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院長コラム

 2月10日の大雪は大変でしたね。当日朝はまだ雪も降っていなかったものの、雪の予報ということもあり、念のため長靴を履いて出勤しました。その後からは雪が降りやまず、患者さんの受診も少ないため、スタッフには早めに帰ってもらいながら私もいつもより早めに帰宅しました。子どもは雪に大喜びでしたが、私としては春が待ち遠しい今日この頃です。

3月はスギ花粉が猛威を払う時期です。昨年よりもスギ花粉の量が多い予想が発表されており、症状がひどくなると思われます。対策としては薬だけではなく、洗濯物を室内干しにする・外出時のマスクや眼鏡、帽子の着用など花粉との接触を少なくする工夫も大切です。最近は根本治療とも言われる舌下免疫療法が登場し5歳以降が適応で症状に悩むお子さんにもお勧めです。

先月18日、私たち夫婦に子どもたちからのサプライズがありました。うちの息子宛の届け物があったため、何だろうなあと思っていたところ、娘がその届け物を私たちに隠れて、うれしそうに取り出しました。そして、私たちに「兄弟みんなでお金を出し合って買った結婚記念日のプレゼントです。どうぞ」と言いランニング用の帽子を頂きました。親を慕ってくれる子どもたちに感謝です。子育てのご褒美はこんな風に届くのだなぁと思いました。

皆さんもご存じの通り、3月13日からマスクの着用についての方針が大きく変わります。3年以上マスクを着け続けた子どもたちへの関わりについてお話をします。

 

3月13日以降のマスク着用について

 厚生労働省からの発表により「マスク着用については、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断にゆだねる」となるようです。すでに3年以上、マスクをし続けたので、3月13日から個人の判断となっても、同調圧力(周りの視線)の点からも急にマスクなしの生活には移行しにくいと思います。医療機関・高齢者施設に行くときはマスク着用が望ましいとも言われており、3年続けた習慣を急になくすのは難しいため、ゆっくり移行する方向で良いのではないかと思っています。

 

園・学校での対応

 子どもは生活の場が園・学校のため、園・学校での対応が気になります。園・学校の節目は3月末になるので、13日からマスク着用を変えるのは現場で動揺があるのではないかと思います。マスクに慣れているお子さんにとってはマスクをはずすことで、隠れていた顔の部分を見られることへの羞恥心があったり、マスクをつけることでの息苦しさ・かぶれなど一長一短があると思います。卒業式でマスクをどうするかと議論になっていますが、主人公である子どもたちの声に丁寧に耳を傾け、対応法を決めていただけたら幸いです。子どもたちになるべく理解できるような説明をしていただけたらありがたく思います。

 

コロナ禍での子どもたち

 出生数の低下が止まらず、2021年が81万人、2022年は80万人を割り込むような状況で、少子化が止まりません。そして、3年にわたるコロナ禍で子どもの自殺・不登校・いじめ・肥満の増加や体力低下がみられています。また、国立成育医療研究センターのグループで子どもを対象として調査したアンケートから、集中できない・すぐにイライラしてしまう・寝つけない・ひとりぼっちだと感じる・自分や家族を傷つけてしまうなどの7割超が何らかのストレス症状をかかえていることがわかり、こころの問題も見逃すことができません。子どもたちにとっても生きづらい状況があります。

 5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行します。コロナの死亡率も季節性インフルエンザと同じぐらいまでに下がってきました。今までと同じようにコロナ感染を気にしすぎると、子どもたちの体と心に影響が出ます。両者のバランスを考えて、私たち大人たちは子どもたちがコロナ前の生活に戻れるように考えるべきです。園・学校さらにご家庭でお子さんたちの声に耳を傾けてほしいと願っています。

 

参考文献

コロナ禍における子どもたちの心とからだ 国立成育医療研究センター

令和5年3月13日以降のマスク着用の考え方について 厚労省

卒業式におけるマスクの取扱いに関する基本的な考え方について(通知)文科省

 

 寒い日々が続く上、連日のコロナ報道により気持ちも暗くなりがちですね。一方で、コロナの感染症法上の分類について「2類相当」から「5類」への引き下げが検討されており、マスク着用や自宅待機など特に子どもたちへの制限への緩和を期待しているところです。

先月初旬、うちの息子(27歳)とマラソンで10kmの勝負をしました。5kmまでは30秒差で後を追っていて最後のなんとかラストスパートで勝てるかもと思っていたところ、7km地点で足がつってしまい、負けてしまいました。年齢の差を感じてしまいましたが、子どもとの久しぶりの対戦は生涯の思い出の一つとなりました。

最近、うちの娘(小4)は昨年から学校から配布されたノートパソコン(端末)を持ち帰るようになり、端末を利用しながら宿題をやっている姿を目にしています。私の子どもの時代はテレビ・ラジオぐらいしかありませんでしたが、パソコン、スマホが当たり前の時代、さらに学校から端末を持ち帰ってくる時代に入っています。今月はこの端末と子どもたちがどのように付き合っていくべきかを考えてみたいと思います。

 

ランドセル症候群って?

 端末の持ち帰りに伴い、登下校時の子どもたちの持ち物が増え、小さな体で重い荷物を持ってくことで体に負担がかかっています。教科書などの荷物が重いため、肩こり・筋肉痛・腰痛などの体の症状、重い物を持たなければならない精神的な苦痛・憂鬱さなどがみられる症状については正式病名ではありませんが、「ランドセル症候群」と言われているようです。2018年、文科省はお子さんの体の負担を考え、学校側に何を持ち帰えるかを考慮してもらいたいことを伝えています1)。工夫例として、家庭学習で使用しない教材は置いて帰る(置き勉)・学期末に持ち帰るような水彩道具、習字道具などは分散して持ち帰る・給食や体操服などを金曜日に重ならないような配慮をすることが挙げられていました。教科書自体、以前より重くなっており、さらに端末持ち帰りが加わることで子どもたちの心身の負担を考慮する必要があります。気になる症状がでている場合は整形外科などの医療機関に受診し、荷物が重いことが原因であれば、荷物の負担が減るように学校側に相談してみてください。

 

お子さんの端末利用について

ご家庭での端末の利用に関しての注意点が文科省からいくつか挙げられています2)。「目を画面から30㎝以上離す」・「30分に1回は20秒以上画面から目を離して遠くを見る」・「部屋の明るさに合わせて画面の明るさを調整する」ことを健康面から指摘しています。

さらに、保護者が知っておきたい4つのポイントとして、1.時間の長さだけではなく、利用している中身を一緒に確認しておくこと。2.ゲームプレイが個からグループになっているので、子どもがどんなゲームをしているのか、対象年齢として適しているのかを把握すること。3.相談しやすい親子関係をつくり、SNS等でのいじめや誹謗中傷は親がじっくりと話を聞くこと。4.動画や写真の投稿は注意し、特に裸の写真は絶対に撮ったり送ったりしないことが挙げられています。

 「子どもは親の背中を見て育つ」と言われるように子どもは親のしていることを見て真似をします。親も自らのネット利用を子どもの模範となるような使い方をすることが大切です。2020年から香川県はネット・ゲームの過剰な利用が子どもの学力や体力の低下だけでなく、ひきこもりや睡眠障害、視力障害などを引き起こすことやゲーム依存症の問題まで指摘されていることから「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」を制定しました3)。その中でネット利用を1日平日60分以内(休日90分以内)、午後9時までに制限することを決めています。ネット利用を学校や親だけに押し付けるだけでなく、香川県のように社会全体で子どもたちにネット利用のルールを教え、子どもたちを守っていくことが必要ではないでしょうか。

 今回の端末導入により学校の先生の多忙さに拍車をかけてしまってないか気になっています。国では端末の利活用促進に情報通信技術支援員(ICT支援員)の配置の充実が重要であると言われていますが、導入に地域差があるようです。また、端末に関しては先生方も専門家ではありません。こういったことを踏まえて、親と学校が連携しながら対応していくことが望ましいと思われます。

 最後に、ここ数年で学校に一気に端末が入り込んでいます。先生も親も子どもたちもそれに対応していかなければいけない時代になりました。パソコン、スマホなどの情報端末が子どもたちに大変身近になっています。メリットだけではなく、デメリットを充分に理解して、子どもたちを私たち(親・先生・社会)が守っていかなければなりません。就学前のお子さんには端末の使用を極力控えることがネット依存の予防になると考えています。

 

参考文献

1)児童生徒の携行品に関わる配慮について 文科省ホームページ

 

 ブラボー!今回のワールドカップサッカーの日本代表はドイツ・スペイン戦での見事な勝利‼ 世界のサッカー選手たちと堂々と戦う姿に、元気と勇気をもらいました。私事ですが昨年11月末、富士山マラソン2022に出場しました。人生2度目のフルマラソン、20㎞までは調子よかったものの、20㎞先の急坂でスタミナ切れとなり、その後失速しました。何とか完走はできましたが、記録5時間10分と課題を残す結果となりました。次回リベンジに向けて取り組んでいます。

先月より、コロナの感染症法上の分類について「2類相当」から「5類」への見直しの検討が始まりました。コロナの致死率が季節性インフルエンザとほとんど差がなくなっています。ワクチンの普及、治療薬の進歩が背景にあります。子どもたちの成長発達や社会生活への影響等も勘案しながら、いろいろな制約を少しずつでも解除していただけたら幸いです。

 一方で、全国ニュースでインフルエンザでの学級閉鎖がみられるようになり、今シーズンはインフルエンザ流行の可能性があります。今月はこの冬コロナ・インフルエンザだけでなく、ヒトメタニューモウイルス・RSウイルス・感冒などの病気とどう対応したらよいかをお伝えいたします。

 

コロナとインフルエンザの見分けるには

 地域でインフルエンザが流行していない時期には、コロナだけを気にすることでよいのですが、インフルエンザの流行が見られると、コロナ・インフルエンザを鑑別する必要が出てきます。コロナの症状は鼻水・頭痛・喉の痛み・くしゃみ・せき・熱などがあり、インフルエンザの症状には咳・鼻水・熱・関節痛などが見られます。そのため症状だけで両者を見分けるのは困難です。さらに、現在(2022年11月)、散見されるヒトメタニューモウイルスやRSウイルスもコロナ・インフルエンザと同じような症状です。

 こういった症状があった場合、園・学校での流行している病気を知ることが手がかりになるので問い合わせてみることをお勧めします。医療機関ではその情報を参考にして、迅速検査等で診断をしていく流れになります。ただ、ヒトメタニューモウイルス・RSウイルスは迅速検査でわかりますが、これらのウイルスと特定できても、抗生剤などの特効薬がないため、医療機関としては積極的に調べていないのが現状です。

 インフルエンザ流行期に入った場合は、インフルエンザがわかると、特効薬として抗インフルエンザウイルス薬(内服・吸入など)があり、早期(発症48時間以内)に投与することで有熱期間の短縮・重症化予防が認められています。

 

どのタイミングで受診したらよいか?

 コロナの検査は抗原・PCR検査の2種類あり、それぞれの特徴があります。抗原検査は結果が10分前後で判定できるメリットがありますが、熱がでてすぐ行うとウイルスの量が少ないと陰性がでる恐れがあるため、熱がでて1日後に検査をする必要があります。

PCR検査は発熱後すぐに検査することができますが、結果がでるのに、数時間から数日程度と抗原検査と比べて遅くなり、さらに数か月前にコロナにかかった場合は陽性と結果がでても今回の感染か以前の感染か判定がしづらい場合があり注意する必要があります。インフルエンザとコロナを同時に検査する場合は抗原検査で行うため、発熱から1日経ってからの検査がお勧めです。

 

こんな症状はすぐに受診を!

 40度を超える熱がでると、親としては焦ってしまうことがあります。高熱がでても、寝ている場合はそのまま様子をみて構いませんが、受け答えができない・意識がもうろうとする・けいれんなどの症状がある場合は救急車での対応を考えましょう。迷う場合はかかりつけ医に相談し、夜間・休日の場合、小児電話相談♯8000を活用してください。

 

かからないようにするために

 かからないようにするために、私たちができることは、コロナの感染対策として「マスク・手洗い・3密(密接・密集・密閉)回避」をすることで充分です。インフルエンザも同じように対策できますので、過度に対策する必要はなく、今まで通りで大丈夫です。また、園・学校に感染を広げないためにも、具合が悪そうであれば、無理させずお子さんを休ませてください。集団への配慮もお願いします。

 

参考文献

静岡県の新型コロナウイルス感染症者発生・入院等の状況(2022年7月1日時点)

抗原検査キットを無駄なく使うために

 2022年も残すところ1か月を切りました。年越しへ向けて慌ただしさが増している頃ではないでしょうか?今秋は3年ぶりのお祭りなどの行事が再開され、ウィズコロナの生活に転換しつつある兆しが感じられます。子どもたちの園・学校生活も同様にのびのびできるようにと願うばかりです。

 11月6-9日、県立図書館のイベントスペースにて「18トリソミーの子どもたち写真展」が開催され、見に行きました。うちのクリニックに併設している重症心身障がい児一時預かり施設でご縁があるお子さんの写真も展示されていて、身近に感じました。一方で全国の18トリソミーの子どものたくさんの写真を目の当たりにしたことで、子どもはもちろんのこと、家族や兄弟の環境や心境にも思いを寄せる時間となりました。企画・運営した保護者の方と話をしたところ、この写真展を契機に同じ環境の人と初めて話したという家族もいたそうです。SNSのつながりが容易になってきた時代ですが、顔を合わせて直接話したことで得られた元気・勇気が孤立していた家庭の新たな一歩に繋がることを願うばかりです。

 今月は子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについてお話します。HPVワクチンは小学校6年から高校1年相当の女子が接種対象で、2013年に定期接種化された直後、体の痛みなどを訴える人が相次いだため、積極的な接種の呼びかけが中止されていました。8年間の経過を経て、ワクチンの安全性について特段の懸念が認められず、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたため、今年4月から定期接種が再開されました。さらに今年11月の発表で、来年4月から従来の2・4価だけでなく、より効果が高いとされる「9価」ワクチンの使用が可能になりましたのでお話します。

 

子宮頸がんについて

 子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、20~40代の女性を中心に毎年約1.1万人が新たに診断されて、年間約2,900人が亡くなっています。30歳代までにがんの治療で子宮を失ってしまう(妊娠できなくなってしまう)人も毎年約1,000人います。性的な接触によるHPVの感染が原因と言われ、感染してもほとんどの人は自然に消えますが、一部の人でがん化します。HPVワクチンは感染を防ぐことができ、将来の子宮頸がんを予防できることが期待できます。合わせて20歳をすぎたら2年に1度の子宮頸がん検診受診が大切です。

9価HPVワクチン

 HPVワクチンは定期接種で使用できるのが2・4価ワクチンの2種類があります。2価ワクチンは子宮頸がんをおこしやすい16・18型のタイプの感染予防効果があり、4価ワクチンはこの2つのほか、良性のいぼ(尖圭コンジローマ)の原因となる6・11型にも効果があります。2・4価ワクチンともに子宮頸がんの約50~70%を防ぎます。さらに来月4月から追加される9価ワクチンは16・18型に加えて、31・33・45・52・58型のタイプまでカバーでき、約90%防ぎます。欧米をはじめ多くの国では9価ワクチンを使用しています。

 

安全性のデーター

 2015年、HPVワクチン接種と接種後報告され多様な症状を認めた24症状の因果関係を調べるために、名古屋市によって約7万人の若年女性を対象に大規模疫学調査が実施されました。調査結果から、非接種群と比較して、この24症状のいずれの発症率も接種群で有意な上昇は認められなかったそうです。

 

親子で接種について話そう!

 2013年、HPVワクチンが始まって2か月後に接種後の副反応と見られる症状の報道が多くの親御さんは今でも記憶に残っているのではないかと思います。実際、HPVワクチンの接種券が届き、効果も知りつつ接種すべきかを迷っている人も多いと思います。情報が厚生労働省ホームページなどに詳細に記載されており、わかりやすく一般向けのリーフレットなどもあります。親子で読んでいただき、特にお子さんが納得するように親子で話をしていただくことがよいのではないかと思います。このプロセスが今後の親子関係にもよい影響があると思います。日頃、勉強ばかりの話に行きがちですが、体が資本です。健康でなければ何事も前に進みません。接種に迷った場合はかかりつけ医に相談しても良いと思います。自分の体のことですのでお子さんの納得が大切だと思っています。ちなみに私の娘(小4)がまもなく接種対象を迎えますが、親としては9価ワクチンを勧めるつもりです。

 

参考文献

ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 先月は園・学校の運動会があって久しぶりにお子さんの学校での様子を目に焼き付けることができたのではないでしょうか。

 今夏、南半球に位置するオーストラリアではインフルエンザ流行が確認されています。国内では先月から入国者の大幅な緩和により、人の流動が活発になることを考えると、今冬はインフルエンザ流行の可能性が高まると予想されています。流行に備えて、インフルエンザワクチンの接種を強くお勧めします。

 9月に理化学研究所から赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけについての研究結果が発表されました。生後7か月以下の泣いている赤ちゃんを【抱っこして歩く】【抱っこして座る】【ベビーカーに乗せて動かす】【ベッドに寝かせる】という4種類の動作で泣き止むかどうかをそれぞれ30秒間試したところ、【抱っこして歩く】【ベビーカーに乗せて動かす】という2つの動作が泣き止むのに効果的であることがわかりました。その上もっとも効果のあった【抱っこして歩く】ことを5分間続けると、46%の赤ちゃんは眠ってしまいました。さらに寝ている赤ちゃんをベッドに置くと、起きてしまった赤ちゃんは寝始めから平均3分間でベッドに置かれたのに対して、寝続けられた赤ちゃんは平均8分間寝てからベッドに置かれていました。赤ちゃんが泣いたら、抱っこして5分歩き、寝ていてもすぐにベッドに置かずに5~8分程度、抱っこしたまま眠りが深くなるまで待つことが寝かしつけのコツであることを伝えていました。寝かしつけの際に実践している方も多いかと思いますが、研究結果からの検証という面からも自信をもって子育てに役立てていただけたなら幸いです。

 今月は子どもへの向き合い方についてお話をします。どんな親でも自分の子どもにはより素晴らしい人間になってもらいたいと願っていると思います。しかし、その期待が過度になると子どもが生きづらくなることもあることを自分の子育ても振り返りながらお伝えします。

 

私の経験談

 私には子どもが5人いて、5回の子育てを経験しています(第五子は未だ子育て中です)。第一子の時は私も初めての子育てのため、当然力が入りました。私は特に勉強に力が入ってしまい、必要以上に第一子に関わった結果、最後は叱ってばかりとなり、一時期父子関係が悪化したことがありました。その経験から猛省をし、その後は自分から勉強に関わらないように努めました。子どもは親の期待を充分に理解しています。その子の思いや生活を尊重し見守ることを学びました。第二子以降の子育ては徐々に力の加減がわかり、第一子と比較するとよい父子関係になりました。親子関係は乳幼児期や学童期のみでなく、一生涯続きます。そのため子どもが成人しても、お互いを尊重しあえるよい親子関係を築きたいものです。父子関係が悪化した時、調整役に妻が大きな役割を果たしてくれたことで、父子関係の改善ができました。この場を借りて妻に感謝したいと思います。

 

子どもを抑えすぎると

 ほとんどの親は子どもが生まれたとき「生まれてきてありがとう!」と思います。そして歩けたこと・言葉が出たこと等の子どもの成長を見て大喜びします。子どもの成長とともに、次第に子どもに「将来はスポーツ選手にさせたい」「自分と同じような職業につかせたい」などと様々な期待を抱き始めます。親子2人3脚で一流スポーツ選手になったことを伝えるメディア情報等を見ると、英才教育への進む親の考えもあると思います。それはスポーツだけではなく、勉強についても同様です。一方で現実に成功するケースはそう多くはなく、挫折し、子どもの心に大きな傷を負う場合も少なくありません。将来ある子どもの大きな挫折は、子どものその後の人生や親子関係に大きな影響を及ぼすことになりますので、親子のみで対応することはお勧めしません。

 実際に親の期待により勉強やスポーツを頑張りすぎているお子さんの中には、親の思いを気にするがあまり休んだり手を抜いたりすることができず、体に不調を訴え、当院を受診するお子さんがいます。頭痛・腹痛などを訴えるようなら、今の生活を見直してください。さらに頭痛・腹痛などが続くようなら、学校以外の習い事は一旦、休んでみてください。きっとよくなります。

 

小学生の柔道全国大会廃止

 今年3月、小学生の柔道全国大会の廃止が決まりました。廃止は行き過ぎた勝利至上主義が散見されていたことが理由です。勝利至上主義は勝つことを最優先に考えるため、他のことを軽視しがちになり、指導者や親が過熱し、子どもを追いつめてしまいます。

 スポーツだけでなく、勉強も親が厳しく対応しすぎて、行き場を失うと子どもを自殺に追い込むこともあります。指導者や親のエゴで子どもと対応せず、その子の持っているよさを見極め、見守ってもらいたいです。子育て期だけでなく、その後の親子関係がより良いものであるように願っています。

 

参考文献

理化学研究所ホームページ

全日本柔道連盟ホームページ

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