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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 2022年も残すところ1か月を切りました。年越しへ向けて慌ただしさが増している頃ではないでしょうか?今秋は3年ぶりのお祭りなどの行事が再開され、ウィズコロナの生活に転換しつつある兆しが感じられます。子どもたちの園・学校生活も同様にのびのびできるようにと願うばかりです。

 11月6-9日、県立図書館のイベントスペースにて「18トリソミーの子どもたち写真展」が開催され、見に行きました。うちのクリニックに併設している重症心身障がい児一時預かり施設でご縁があるお子さんの写真も展示されていて、身近に感じました。一方で全国の18トリソミーの子どものたくさんの写真を目の当たりにしたことで、子どもはもちろんのこと、家族や兄弟の環境や心境にも思いを寄せる時間となりました。企画・運営した保護者の方と話をしたところ、この写真展を契機に同じ環境の人と初めて話したという家族もいたそうです。SNSのつながりが容易になってきた時代ですが、顔を合わせて直接話したことで得られた元気・勇気が孤立していた家庭の新たな一歩に繋がることを願うばかりです。

 今月は子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについてお話します。HPVワクチンは小学校6年から高校1年相当の女子が接種対象で、2013年に定期接種化された直後、体の痛みなどを訴える人が相次いだため、積極的な接種の呼びかけが中止されていました。8年間の経過を経て、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められず、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたため、今年4月から定期接種が再開されました。さらに今年11月の発表で、来年4月から従来の2・4価だけでなく、より効果が高いとされる「9価」ワクチンの使用が可能になりましたのでお話します。

 

子宮頸がんについて

 子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、20~40代の女性を中心に毎年約1.1万人が新たに診断されて、年間約2,900人が亡くなっています。30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も毎年約1,000人います。性的な接触によるHPVの感染が原因と言われ、感染してもほとんどの人は自然に消えますが、一部の人でがん化します。HPVワクチンは感染を防ぐことができ、将来の子宮頸がんを予防できることが期待できます。合わせて20歳をすぎたら2年に1度の子宮頸がん検診受診が大切です。

9価HPVワクチン

 HPVワクチンは定期接種で使用できるのが2・4価ワクチンの2種類があります。2価ワクチンは子宮頸がんをおこしやすい16・18型のタイプの感染予防効果があり、4価ワクチンはこの2つのほか、良性のいぼ(尖圭コンジローマ)の原因となる6・11型にも効果があります。2・4価ワクチンともに子宮頸がんの約50~70%を防ぎます。さらに来月4月から追加される9価ワクチンは16・18型に加えて、31・33・45・52・58型のタイプまでカバーでき、約90%防ぎます。欧米をはじめ多くの国では9価ワクチンを使用しています。

 

安全性のデーター

 2015年、HPVワクチン接種と接種後報告され多様な症状を認めた24症状の因果関係を調べるために、名古屋市によって約7万人の若年女性を対象に大規模疫学調査が実施されました。調査結果から、非接種群と比較して、この24症状のいずれの発症率も接種群で有意な上昇は認められなかったそうです。

 

親子で接種について話そう!

 2013年、HPVワクチンが始まって2か月後に接種後の副反応と見られる症状の報道が多くの親御さんは今でも記憶に残っているのではないかと思います。実際、HPVワクチンの接種券が届き、効果も知りつつ接種すべきかを迷っている人も多いと思います。情報が厚生労働省ホームページなどに詳細に記載されており、わかりやすく一般向けのリーフレットなどもあります。親子で読んでいただき、特にお子さんが納得するように親子で話をしていただくことがよいのではないかと思います。このプロセスが今後の親子関係にもよい影響があると思います。日頃、勉強ばかりの話に行きがちですが、体が資本です。健康でなければ何事も前に進みません。接種に迷った場合はかかりつけ医に相談しても良いと思います。自分の体のことですのでお子さんの納得が大切だと思っています。ちなみに私の娘(小4)がまもなく接種対象を迎えますが、親としては9価ワクチンを勧めるつもりです。

 

参考文献

ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 先月は園・学校の運動会があって久しぶりにお子さんの学校での様子を目に焼き付けることができたのではないでしょうか。

 今夏、南半球に位置するオーストラリアではインフルエンザ流行が確認されています。国内では先月から入国者の大幅な緩和により、人の流動が活発になることを考えると、今冬はインフルエンザ流行の可能性が高まると予想されています。流行に備えて、インフルエンザワクチンの接種を強くお勧めします。

 9月に理化学研究所から赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけについての研究結果が発表されました。生後7か月以下の泣いている赤ちゃんを【抱っこして歩く】【抱っこして座る】【ベビーカーに乗せて動かす】【ベッドに寝かせる】という4種類の動作で泣き止むかどうかをそれぞれ30秒間試したところ、【抱っこして歩く】【ベビーカーに乗せて動かす】という2つの動作が泣き止むのに効果的であることがわかりました。その上もっとも効果のあった【抱っこして歩く】ことを5分間続けると、46%の赤ちゃんは眠ってしまいました。さらに寝ている赤ちゃんをベッドに置くと、起きてしまった赤ちゃんは寝始めから平均3分間でベッドに置かれたのに対して、寝続けられた赤ちゃんは平均8分間寝てからベッドに置かれていました。赤ちゃんが泣いたら、抱っこして5分歩き、寝ていてもすぐにベッドに置かずに5~8分程度、抱っこしたまま眠りが深くなるまで待つことが寝かしつけのコツであることを伝えていました。寝かしつけの際に実践している方も多いかと思いますが、研究結果からの検証という面からも自信をもって子育てに役立てていただけたなら幸いです。

 今月は子どもへの向き合い方についてお話をします。どんな親でも自分の子どもにはより素晴らしい人間になってもらいたいと願っていると思います。しかし、その期待が過度になると子どもが生きづらくなることもあることを自分の子育ても振り返りながらお伝えします。

 

私の経験談

 私には子どもが5人いて、5回の子育てを経験しています(第五子は未だ子育て中です)。第一子の時は私も初めての子育てのため、当然力が入りました。私は特に勉強に力が入ってしまい、必要以上に第一子に関わった結果、最後は叱ってばかりとなり、一時期父子関係が悪化したことがありました。その経験から猛省をし、その後は自分から勉強に関わらないように努めました。子どもは親の期待を充分に理解しています。その子の思いや生活を尊重し見守ることを学びました。第二子以降の子育ては徐々に力の加減がわかり、第一子と比較するとよい父子関係になりました。親子関係は乳幼児期や学童期のみでなく、一生涯続きます。そのため子どもが成人しても、お互いを尊重しあえるよい親子関係を築きたいものです。父子関係が悪化した時、調整役に妻が大きな役割を果たしてくれたことで、父子関係の改善ができました。この場を借りて妻に感謝したいと思います。

 

子どもを抑えすぎると

 ほとんどの親は子どもが生まれたとき「生まれてきてありがとう!」と思います。そして歩けたこと・言葉が出たこと等の子どもの成長を見て大喜びします。子どもの成長とともに、次第に子どもに「将来はスポーツ選手にさせたい」「自分と同じような職業につかせたい」などと様々な期待を抱き始めます。親子2人3脚で一流スポーツ選手になったことを伝えるメディア情報等を見ると、英才教育への進む親の考えもあると思います。それはスポーツだけではなく、勉強についても同様です。一方で現実に成功するケースはそう多くはなく、挫折し、子どもの心に大きな傷を負う場合も少なくありません。将来ある子どもの大きな挫折は、子どものその後の人生や親子関係に大きな影響を及ぼすことになりますので、親子のみで対応することはお勧めしません。

 実際に親の期待により勉強やスポーツを頑張りすぎているお子さんの中には、親の思いを気にするがあまり休んだり手を抜いたりすることができず、体に不調を訴え、当院を受診するお子さんがいます。頭痛・腹痛などを訴えるようなら、今の生活を見直してください。さらに頭痛・腹痛などが続くようなら、学校以外の習い事は一旦、休んでみてください。きっとよくなります。

 

小学生の柔道全国大会廃止

 今年3月、小学生の柔道全国大会の廃止が決まりました。廃止は行き過ぎた勝利至上主義が散見されていたことが理由です。勝利至上主義は勝つことを最優先に考えるため、他のことを軽視しがちになり、指導者や親が過熱し、子どもを追いつめてしまいます。

 スポーツだけでなく、勉強も親が厳しく対応しすぎて、行き場を失うと子どもを自殺に追い込むこともあります。指導者や親のエゴで子どもと対応せず、その子の持っているよさを見極め、見守ってもらいたいです。子育て期だけでなく、その後の親子関係がより良いものであるように願っています。

 

参考文献

理化学研究所ホームページ

全日本柔道連盟ホームページ

 先月は多くの小学校で運動会が行われました。長引くコロナ禍により学校でのお子さんの様子を知る機会が少ないため、久しぶりにお子さんの成長を感じたのではないかと思います。コロナ対策も少しずつ緩和しておりますが、まだ生活の制限が多々あります。コロナ対応を意識しすぎることにより、自殺者数の増加や出生数の減少など負の側面が表出しており、ますます生きづらい社会になってきているように感じています。合わせて自粛疲れで、人間関係がギスギスしてしまい、小さなトラブルが様々な場で見受けられます。政治家の方には専門家の意見を参考に自粛解除の流れを加速していただけたらと思っています。子どもたちの健全な発育を育むためにも是非検討していただきたいです。

 今月は思春期に起こりやすく、自律神経の働きが悪くなることによって生じる起立性調節障害についてお話します。

 

起立性調節障害とは

 自律神経は意思に関係なく体を調整し、体温・呼吸・発汗・消化など生命の維持に必要な働きをしており、交感神経と副交感神経に分かれています。この2つの神経がバランスを保って体を支えています。起立性調節障害とはこの自律神経の働きが悪くなり、起立時に体や脳への血流が低下する病気です。症状としては朝起きることができない・食欲不振・全身倦怠感・頭痛・立っていると気分が悪くなる等があります。症状は午前中に強く現れて、午後からは体調が回復します。夜には元気になり、目がさえて眠れません。症状の程度が日・天候によって異なり、一般的には春先から夏に悪くなります。小学校の約5%、中学生の約10%の頻度で見られ、男女比は1:1.5~2、好発年齢は10~16歳、不登校の3~4割は起立性調節障害が占めていると言われています。

 

診断と治療

 立ちくらみ・めまい・立っていると気持ち悪くなる・朝起きられないなどの症状をいくつ満たすかという診断基準で、血液・尿検査などで他の病気を除外した上で診断をしていきます。さらに、寝ているときと急に起こした時の血圧・心拍数を計測する『新起立試験』を用いて4つのサブタイプを分類しています。

 治療でまず大切なことは、本人のさぼりや怠けが原因でないことを親や教師が理解することです。朝起きられないといった症状があるので、ついつい気合でなおそうと思いがちですが、自律神経の乱れから起こる病気であることを理解していただきたいです。

まずは日常生活を見直すことから始めます。早寝早起きのリズムを正しくし、だるくても日中は横にしないようにします。朝起きるときは頭を下げたまま歩き始めてください。頭を上げて立ち上がると脳血流が低下して気分が悪くなります。立ち上がる時(入浴時など)には急に立ち上がらずに30秒ほどかけてゆっくりと起立してください。朝起きられない場合は声掛けをしながら、カーテンを開けて朝日を入れてください。運動は散歩などの軽いものでもいいので、1日15~30分程度はしましょう。食事は塩分(1日10~12g/日)を多く摂取し、循環血液量を増やすために水分は最低1.5リットル必要です。適切に行うことで、軽症例では数か月以内で改善します。生活を見直すことをしてもよくならない場合は昇圧薬などの薬物療法も加えて対応していきます。

 

気になる場合は早めに医療機関へ

学校側の理解も大切で、起立性調節障害はよくある病気であることと捉えて、午後からの登校も快く受け入れていただけると回復が早くなります。

 実際の例をお話します。そのお子さんは今まで、友達とのトラブルもなく、毎日、楽しく学校へ行けていましたが、ある日を契機に朝起きることができず、母が何度も、起こしてもベッドから起きることができませんでした。ただ、昼過ぎから動けるようになり、夜にはすっかりいつも通りの元気さになっていました。学校も休みがちになったことで、私のクリニックに受診しました。他の病気を除外し、診断基準から起立性調節障害と診断、上記に述べた生活の見直しをお願いしたところ、徐々に症状は回復し、1か月程度でいつも通りに学校へ行けるようになりました。このケースは軽症だと思われます。不登校が長期間に及ぶと、体をあまり動かしていないため、症状もすぐに軽快しません。親や学校側が本人の怠けと思い込んでいると、解決が遠のいてしまいます。気になる場合は医療機関を早めに受診をして、適切な方法で症状と向き合っていくことをお勧めします。

 

参考文献

小児心身医学会ガイドライン集 南江堂

理化学研究所ホームページ

 3年ぶりの行動制限のない夏休み、いかがでしたか?

帰省や、海・山へ行き貴重な思い出ができたのではないかと思います。私は県外にいる4人の息子たちと会い、久しぶりに家族全員7人で会うことができました。社会人や大学生の息子たちの話を聞き、我が子の成長を感じ感慨深いものがありました。成長している子どもたちとは正反対に、年を重ねた50歳過ぎの私は最近、無意識に眼鏡を頭の上に掛けて近くをみるようになっていました。先日眼鏡を帽子の上に引っ掛けたことを知らずに、「眼鏡がない、眼鏡がない」と妻に伝えたところ、急に妻が大笑いし、自分のかぶっていた帽子に眼鏡が引っ掛かっていたことを指摘されました。続いて私も大笑い、老夫婦の珍事でした。

 7月中旬、千葉県にて全国病児保育協議会の研究大会が開催されました。夜尿の講演を聞いていたところ興味深い話を聞きました。様々な動物の排尿についての話の中で、ゾウの排尿時間はどのくらいかと質問がありました。答えは21秒だそうです。2015年、米ジョージア工科大のチームの研究で「体重が3キロ以上の哺乳動物の排尿時間はすべて約21秒である」ということを明らかにしたそうです。犬や猫からゾウやシロクマもヒトも平均21秒で排尿するそうです。動物園に行く機会がありましたら、ぜひ排尿時間を測定してみてください。

 1991年から3歳児健診に視覚検査が導入され、全国の自治体で視力検査が始まりました。しかし多くの弱視が見逃されてきた現状があり、近年、簡便な屈折検査機器が登場したことがきっかけで、2021年7月日本眼科医会から「3歳児健診における視覚検査マニュアル」が策定されました。子どもの弱視の発見のために屈折検査機器を積極的に導入することが期待されています。今月は子どもの弱視についてお話します。

 

子どもの視力

 子どもの視力は出生直後には目の前のものが動くのがわかる程度しかなく、眼球や脳の発達に伴い急速に発達します。視力は生後3か月では0.05、1歳では0.2、2歳で0.4、6歳には1.0程度に到達します。また、子どもの視力は3歳までに急速に発達し、6歳から8歳頃には完成します。

 

弱視とは

 子どもの弱視は50人に1人あると言われ、医学的には「視力の発達が障がいされておきた低視力」と言われています。つまり、弱視とは乳幼児期に何らかの障がいがあり正常な視力の成長が止まってしまい、眼鏡をかけても十分に視力が得られないことです。

 視力の成長は、他の成長と同じく成長期があり、8歳を過ぎてしまうと治療に反応しにくくなります。早期に治療を開始するほど、治療に反応して視力が改善していきます。

 治療の目標は眼鏡をかけて1.0の視力が得られることです。ピントがあっている状態で視力が出ることが重要で、裸眼視力がいくら悪くても、眼にあった眼鏡をかけた状態で1.0の視力があれば弱視ではありません。

 

3歳児健診の前に視力検査をしっかり!

 3歳児健診に行く前に、1次検査である視力検査とアンケート(問診)をご家庭で行ってください。視力検査は「Ⅽ」の形をしたランドル環を使って片方ずつ行うようにと書かれています。子どもは見えにくくても、自分から「見えにくい」とは言いません。片目ずつしっかり検査をしないと「片目のみえにくさ」はわかりません。うまくできないときは何回か練習をすることでできるようになります。実施年齢としては実施可能率が3歳0か月児73.3%、3歳6か月児95.0%という結果があるので、3歳になってすぐに行うのが難しければ、3歳半頃に行うとよいでしょう。それでも難しい場合は、健診会場で相談をしてください。

アンケート(問診)は、「目つきや目の動きがおかしい」「黒目が内側に寄る、外、上、ななめ上にずれる」「ひどくまぶしがる」などの項目があり、弱視だけではなく眼の病気がないかを確認しています。必ずチェックして健診会場に持参しましょう。

 

3歳児健診に屈折検査機器導入始まる

 近年、全国的に屈折検査機器が導入され始め、3歳児健診で行われる自治体が増えています。県内においてもいくつかの自治体で導入されています。この機器の導入により今まで見逃されてきた弱視の発見が高まることが期待されています。検査結果は診断ではなく、スクリーニングのためであるため、異常判定が出た場合は眼科を受診してください。また、3歳未満での精度が確立していないため、3歳以降での検査がお勧めです。自治体で導入されていない場合は医療機関で導入されている場合もあるので1度検査を実施することをお勧めします。ちなみに当院でも機器を導入して検査を行っています。

弱視は早めに発見し治療につなげることが大変大切です。

 

参考文献

「3歳児健診における視覚検査マニュアル」日本眼科医会

日本弱視斜視学会ホームページ

 例年と比較して早く明けた梅雨でしたが、その後戻り梅雨のような陽気になり、ようやく夏らしくなってきました。コロナの感染増は気になりますが、夏祭り、花火大会が予定されています。感染対策を気にしながら、お子さんと一緒にいろんな体験・経験をしていただけたら幸いです。

8月15日は終戦記念日であり、77年前のこの日に第2次世界大戦が終結しました。この大戦で日本人の軍人の死者数は230万人、民間人の犠牲者数が80万にのぼりました。今の日本の平和は多くの犠牲者の上で築かれています。今年2月からはロシアがウクライナに進行しており、戦後も世界各国で戦争が絶えません。この機会にご両親から子どもたちに戦争の悲惨さ・平和の尊さを伝えていただけたら幸いです。

先月、ラジオNIKKEIの「小児科診療 Up-to-DATE」という番組から「子どもの自殺を考える」(10/27放送予定)の依頼があり、東京にあるスタジオに行き収録をしてきました。ラジオ番組の収録は初めてで緊張しながら話をしてきました。今回はこの収録を通じて、学んだこと・知ってほしいことをテーマに掲げます。

過去約40年間の厚生労働省「人口動態調査」から18歳以下の自殺者の日別自殺者数をみると、夏休み明けの9月1日に最も自殺者数が増えています。長期休み明けはお子さんの生活環境が変わる時期で大きなストレスがあります。今月は子どもの自殺予防の中で大切な要素と言われている「援助希求力を高める」ことの大切さについてお話します。

 

子どもの自殺の現状

 全国の自殺者数は2010年から減少傾向にあり、令和3年の自殺者数は21,007人でした。その中でも大人の自殺は社会問題となり減少傾向に向かっています。しかし、少子化にも関わらず10代の自殺者数は減少しておらず、令和3年の小中高生の自殺者数は473人でコロナ前に比べて約100人多く、ここ2年間の増加はコロナ禍であることが影響しています。いじめに関連した自殺があると報道され一時期な関心の高まりは見られますが、「子どもの自殺が増えている」ことに関しては社会的な関心が低いのが実態です。

子どもの自殺の原因は「いじめ」だと多くの人が思いがちですが、2020年コロナ禍の児童・生徒の自殺の原因をみると、原因が明らかにされた理由の第1位が「進路の悩み」、第2位が「学業不振」、第3位が「親子関係の不和」となっています。しかし、6割が原因不明であり原因を探ることも困難なのが実情です。

 

大人が子どもたちに伝えるべきこと

 子どもたちには、ひどく落ち込んだ時には親・教師・友達の誰でもいいので伝えやすい人に相談をするように伝えてください。思春期になると相談相手は大人よりも友人が多くなります。「死にたい」と打ち明けられたら、その友達の気持ちを大事にしながら話を聴いて、信頼できる大人につなぐことがとても大切であることを強調してください。

 

「死にたい」と訴えられたら

 信頼関係のある先生に子どもから「死にたい」と訴えてくるかもしれません。訴えられた人は強い不安に襲われると思いますが、Tell(伝える)・Ask(尋ねる)・Listen(聴く)・Keep safe(安全を確保する)という「TALKの原則」で対応してください。「大丈夫、頑張れば元気になる」といった励ましや「死ぬなんて馬鹿なことを考えるな」等と叱ると、開き始めた心が閉ざされてしまします。徹底的に聞き役に回ってください。こういった場合、学校と保護者だけでの対応には限界がありますので、精神科・心療内科・小児科といった医療機関へつなげていくことも大切です。

子ども自身が大切な命を自分の力で閉じてしまう自殺は「孤立の病」とも言われ、長い時間かかって徐々に危険な心理状態に陥っていくのが一般的です。「誰も自分のことを助けてくれるはずがない」というひどい孤立感・「私なんかいない方がいい」という無価値観・強い怒り・苦しみが永遠に続くという思い込み・心理的視野狭窄が挙げられています。自殺が現実に起きる前に子どもは必ず「助けて!」という必至の叫びを発します。 

現在のコロナ禍においては、子どもへのストレスが増強しており、さらなる生きづらさが子どもの自殺者数の増加の一因になっています。これ以上、子どもの自殺者数を増やさないためにもコロナ感染対策への緩和を求めます。子どもも大人も生きやすい社会がすべての人への自殺予防になります。

 

参考文献

文部科学省:子供に伝えたい自殺予防 2014

文部科学省:教師が知っておきたい子どもの自殺予防

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