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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 7月28日には熊本地震、8月13日には千葉豪雨があり、災害を身近に感じる夏となりました。備蓄や豪雨の際の対応など考える機会となったと思います。亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を願うばかりです。

 7月19・20日に全国病児保育研究大会in青森があり、職員8名と共に参加してきました。全国から病児保育施設で働く保育士・看護師・医師等ら総勢800人を超える参加があり、情報交流とともに質の向上へ研鑽を積みました。私が主催した広域利用セミナーというシンポジウムの「利用者の声」で、病児保育室を利用している母親の話を紹介したいと思います。

「病児保育室があるからこそ、仕事と子育ての両立ができています。子どもが3人いることから昨年は年間25日利用させてもらって有休を使い切らずに済みました。自分の住んでいる町には病児保育室がなく、隣接した八戸市の病児保育室を広域連携によって利用できています。子どもを病児保育室に預けて仕事を続けていいのかなあという気持ちになることもありますが、利用した子どもが『今日は楽しかった!』『また、行きたい!』と言うので手厚い保育をしてもらっていることに感謝しながら利用しています」という話を聞き、改めて病児保育室の必要性を感じました。私事ですが、2年後に会頭として、この大会を山梨で行うことが決定しました。県内で病児保育に関心のある方々にはぜひ参加していただきたいと思っています。

 今月はこの大会で北沢博先生(東北医科薬科大学医学部小児科講師)から「保育施設における小児アレルギー疾患の対応」のテーマで話された最新のアレルギーについてのダイジェストをお伝えします。

 

喘息の対応法

 喘息は治療薬の進歩もあり、2017年以降国内で死亡するケースがなくなりました。喘息は以前と違い死ぬことのない病気となったので、ご両親の受け取り方として、軽い病気?と考えがちになっています。そのため発作があっても受診をせずに、発作を理由に体育を休めばいいと安易に考えることもあるようです。喘息の治療目標はまず、スポーツも含めて日常生活が普通にできるように治療をしっかり続けることが大切です。そのために吸入ステロイド薬を中心として治療を続けていくことが大事です。

 

蕁麻疹(じんましん)について

 何らかの刺激により体内でヒスタミンが分泌されて、皮膚の血管が拡張し赤く腫れる膨疹ができ、かゆみを生じるのが蕁麻疹です。蕁麻疹の原因は食物・薬・運動・汗・感染等が原因のこともありますが、特発性蕁麻疹と言う原因がわからないタイプが一番多いのが現状です。初めて食べたものを摂取後1時間以内に蕁麻疹がでた場合は、食物が原因の可能性があります。治療は抗ヒスタミン薬の内服が一番よく効きます。保冷剤などで冷やすことも有効です。

 

食物アレルギーについて

 食物アレルギーの典型的なケースは卵・牛乳などを食べて2時間以内に蕁麻疹・ゼイゼイ等が出現する「即時型」がもっとも多いです。一方で最近目立つのは卵・大豆・小麦などを食べて2~3時間後嘔吐が出現する「消化管アレルギー」です。1度嘔吐しただけでは胃腸炎の可能性もあり、消化管アレルギーと決めつけるのは難しさがあります。

 原因食物については、卵・牛乳・小麦が多いのですが、最近は木の実類(特にクルミ)の増加が多くなっており、クルミなどの木の実類には気をつけていただきたいです。

また、乳児期に湿疹があると食物アレルギーを発症するリスクが4~6倍高くなる研究結果があります。湿疹があると、食物が皮膚から侵入してアレルギーを起こしやすくなるのではないかと言われており、軟膏などで湿疹を積極的に治していくことが勧められています。

診断は「血液検査陽性=食べられない」ことではありません。食べられる場合もあるので、病院で行う食物負荷試験をすることで判断できます。安易に自分で決めつけない方が得策です。私自身もよく経験するのが、血液検査が陽性だったので、今まで食べていたものを除去したり、口の周りが赤くなったことで、自己判断で除去を始めるケースがあります。迷う場合はアレルギー専門医による診断をしっかりと受けることをお勧めします。

 

『ネフィー』知ってますか?

 食物アレルギーなどでアナフィラキシー症状がでた場合に使用する自己注射「エピペン」と同じ成分であるアドレナリンが入っている薬『ネフィー』が新登場しました。このネフィーは2026年2月から点鼻タイプ(鼻にスプレー)の薬です。エピペンは太ももの外側に注射、ネフィーは鼻の中にスプレーする違いです。ネフィーは鼻にスプレーするだけなのでエピペンより恐怖心は和らぎます。今年4月から教職員・保育士も使用できるという国からの通知が出ました。対象児がいる場合には、かかりつけ医に相談するように伝えていただけたら幸いです。

 

参考文献

アレルギーポータル https://allergyportal.jp/

食物アレルギー診療ガイドライン2021

 先月はワールドカップサッカーがありましたね。日本はブラジルに負けて残念でしたが、以前よりも本当に強くなっていると感心しています。来期に期待したいです。開催直前のNHK放送で、対戦相手のスウェーデンの子どもたちが学校帰りに地域のサッカークラブで、サッカーを楽しんでいる様子が放映されました。この

サッカークラブでは小学生までは男女混合、さらに最近、12歳以下のチームでは試合中はスコアボードを失くしたことを強調していました。スコアボードがあると勝敗を意識してしまい、ミスした子が責められがちになるため、上手な子ばかり試合に出ることを減らす工夫として、スポーツは「勝つためのものではなく、一生楽しむもの」という考えを大切にしています。合わせて男女混合という「男だから」「女だから」という将来のジェンダーギャップの解消も目指している内容でした。こういった考えが日本にも早く伝わって欲しいと感じました。

 先月に引き続いて、発達が気になるお子さんの対応法についてお話します。

 

音に敏感なお子さんの対応法

 園で歌を歌っている時、子どもが泣いている時、耳を塞ぐお子さんを目にしたことはありませんか?そういったお子さんは音に敏感なタイプかもしれません。大きな音が続くと頭痛を訴えるお子さんもいます。学校では教室のざわつきや先生が生徒に注意する時に声が大きいと不快に感じます。対応策としては席を先生から離れた場所にしてもらう・イヤーマフ(耳全体を覆うタイプの防音保護具)を使用する・休み時間は図書室など静かな場所で過ごすなどを試みることも考えてください。程度がひどい場合は、教室に入れないお子さんもいます。お子さんの困り感を先生に相談をしていただくとありがたいです。

 

癇癪(かんしゃく)の対応法

 ちょっとしたことがきっかけで急に強い怒りが爆発し大泣きする場合があります。個人差があり、5~10分で落ち着けばいいのですが、中にはそれ以上の時間切り替えられず手がつけられないお子さんもいます。その場では、親としても大変イライラしてしまいます。対応法としては、投げそうな物は置かず、安全な場所で移動し、親は距離を少し取り、癇癪が収まるのを見守るのが早道です。癇癪時に声掛けするのは悪化するのでお勧めしません。

 

早期発見・早期支援の大切さ

お子さんの発達が気になるので検査をしましょうと言われた場合、検査の多くは問答や行動面を観察するもので、お子さんに大きな負担がかかるものではありません。検査結果から、お子さんの特性の凸凹がないか、弱い点があれば、それに対する対応法がわかることで、親も含めた関係者にとって、指針に繋がります。

 私の経験でも、親がお子さんの特性を受け入れて、園・学校・療育等と連携しながら対応していくことで、お子さんの自己肯定感が下がらず、生活が過ごしやすくなったケースがいました。親の受け入れが遅くなることや、支援が遅れると過ごしづらい環境で過ごすことになるため、ストレスが蓄積され、いじめ・不登校・ひきこもり・うつなどに発展しやすくなります。

 

過剰適応について

 過剰適応とは、自分が置かれた環境に合わせようとして、自分の考えや行動を合わせすぎてしまう状態で、発達障害の一つ自閉スペクトラム症のお子さんに見られやすいと言われています。帰宅後、家で「疲れる」といった訴えがあるようなら、過剰適応しているのかもと気にしてください。まずは無理をせず、体を休ませることや、学校で学級委員や係をやっているようなら、減らすような工夫も必要かもしれません。

 

学習へのつまづき

 読む・書く・計算することに著しい困難を示す状態を学習障害と言います。中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されています。本人の努力不足や怠けではないので、気になる場合は評価してもらうことも大切です。書くことに苦手さがある場合は、書くことの宿題を軽減することや先生に伝えることだけでも子どもたちにとっては理解してもらえて、気持ちが楽になります。読みが苦手な場合は音読指導アプリを使用し、改善する方法も試みられています。書けなくても、読めるようには学んでいく必要があります。

 お子さんの発達の悩みは様々です。環境が合わないと、自己肯定感が下がり、うつ・不安などの症状が移行することがありますので、お子さんに合った適切な環境を整えていただきたいです。

 

参考文献

日本LD学会

 いよいよ夏、到来!水分補給を気にしながら夏を楽しみましょう。最近、成人した子どもたちの影響で、ChatGPTの使い方を教わり、AIデビューしました。ChatGPTは、優しいコメントや提案をしてくれることを知りました。とは言え、この原稿は毎月頭を悩ませながら取り組んでいます。AIを活用しながらも、AIが書けない自分の体験を盛り込みながら、これからも取り組んでいきたいです。

 前回、HPVワクチンについてお勧めしました。初回接種が15歳未満だと2回、15歳以上だと3回接種します。対象時期は小6からでき、中学生になると部活に勉強に忙しくなるので、夏休みを利用して接種をお勧めします。2回目は1回目接種から6か月あけてください。

 先月初旬、山梨県障害児(者)地域療育等支援事業で「発達や行動が気になる子の理解を学ぶ」について100名を超える県内の保育士・保健師・教師を対象に講演会をさせていただきました。質疑応答では保育園・学童・児童発達支援センター・学校などの現場で様々な困り感があることを知りました。今月はこの講演会でお話したことを基に「発達が気になるお子さんの対応法」についてお伝えします。

 

発達障害とは

発達障害は脳機能の発達に関係する障害です。臨機応変な対人関係が苦手、こだわりが強いといった自閉スペクトラム症(ASD)、不注意・多動性・衝動性のある注意欠如・多動症(ADHD)、読み・書き・計算が苦手な学習障害(LD)などに分けられます。これらの発達の特性が重複したり、強弱がみられたりします。その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。原因は親のしつけや教育の問題ではありません。

 

発達の特性は残り続ける

 周りから見てアンバランスな様子が理解されず、定型発達の(年齢に応じた身体的・知的・社会的・情緒的な発達が順調に進んでいる状態)お子さんと対応を同じ、もしくは近づくように対応していくことは発達障害の子どもたちに負担感を強いることにつながります。

 大前提として理解すべきことは「発達の特性は残り続ける」ということです。「特性がなくなる」ように親も含めた大人が目標設定することはその子どもたちに負担感がかかります。苦手な領域の訓練に比重をかけすぎないでほしいです。

こだわりが強い子どもの場合、食事へのこだわりから白いご飯しか食べないことがあります。対応としては、白いご飯を中心に食べてもらい、本人の様子をみながら、他の食物を探すのもいいかもしれません。栄養のことを気にしすぎて泣きながら食べさせるような対応をすることは避けましょう。皆で合唱をするときに、耳を塞いでしまう大きな音に敏感な子どもがいた場合は、「合唱が嫌い・怠けている」という考えではなく、特性の程度に応じて、見学・イヤーマフの使用・歌う場所を集団の後ろ側にするなどの工夫で対応することも大切です。

ADHDは幼少期の多動性・衝動性が大人になり減るも、不注意が残ると言われています。不注意の症状は忘れ物や紛失が多い・約束を忘れてしまうなどです。大人になりやっとADHDと診断される場合もあります。学生時代は決められた時間割、親や先生のサポートのおかげで、多少のつまずきがあっても過ごすことができる場合もありますが、働き始めると、責任が増え、同時に複数のことを処理する場面も増え、元来の特性と職場環境のミスマッチが生じ、困りごとが目立つようになります。このような場合は、職場環境を変えたり、メモや予定表、リマインダー・タイマー・アラームなどのツールを活用し、周囲の協力も得ながらこなしていくことも大切です。

 

園や学校などで気になると言われたら?

 幼少期に園や健診の場面で、「お子さんの発達が気になる」と言われたときは、多くの親はショックを受けます。園の保育士・健診の保健師は親にこのことを伝えるときは、お子さんために、大変気を遣いながら、勇気を出して伝えています。親はすぐに受け入れることはできないかもしれませんが、両親でしっかりと将来ある子どものことを受け止めて、関係者と一緒にお子さんの育ちに関わっていくことが大切です。親の受け止めがしっかりとしていると、お子さんに不必要な注意・非難・叱責が減り、自信をなくしたり、孤立を防ぐことができます。親の受け止め次第で、お子さんの環境は大きく変化します。

当クリニックでも発達障害の子どもを診療していますが、親の受容がしっかりし、かつ早めに環境を整えていただくと、子どもが生活しやすくなっていくのを実感しています。

 

参考文献

発達障害情報・支援センター

https://www.rehab.go.jp/ddis/

発達障害って、なんだろう?政府広報オンライン

https://www.gov-online.go.jp/article/201104/entry-10347.html

自閉症スペクトラム SB新書 本田秀夫著

皆さまはG・Wどのように過ごしましたか?我が家は久々に一日だけですが家族7人全員で過ごすことができました。河原で野球をした後、兄弟で短距離走をすると言ったので、私も調子に乗って参加しました。10数年前、中学生だった子どもと短距離走をしたところ、走っている途中で足がつって肉離れを起こしたことを思い出して気をつけて走りましたが、再び足がつってしまいました。年を重ねても懲りない私です。

 国立健康危機管理研究機構によると、5/8現在、全国のはしか感染者数は462人と昨年の4倍の勢いで増えています。山梨県では4月に3人かかりましたが、その後新たな発生報告はありません。私たちができることは、定期接種の対象である1歳児と年長さんは早めにワクチンを接種すること、さらに未接種または接種歴がわからない大人の方は麻しんのワクチン接種をしてください。

 4月「ワクチンJAPAN(エムスリー株式会社)」というサイトが昨年7月開設されました。このサイトではHPV(子宮頚がん)ワクチンの接種状況を月次および都道府県別のデータが載せてあります。都道府県別のデータで山梨県の接種率がなんとワースト2ではありませんか!その事実を知り、大変衝撃を覚えました。他人ごとではない、なんとかしなければいけないと情報収集をし、行政担当者・学校関係者・医療従事者が一丸となって、対象者とその保護者に現状を伝える必要が早急にあるのではないかと痛感しています。

今月はHPVワクチンの現状をお伝えします。

 

子宮頸がんとHPVワクチンについて

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんをはじめ、肛門がん・膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマ等、多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。

子宮頸がんは国内で毎年約1.1万人かかり、約3,000人が亡くなっています。他のがんと比較して、若い年齢層で発症する割合が比較的高いがんです。HPVの感染を予防できるのがHPVワクチンです。HPVワクチンの接種だけで、子宮頸がんの発症を完全に防げるわけではありません。20歳を過ぎたら、2年に1度の子宮頸がん検診を受けましょう。9価のHPVワクチンは子宮頸がんを80~90%予防できます。小学6年生~高校1年生の女子が公費(原則自己負担なし、実費では1回3万円となります)で接種することができます。

 

HPV接種後に症状が出た場合

HPVワクチン接種後には、多くの方に、接種部位の痛みや腫れ・赤みなどが起こることがあります。また、まれですが、重い症状(重いアレルギー症状、神経系の症状)が起こることがあります。

接種後に症状が出た場合は、まず接種を受けた医師に相談をしてください。より専門的な診療が必要な場合は協力医療機関として山梨大学医学部附属病院(産婦人科:055-273-9871)が対応していますのでご相談ください。

 

山梨県のHPVワクチン接種率はワースト2!

 ワクチンJAPANによると、全国のHPVワクチン接種率は55.8%(2024年度)、都道府県別の接種率では山梨県が42%(2025年度)とワースト2でした。山形県が74%(第1位)、30%以上の開きがあり、隣県の長野県は57%(17位)です。山梨県において接種率が低いことは私も含めた医療・行政・学校関係者のアピール不足ではないかと思い、反省をしています。

 全国的に接種率の高い自治体の取り組みとして、4月に富山県議会議員で産婦人科医の種部恭子先生の講演会を聞く機会がありました。その中で「学校で性教育の話の中にHPVワクチン接種がとても大切であることを学生に伝える」「保護者にもPTAを通じて保護者説明会などで話す機会を設ける」「性教育の場で男子にHPVワクチン接種によりイボ(尖圭コンジローマ)を予防できることを伝えている」などを知り、富山県の接種率が63%(全国7位)と高い理由を理解することができました。

 もう一つ、宮崎県(接種率62%、全国10位)の取り組みでは、接種実施率が高い市町村ほど、個別通知・学校との連携・広報を実施しています。接種動機をアンケート調査した結果からは、「市町村からの通知」「医療機関・保護者の勧め」「友人の接種」「学校での講演会」が有用であることがわかっています。

これまで以上に、HPVワクチンの大切さを子どもたちとその保護者に伝えることは行政・学校・医療機関の責務ではないかと強く感じています。

まずはできるところから一緒に動き始めませんか?

 

参考文献

HPVワクチン 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

子宮頸がんとHPVワクチンについて 山梨県

https://www.pref.yamanashi.jp/kenko-zsn/kansensyou/hpv-vaccine.html

ワクチンJAPAN

https://vaccine-japan.com/

宮崎県庁における 子宮頸がん予防(HPV)ワクチン普及啓発に 係る取組とその効果の検証https://www.msuisin.jp/report/02_%E6%B3%89%E6%91%A9%E4%BE%9D%EF%BC%88%E9%83%BD%E5%9F%8E%E4%BF%9D%E5%81%A5%E6%89%80%EF%BC%89_1.pdf

 

 

 桜も散り、新緑溢れる季節となりました。気持ちも前向きになりますね。

一方で、京都小6遺体遺棄事件については大変残念な気持ちになりました。  将来ある子どもを親が殺めることはどんな理由があろうとも決して許されることではありません。複雑な家庭環境にある子どもたちに寄り添う必要性を痛感しました。3月に、妻と一緒に都内の映画館で「女性の休日」を観てきました。この映画は1975年10月24日、アイスランド全女性の90%が仕事も家事も一斉に「休んだ」歴史的ムーブメントを振り返った、知られざる運命の1日のドキュメンタリーです。国は機能不全となり、女性がいないと社会がまわらないことが証明されました。その後も1985年・2005年・2010年・2016年・2018年・2023年の10月24日に実施。今、アイスランドは最もジェンダー平等が進んだ国となっています。世界経済フォーラムでは2025年、ジェンダーギャップ指数ではアイスランドが148か国中1位、日本は118位(G7中最下位)でした。しかし、日本では昨年度初の女性首相が誕生しました。少しずつギャップが埋まってくることを望みます。

 今月は「5歳児健診」についてお話します。5歳児健診は以前から県内でも一部の市町村で実施されていましたが、ここ最近、こども家庭庁からの後押しもあり、多くの市町村で今年から開始したり、まだ実施しない市町村も近いうちに始まると思われます。

 

5歳児健診の目的と流れ

 5歳児健診とはこども家庭庁からの通知で「幼児期において幼児の言語の理解能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期であり、保健、医療、福祉による対応の有無が、その後の成長・発達に影響を及ぼす時期である5歳児に健康診査を行い、子どもの特性を早期に発見し、特性に合わせた適切な支援を行うとともに、生活習慣、その他育児に関する指導を行い、幼児の健康の保持及び増進を図ること」と明記されています。

 5歳児健診では、今までの健診と同じように成長や発達、生活リズムをチェックします。具体的には、身長と体重を確認し、身体が健康かどうかを調べ、目や耳の具合についてもお聞きします。そして発達については、同年代のこどもと協力しあったり、ルール遊びができたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちをくみとったりすることができるかを確認しています。多くの場合、事前にご家庭に問診票が郵送され、ご家族にチェックしてもらいます。食事、運動、睡眠、メディアの利用など、毎日の生活の状況についても確認します。気になるくせ、きょうだいのことなど、日ごろの心配事や困りごとについての子育て相談もできます。小学校に安心して、通学するために順調に成長・発達しているか、何か心配なことや困っていることがないかを健診会場で保健師や医師と一緒に確認します。

 5歳児健診では発達障害かどうかを診断することはありません。お子さんの困り感やご家族の心配事などについて一緒に考えて、どうするかを相談する場所です。もし、日々の生活の中で、お子さんが困っていたり、ご家族が気になっていることがあれば、5歳児健診の機会に、保健師・医師にご相談ください。5歳児健診を実施した自治体では、不登校となったお子さんが少なかったという調査1)もあります。5歳児健診導入することで親子の困り感が減る一方で、学校側は対応法が早い段階でわかり、お子さんがスムーズに学校生活ができているのでしょう。

 

保護者の皆様へ

こども家庭庁では、「5歳児健診ポータル」というサイトを立ち上げています。そのサイトの「保護者の方」の中に、保護者向けにわかりやすい言葉で内容が述べられています。「みんなでいこう!ごさいじけんしん」では、お子さん向けにweb絵本があり、こどもと一緒に楽しめるサイトもあります。お子さんに事前に説明することで安心を得ることができます。

 

家では話せるのに、外で話せない子

 家庭ではごく普通に話すのに、幼稚園・保育園や学校などで話をしたりすることができない状態を「場面緘黙」といい、5歳児健診の中で確認する項目の一つに挙げられています。お子さんが保健師や医師にうまく答えることができない場合は、「場面緘黙」の可能性があります。不安が強いお子さんに現れます。安心させる環境づくりを園・学校に配慮してもらえると少しずつ話ができるようになります。

 5歳児健診は多くの市町村で初めての健診で、お子さん・親・保健師・心理士・教師などの教育関係者・医師など多くの方が関わります。受ける側も提供する側も慣れておりませんので、両者で将来あるお子さんのために協働して構築していく必要があります。

 

参考文献

5歳児健診マニュアル こども家庭庁

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/d4a9b67b-acbd-4e2a-a27a-7e8f2d6106dd/76581079/20240422_policies_boshihoken_tsuuchi_2024_27.pdf

5歳児健診ポータル こども家庭庁

https://gosaiji-kenshin.com/

1) Korematsu S, Takano T, Izumi T. Pre-school development and behavior screeningwith a consecutive support programs for 5-year-olds reduces the rate of school refusal. Brain Dev. 2016;38:373-6.

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