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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 今月は命の大切さについて考えてみたいと思っています。令和3年2月16日付山梨日日新聞で「子ども自殺最多479人に」という記事を目にしました。子ども自身が大切な命を自分の力で閉じてしまう「自殺」に関して、皆で向き合っていくことが大切ではないかと思っています。

 

子どもの自殺は増えている

 下記の表のように、山梨県内で5年間(2014~2018年)、自殺した子ども(0~18歳)は12人、うち15~18歳が9人います。現状では県内で1年間の子ども自殺者が約2~3人いて、中高校生が多いという結果です。

 全国の自殺者数は2010年から減少傾向にあり、2020年の自殺者数は20,919人でした。しかし少子化にも関わらず10代は増加して、令和2年の小中高生の自殺者数は479人(前年比140人)という結果でした。前年から140人増加していることはコロナ過であることが影響しています。数が多い大人の自殺に関しては社会問題となり減少傾向に向かっています。しかし、子どもの自殺に関しては、いじめに関連した自殺があると多く報道され関心の高まりはありますが、一般的には「子どもの自殺が増えている」ことに関しての社会的な関心が低いのが実態です。

 

山梨県(2014~2018年)・全国(2020年)自殺者数

山梨県内

2014~2018年

5年間

0~18歳

(15~18歳)

12人

(9人)

全国

2020年

全年齢

(小中高生)

20,919人

(479人)

2019年比 小中高生 140人増

 

自殺に追いつめられる子どもの心理

 自殺はある日突然、何の前触れもなく起こるというよりも、長い時間かかって徐々に危険な心理状態に陥っていうのが一般的です。「誰も自分のことを助けてくれるはずがない」というひどい孤立感、「私なんかいない方がいい」という無価値観・強い怒り・苦しみが永遠に続くという思い込み・心理的視野狭窄が挙げられています。こうした子どもの心理を知り、子どもが発している救いを求める叫びに気づいてください。自殺が現実に起きる前に子どもは必ず「助けて!」という必至の叫びを発します。その子どもに近い友達・家族・教師が耳を傾ける必要があります。

 

学校でできること 

 中学・高校教師の5人に1人は生徒の自殺に、3人に1人は自殺未遂に遭遇したことがあるという調査結果があります。つまり、子どもの近くにいる教師は生徒の自殺・自殺未遂に関わることがあり、切実な問題です。子どもの自殺はいじめが原因と思われがちですが、他の世代に比べて遺書が残されていないことが多く、原因が特定されない場合も少なくありません。子どもと信頼関係が成り立っていると、子どもから「死にたい」と言われることがあります。その際にはまず自分だけで抱え込まず、周囲の教師と話をして学校全体で受け止めることが必要だと思います。そのためにも、日頃から自殺の知識を身に付けながら対応していくことも大切です。さらに、保護者や医療機関などと連携をして組織的に対応することが求められます。決して1人で抱え込まないでください。

 

「死にたい」と訴えられたら

 訴えられた人は強い不安に襲われると思いますが、Tell(伝える)・Ask(尋ねる)・Listen(聴く)・Keep safe(安全を確保する)という「TALKの原則」で対応してください。「大丈夫、頑張れば元気になる」といった励ましや「死ぬなんて馬鹿なことを考えるな」といったように叱ると、せっかく開き始めた心が閉ざされてしまします。徹底的に聞き役に回ってください。

 このような場合、学校と保護者だけでの対応には限界がありますので、医療機関へつなげていくことも大切です。本人や保護者が心療内科や精神科への受診に抵抗があるようなら小児科等かかりつけ医へ相談をするような話をしてもいいのではないかと思います。学校側から保護者に医療機関への受診を促しても「家族の問題に口を挟まないでほしい」と言われる場合もあるでしょう。

1~2回の働きかけで諦めず、学校側からの思いを保護者や本人に伝えていただけるとありがたいです。一番は本人のこれからを見守る視点に立って働きかけていただきたいと思います。

 

親ができること

 私も以前に中学生から直接「死にたい」という言葉を告げられました。あまりない経験なので、強い不安がありました。本人からの話を聞き、自分だけで対応することが難しかったため、精神科に受診を勧めた経験があります。   そのケースでは、家族がお子さんの安心基地でないこともわかりました。自殺に追いつめられるお子さんは家庭が安心基地でないこともあります。適切に養育できない環境下では子どもの自殺リスクが高まります。家庭内の養育力が脆弱な場合、子どもが安心して生活できるような家庭を築けるようなサポートが求められています。家庭の中だけで対処しようとせずに、学校や医療機関などに相談をしていただくことをお勧めします。

 

参考文献

文部科学省:教師が知っておきたい 子どもの自殺予防 2008

文部科学省:子供に伝えたい自殺予防 2014

 今年は例年と違う静かな年末年始を過ごしたのではないでしょうか。我が家は密を避けながら初詣に行き、私が引いたおみくじがなんと大吉でした。コロナ禍での暗い気持ちを吹き飛ばす結果となり、前向きな一年になりそうな感じがしました。コロナ禍で子どもたちもいろいろと制約を受け、楽しみにしている修学旅行や成人式などの行事が中止となり、何もできないストレスが積み重なっていることが大変気になります。大人も子どもも息抜きをしながら日々の生活を送っていきましょう。

 1月16・17日に全国病児保育協議会が主催する研究大会が行われました。緊急事態宣言下のため、WEBのみで開催され、私は当院の看護師・保育士のスタッフと一緒に自分のクリニック内で画面を通して聴講しました。WEB開催は開催地へ出向く手間がないメリットはありますが、画面を通してのみだと、場の雰囲気や同じ病児保育に従事している全国の仲間と会う機会が失われ、寂しく感じました。その研究大会の講演で国立成育医療センター「もみじの家」ハウスマネージャーの内多勝康様(元NHKアナウンサー)による「医療的ケアがあっても安心して暮らしたい」という講演がありました。今月は皆様にその内容をお届けします。

 

「もみじの家」って

 2016年春、全国の子ども病院の中心的な存在である国立成育医療センター(東京)の敷地内に在宅で医療的ケアを受けている子ども(医療的ケア児)と家族を支える短期入所施設「もみじの家」が開設されました。「重い病気を持つ子どもと家族のひとり一人がその人らしく生きることができる社会を創る」という理念を掲げています。親子でもお子さんだけでも宿泊ができ、24時間看護師が親に代わって経管栄養の注入や痰を吸引するなどの医療的ケアを担当することで、その家族(特に母親)の疲弊を軽減し家族の休息(レスパイト)を提供しています。もみじの家での生活は保育士さんが日中活動(遊びや学びの)を行います。利用者である両親からのアンケート調査から利用したお子さんのQOLが向上し、遊び・学びが大切であることが報告されています。医療的ケアだけでなく、遊び・学びも加えることでお子さんやご両親の満足度が高く、希望をお断りするような状態だそうです。

 一方で課題は運営が安定せず、赤字が年間2000万円以上あることで、赤字分は寄付金で賄っているそうです。こういった施設が増えていくためには収支が均衡になるような支援体制が必要だと述べていました。
 

医療的ケア児を持つ家庭の姿

 就学前の医療的ケア児は医療的ケアに対応できないことを理由に保育園や幼稚園に通うことができず、友達ができないことから家族が孤立しがちになります。学童期では地域の学校へ通えなかったり、通学には親の同伴が必要になったりします。卒業後は家以外の居場所がなく、親亡き後の生活がとても不安になります。親の悩みとしては医療的ケアが24時間365日続くため、睡眠時間も少なく、疲労が蓄積され、就労ができない状況が起こります。残された兄弟姉妹は学校行事への親の参加が制限され、病気の子どもが優先されるため、我慢することが多くなる家族の実情があると話していました。そのため「もみじの家」のような施設が都道府県に1か所ずつ設置されることを望んでいました。

 

山梨県内の状況は

 5年前に当クリニックで医療的ケア児を対象とした預かり施設「スマイル」を開設しました。「もみじの家」が行っている宿泊まで対応できていませんが、日中のみの預かりを通じて、微力ではありますがそのお子さんやご家庭に関わっています。その家族からも同様の大変さを聞いています。また、うちのスマイルも「もみじの家」同様に赤字体質になっており、継続の難しさを感じています。その後、山梨県内においては国中地域では日中のみですがさらに2施設増えました。宿泊できる施設は県内では一部の病院でしか行われておらず、郡内地域は日中・宿泊可能な施設が共にないため、そのような施設が増えることを望んでいます。施設を運営する上で赤字体質が見込まれるため、運営施設への公的な補填や公的な施設の開設が期待されます。

 医療的ケア児に関わる生活環境が現在、あまりにも貧弱であることが否めません。家族の努力で解決できる次元を超えており、社会で支えるべき課題となっています。医療的ケア児とその家族は社会から孤立しがちで、対象者も少ないことから大きな声になりづらいものとなっています。障害の有無に関わらずどんな子どもでも安心して子育てできる環境が充実されることを医療的ケア児とその家族の代弁者として皆様にお伝えしたいと思います。

 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。昨年から猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で、みんなが生活に不自由さを感じています。新型コロナウイルスのワクチンについて海外からの報道が期待されています。まだまだ終息が見えませんが、コロナの患者さんを診ている医療従事者の方々のためにも、無理をせず、私たち1人1人が配慮をしていきましょう。

 寒くなり、家の中で過ごしがちになる冬は子育てをゲーム・メディアに頼りがちになりますが、子どもがメディア漬けにならないように、親が意識して子どもと関わることが必要です。うちは小2の娘にゲームの時間を1日15分と決めています。親としては子どもとトランプ・カルタをしたり、バトミントンをしたり家の手伝いも一緒にしながら、なるべくゲーム・メディアから遠ざけるように気をつけています。子どもは基本的にはゲーム・メディアよりも親との触れ合いを求めています。

 今回、インフルエンザワクチン接種時にHPVワクチンについての質問がありました。積極的勧奨が中止となってすでに7年が経ち、経過を知らない方も多くいると思いますので、今月はHPVワクチンについて状況をお伝えいたします。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは

ヒトパピローマウイルス(HPV)は皮膚や粘膜に感染するウイルスで、100以上の種類があります。子宮頸がん以外に中咽頭がん、肛門がん、腟がん、外陰がん、陰茎がんなどにも関わっていると考えられており、海外では感染予防のためにHPVワクチンをオーストラリアなどの24か国は男性にも公費負担が行われ、日本でも先月から男性の接種への適応拡大についても検討されています。

 

子宮頸がんについて

 子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、20~40代の女性を中心に毎年、約1.1万人が新たに診断され、年間約3,000人が亡くなっています。30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も、毎年約1,200人います。性的な接触によってHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因と言われ、感染してもほとんどの人は自然に消えますが、一部の人でがんになってしまいます。

 HPVワクチンは感染を防ぐことができ、将来の子宮頸がんを予防できることが期待できます。さらに、20歳をすぎたら2年に1度の子宮頸がん検診受診が大切です。

 

HPVワクチンのリスク

 2013年4月から定期接種化され接種が始まりましたが、副反応とみられる症状が報告されました。同年6月に積極的勧奨が中止となっています。HPVワクチンのリスクは、接種後に接種部位の痛み・腫れ・赤みなどがあり、重い症状(重いアレルギー症状、神経系の症状)が1万人あたり5人とまれに起こりますが、その約9割は回復することがわかっています。国は重い症状が起こった場合に対応できる医療機関を全国に設置し、相談窓口も整備されました。

 

HPVワクチンの効果

 HPVワクチン効果は「子宮頸がんワクチンが、がんの原因となるHPVの感染を防ぐ」、「子宮頸がんワクチンは前がん病変を防ぐ」というデーターだけでしたが、2020年10月、スウェーデンの研究チームがアメリカの医学誌に世界で初めて「HPVワクチンを接種すると子宮頸がんになるリスクが5割低下すること」を発表しました。2006~2017年の間、10~30歳だった約167万人の女性を対象に4つのウイルスの型に有効なワクチン接種と子宮頸がんの発症との関係を調べました。その結果、17歳未満で接種した場合のリスクが88%減りました。

また、接種後に重い症状が報告されていましたが、2015年に行われた名古屋市の約3万人のアンケート調査では、24種類の「多様な症状」の頻度がHPVワクチンを接種した女子と接種しなかった女子で有意な差がありませんでした。

現在、WHO(世界保健機関)でも「HPVワクチンは極めて安全性が高い」とされ、世界80か国以上が定期接種化されています。日本産婦人科学会や多くの学術団体も積極的な勧奨再開への要望書を国に強く求めています。2020年10月からは厚生労働省より市町村へ対象者に個別通知を出すように通知が出されました。再開へ一歩ずつではありますが、前向きな動きが見られています。

現在でも、HPVワクチンは定期接種であるため、対象者(小学6年生から高校1年生の女子)は無料で接種できます。当院では接種をお勧めしていますが、年に数人の接種しかありません。今回、HPVワクチンについてまず、知っていただけたら幸いです。

 

参考文献

厚生労働省ホームページ

日本産婦人科学会ホームページ

季節は立冬も過ぎ、日に日に寒くなってきますね。先月、娘と妻と3人で近くの公園で紅葉を楽しんできました。特に黄金色のいちょう、真っ赤な紅葉は圧巻でとても癒されました。一方で最近のコロナの新規患者数増加が気になっています。例年通りの手洗い・うがいとコロナ過での3密を避けることを心がけて乗り切りましょう!コロナの終息がまだまだ望めず、長期戦を覚悟しなければならないことも現実です。親は子育てだけに目を向けがちになりますが、無理をして頑張り過ぎると、子どもにも伝わり、逆効果になることもあります。自分自身の息抜きも考えてください。

2か月前、筑波大学の松島みどり准教授と助産師の調査で産後うつの割合(10%前後)が新型コロナウイルスの影響で、以前の倍以上(20%余り)という結果が出ました。コロナ過で人と触れ合う機会や外出する機会が極端に少なくなったことや経済的な不安などが影響していると考えられています。今月はコロナ過の影響で増えつつある「産後うつ」についてお話します。

 

「産後うつ」って?

 妊娠・出産は女性ホルモンの急激な変動もあり、からだの変化と同じように、心にも様々な影響が出てきます。特に出産後は育児中心の生活に変化しストレスもたまりやすく、心にもからだにも疲れが出てきて、情緒不安定になったり、子育てに自信を失ったりします。

 産後うつは出産後1~2週間から数か月頃に発症し、出産後の母親の約10%にみられます。「悲しい・憂うつ・楽しくない、家事・育児をする気力が出ない、将来の子育てに自信が持てない、理由もないのに涙が出る、食欲がない、赤ちゃんの世話が面倒に思える、いらいらする、赤ちゃんがかわいいと思えない、自分は母親失格だと自らを責める、眠れない、体力が戻らない、死にたい・消えてしまいたい」の症状があり、これらの症状が2週間以上続く場合は産後うつの可能性があります。

ちなみに「マタニティブルー」は涙もろくなることや抑うつや頭痛などの症状が出ますが、出産後2日~2週間ぐらいに起こり、10日ほどで自然に治まることが産後うつと違う点です。

 

「産後うつかも?」と思ったら

 産後うつの可能性があると感じているママはご自身が危険な状態にあることがわかっていないことも多く、パパや祖父母、周囲の方々の気づきが大変大切になってきます。また、診断も難しく、育児不安や育児の疲れと見逃されることも多いと言われています。

 妊娠中は産科のスタッフや市町村の保健師などに悩みや不安や相談をしたり、家族に自分の気持ちを話したり、過去にうつ病や双極性障害(躁うつ)などの精神疾患にかかったことがある方は産科医と相談し精神科と連携してください。

出産後は家事も育児も完璧を目指さず、ほどほどを心がけ、パパや友達・産科スタッフ・保健師などに相談しましょう。話をすることで気持ちが楽になることがあります。

 産後のママは精神的にも肉体的にも疲れていますので、パパはママが休養できる環境を作ってもらいたいです。ママがやり過ぎている場合はパパが積極的に家事・育児をしてもらうとママは大変ありがたく感じます。

 産後うつの予防はママだけの努力だけでは難しく、パパの理解と協力、さらに祖父母などの周囲の助けがとても大切です。

 厚生労働省の調査によると、2015年からの2年間で産後1年までに自殺をした妊産婦が少なくとも102人いて、がんや心疾患などを上回り自殺が最も多く、出産時の出血などによる死亡よりも多いことがわかりました。産後の自殺の原因では産後うつなどの精神疾患であることがわかっています。ママを守ることで将来を担う子どもたちが心身ともに健やかに育つことにつながります。

 最近、経験したケースでは子どもの受診時、ママから「朝起きることができず、何もやる気がでない。」という話を聞きました。さらに聞くと、この症状が1か月以上続いていることや家事を完璧に行う几帳面なタイプで、第2子が生まれたことと、コロナ過であったことが影響していて、産後うつが疑われました。そのため心療内科に紹介しました。カウンセリングや内服薬での治療・子育て支援施設(子育て支援センター)の利用もあり、以前より症状が和らいできています。

パパや周囲の努力をしても、ママの症状がなくならない場合は精神科や心療内科への受診をお勧めします。専門家からのアドバイスや薬物療法で症状が和らぐことが期待できます。産後うつは心の病気ですので医療機関での関りが大切です。最後に、産後のママは自分で頑張り過ぎますので、手を抜きながらパパと一緒に子育てを楽しんでくださいね。

 

参考文献

妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル 公益社団法人 日本産婦人科医会

産後うつ病 早期発見・対応マニュアル 長野県精神保健福祉協議会

 夏が終わったと思った途端に秋らしい日々が巡って来ました。コロナ禍における日々の診療の中で、風邪や胃腸炎のみならず、頭痛・腹痛・だるさなどの不定愁訴で受診してくるお子さんが増えています。マスク・消毒・手洗い・距離を保つといった子どもたちの新生活様式への負担等が原因として考えられます。お子さんが調子の悪さを訴えた場合、少し立ち止まって、家や園・学校での困りごとを聞くことでヒントが隠されています。しかし、原因がわかないこともありますので、その時はいつもより優しく対応しながら体を休ませて、それでも改善がみられなければ園・学校を休ませて一息つくことで改善する場合があります。不定愁訴の診察では親子の話に耳を傾けて、子どもの気持ちに寄り添うことを心がけています。

 半年以上にも及んでいるコロナ禍での生活で、家に閉じこもりがちになっていると思います。私も以前までと違い、家にいることが多くなりました。家族との触れあう時間が増えた一方で、家族以外と触れ合う時間が極端に減ってしまいました。それを補う工夫として、ネットを利用して家にいながら交流をするようになりました。今までのように学会や会議へ出向くことがなくなり、オンラインで行うようになり生活が一変しています。今月は、オンラインを上手に活用しながら経験した出来事を基にお話ししたいと思います。

 

県立大学でのオンライン授業

 昨冬に県立大学での授業の依頼を受け、コロナの影響で対面ではなくオンラインで行うように言われました。学生向けに授業をするのも久しぶりなのに、さらにオンライン授業で行わなければならず、困ってしまいました。オンライン授業の操作方法も未経験であり1人でやれる自信もなかったため、助けを求めることができる大学の教室で授業をしました。出欠の確認・グループワーク・生徒の意見を聞くことなど全て、自分で操作をしながら行いました。授業で話をすることも加わり、対面の時以上の緊張を強いられました。広い教室で私1人がパソコンに向かって話をしましたが、学生さんがどう思って聞いているのかわからず、不安でした。途中で「退出」ボタンを間違って押して授業が中断したといったハプニングもありました。ハプニングを救ってくれたのは学生さんでした。助けてくれてありがとう!

 

初のテレキャンプ参加

 「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という難病は、麻しん(はしか)に感染してから数年の潜伏期間の後に発病し、発病後は数か月から数年の経過で神経症状が進行します。SSPEの家族の会が主催し、北杜市白州のあおぞら共和国で開催されるサマーキャンプに4年前から参加してきました。今年はコロナ禍のため、初めてオンラインを使ったテレキャンプが行われました。北は宮城県から南は沖縄県まで、これまで移動が難しく北杜市まで来ることができなかった方々の参加があり、過去最高の参加者数となりました。患者さんは寝たきりであるため、今回のようなテレキャンプの方が参加しやすいという良い面もありました。事前に郵送された配布物を利用しながらの工作・ビンゴゲーム・家族懇談会など楽しみながら、「一人ではない」ことを確認し合えたキャンプとなりました。

 

医療的ケア児のご家族とオンライン交流会

 私のクリニックに隣接する子ども園にある子育て支援センターでは、親子が集う場だけでなく、様々な行事も行っています。医師による子育て講演会や体験教室等、コロナ禍で休止しているイベントもありますが、子育てが少しでも楽しめるような場の工夫をしているようです。中でも医療的ケア児の家族の懇談会は、3年前より年3回実施しています。医療的ケア児とは人工呼吸器や胃ろう等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な子どもたちのことを言います。今年はコロナ禍であるため、2回オンラインで開催してきました。運営者も参加者も慣れないオンライン交流会ですが、基礎疾患があるために感染症の影響を強く受ける家族にとっては、唯一の交流の場となったようです。参加者は主に母親でコロナ禍でのストレスをかかえながら、看護や兄弟の子育てに必死になっているという切実な話を聞き、共感して時に笑い時に涙しながら、リレートークしていきます。似た経験を持ち、同じ思いを共有できる同士だからこそ、互いに励まし合い次の交流会まで頑張ろうと話がまとまります。ここでも外出が難しい方にとってのオンライン交流の意味が理解できました。

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