うことを求めたり、下着姿や裸の写真を撮って送るように要求したりします。グルーミングの恐ろしい所は、被害を被害と思えず、発覚しときに子どもが加害者のことを「悪く言わないで!」と言い、「加害者に迷惑がかかるから」と口をつぐみ加害者をかばうことです。
子どもたちは未熟なので、親・園・学校だけでなく、社会全体で子どもの性暴力を守っていく必要があります。対象は男児、女児関係なく、年齢も乳児から加害されます。診察中に医師と子どもだけの1対1の空間をつくらない・学習塾などでは保護者同伴でなければ面談をしない・面談をするときには必ず講師やスタッフをもう1名同席させるなどで密室を防ぐことも大切です。
子どもたちへの性教育は小児性暴力の予防につながります。日本の性教育は世界水準を大きく下回っており、世界標準の「包括的性教育」を導入していくことが望ましいと言われています。山梨県内では、県医師会の「性(生)教育講師派遣」事業で産婦人科医らが講師となって、小中高校生に講演を行っています。子どもたちに正しい知識が普及することを願っています。
さらに、加害者が再犯させないための認知行動療法などの治療プログラムを導入することも必要です。また、子どもと接する職場(学校・保育所など)で働く人の性犯罪歴の有無を雇用主がチェックし、犯罪があれば就労を制限する「日本版DBS」が導入される予定になっています。少しずつではありますが、子どもたちを性犯罪から守る環境が整えつつあります。未来ある子どもたちを守るために、一層の医療・教育・法的整備を含めた社会全体の取り組みが求められていると感じています。
今西洋介 小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害 集英社 2024年
年末年始は家族・親戚・友人とゆっくりと過ごした方も多いと思います。うちの家族7人はすでに4人が家から離れて県外で生活をしているため、日頃、家族全員で会う機会はなく、1年ぶりに年末年始に全員揃って会うことができました。家族でしか言えない突っ込んだ話をしたり、年越しでは私たち夫婦は早々就寝するも、兄弟5人で深夜遅くまでボードゲームに興じながらバカ騒ぎをしていたようで、家族の絆を確認することができました。
最近、私のクリニックでは父親が診察室に来られることが以前より多くなったように感じています。私が父親に「今日、お仕事は?」と聞くと、以前までは「ちょうど仕事が休みの日です」という感じでしたが、「育休中です」と言われることが多くなり、育休を取得できる職場が多くなっていると実感しています。育休の経験をした父親は、育休後も母親・家族に対して協力的になってくると思います。中には「仕事よりも家事の方が好きです」といった感想を聞くこともあり、子育ての環境も少しずつ変化していますが、まだまだ世の父親は育休をしっかりと取れていないのが現状です。人生100年の時代で、子育ては期間限定です。仕事はずっとできますので、子どもが生まれたら、車に例えると仕事のギアーを「D(ドライブ)」から「2(セカンド)」に落として、子育てを楽しんではいかがでしょうか。
最近、中学生・高校生の時、実父から性的暴行を受けていた娘の告白・塾講師の盗撮・児童へのわいせつな行為した保育士など、子どもへの性暴力事件についての報道を見聞きすることが頻繁にあります。私自身、子どもから性被害を打ち明けられた経験はありませんが、数年前、母親から一緒に住んでいる義父に体を触られて困っていることを相談されたことがありました。今月は「子どもの性被害」について考えていきたいと思います。
「性暴力」とは同意のない性的な行為のことです。こどもに対する性暴力の例としては、「着替え・トイレ・入浴をのぞかれた」「抱きつかれた、キスされた」「服を脱がされた」「水着で隠れる部分(プライベートゾーン)を触られた」「痴漢にあった」「下着姿や裸の写真・動画を撮られた、送るよう要求された」が挙げられます。
内閣府男女共同参画局が若年層を対象に令和3年度行った調査では、回答者6224人のうち、被害に遭遇したことがあったのは1644人(全体の26%)、つまり若年層の4人に1人は性被害経験があったことになります。そのうち被害経験に最初にあった年齢は0~6歳が2.5%、幼い子さえも性的対象になっています。さらに厚生労働省の「潜在化していた性的虐待の把握および実態に関する調査(令和2年度)」を基に、「推定で1日1000人以上の子どもが何らかの性被害に遭っている」とする調査もあります。
子どもの場合、性についての知識と経験をまだ身につけておらず、被害を受けていながら「何をされているかわからない」という状況に陥ります。性暴力は家族や友人など誰にも言えない場合も多く、実数は報告されている数よりもはるかに多いと想像できます。
先程の厚生労働省の調査で年間女児が約31万人、男児が約7万人被害に遭っているという報告からも、決して女児だけが被害に遭うのではないことがわかります。皆さんもご存じの「ジャニーズ性加害問題」はジャニー喜多川が少年たちに性加害を繰り返していました。「男の子だから大丈夫」という考えは危険をだと言えます。
加害者は知らないオジサン、つまり見知らぬ相手であるケースは決して多くなく、むしろ顔見知りの方(親・親の恋人・親族)が多いです。家庭内では簡単に密室をつくれますし、上下関係があるため発覚しにくい状態にあります。また250人もの加害者と対面してきた斎藤章佳さんによると、加害者の外見は「特徴がない」のが特徴だそうです。どこにでも存在し、子どもに近づいてもあやしまれにくい人物像です。つまり、外見からでは見分けがつきません。
子どもから被害を打ち明けられたら、必ず「話してくれてありがとう」「あなたは悪くないよ」と繰り返し伝えてください。話を疑ったり、否定したりせず、子どもの話を信じて寄り添いながら聞いてください。専門家でない大人が子どもの話を聞きすぎると、子どもの記憶に影響してしまう場合(記憶の汚染)があります。できるだけ早く警察、ワンストップ支援センター、児童相談所などの専門機関に相談しましょう。子どもの性被害は家族だけで子どもを守ることはできません。まず、みなさんが「子どもの性被害」について知ってもらい、自分に何ができるかを考えるきっかけになれば幸いです。
こどもを性被害から守るために周囲の大人ができること 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/article/202312/entry-5240.html
今西洋介 小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害 集英社 2024年
新年、明けましておめでとうございます。昨年は夏の異常な暑さ・昨年の漢字が「熊」、住宅街に熊の出没・目撃情報の報道と例年と違った1年でした。今年はロシアによるウクライナへの侵攻など、国家間の争いが収まることを切に願っています。お互いのズレを武力ではなく、話し合いで解決していくことができないのかと考える日々です。少なくとも自分たちの国は同じ過ちをしないように尽力していくことは大切なことだと感じています。武力はお互いを幸せにしないことは皆が知っていることだと思います。
先月、富士山マラソン(フルマラソン)に出場してきました。ただ、秋から膝の痛みが続き、完治しないまま、走りましたが、20キロ付近で膝の痛みが強くリタイヤしました。もう若くない自分がいやになりますが、年には勝てませんね。来年に向けて、ゆっくり調整していきます。
2024年度前期に放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」をNHKオンデマンドで、妻・娘と一緒に先月、観終わりました。主演は日本初の女性弁護士、後に裁判官となった三淵嘉子をモデルにしたオリジナルストーリー、女性の権利や法律の重要性をテーマにしていました。うちの娘に昔は今よりももっと男社会での女性に対して生きづらかったかを知ったのではないかと思います。今月は先月に続き、小児救急医療についてお話をします。
小児救急医療体制が構築された20年前の救急の様子は、インフルエンザ・感冒・胃腸炎など感染症・喘息発作で苦しくなり受診するケースがメインでありました。
特にロタウイルスによる胃腸炎の場合、嘔吐・下痢の症状が強く、点滴することも多く、点滴して症状が改善せず入院することもしばしばありましたが、2011年からロタウイルスワクチンが誕生し、胃腸炎で点滴する機会がぐっと減り、入院も激減しました。2013年からヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンが始まり、髄膜炎が激減、2014年から水痘ワクチン定期接種化で水痘の激減など、数々のワクチンの誕生や定期接種化で、子どもたちが以前よりも病気にかからなくない時代が到来しています。来年4月から妊婦さんを対象にRSウイルスワクチンを定期接種化になり、新生児や乳児がRSウイルス感染症にかかりにくく、重症例も減ることが予想され、子どもたちが種々のワクチンによって多くの病気にかからなくなっています。
最近、気になるのが子どもの心の問題で、頭痛・腹痛・胸痛などを訴え、救急受診することも少なくありません。心の問題は、すぐに解決できることが難しく、救急での受診だけでは不十分であります。心の問題の場合、かかりつけ医で相談をし、必要があれば専門機関へ受診がお勧めです。さらに子どもの虐待件数が増えていく昨今、背後に「虐待」が潜んでいなかも考慮をする必要があります。救急受診において、感染症などの病気だけでなく、心の問題に着目しながら対応する時代に入っています。
小児初期救急医療センターの体制が20年間続けられたことは協力した小児科医・看護師・事務員らの努力の賜物です。一方で日本の人口が減少、少子化と縮小していく時代、小児救急医療体制も修正が必要になってきます。
現在、県内の小児救急体制において、1次救急(小児初期救急医療センター),2次救急(市中病院),3次救急(山梨大学附属病院)に別々の場所に分散されています。近未来は、1~3次救急を一か所(センター方式)に集約せざるを得ない時期が来ると思います。受診した患者側は1次から2次、2次から3次へ転送する時間のロスがなくなり、患者負担が軽減できること・転送がなくなることで救急車の要請が不要・小児科医らのスタッフの集約化・人件費・設備などの経費が軽減できることなどの効率化が挙げられます。このセンター方式は20年前、小児初期救急医療センター立ち上げるための検討委員会でも理想的であると答申されていました。
一番大切なことは「子どもたちによりよい医療を提供すること」、つまり医療の質を上げること、助けられる命を救うことです。子どもたちは声を上げられない立場にいます。子どもたちのために、よりよい救急体制を検討していただけると未来の子どもたちの財産になります。