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院長コラム

 先月は多くの小学校で運動会が行われました。長引くコロナ禍により学校でのお子さんの様子を知る機会が少ないため、久しぶりにお子さんの成長を感じたのではないかと思います。コロナ対策も少しずつ緩和しておりますが、まだ生活の制限が多々あります。コロナ対応を意識しすぎることにより、自殺者数の増加や出生数の減少など負の側面が表出しており、ますます生きづらい社会になってきているように感じています。合わせて自粛疲れで、人間関係がギスギスしてしまい、小さなトラブルが様々な場で見受けられます。政治家の方には専門家の意見を参考に自粛解除の流れを加速していただけたらと思っています。子どもたちの健全な発育を育むためにも是非検討していただきたいです。

 今月は思春期に起こりやすく、自律神経の働きが悪くなることによって生じる起立性調節障害についてお話します。

 

起立性調節障害とは

 自律神経は意思に関係なく体を調整し、体温・呼吸・発汗・消化など生命の維持に必要な働きをしており、交感神経と副交感神経に分かれています。この2つの神経がバランスを保って体を支えています。起立性調節障害とはこの自律神経の働きが悪くなり、起立時に体や脳への血流が低下する病気です。症状としては朝起きることができない・食欲不振・全身倦怠感・頭痛・立っていると気分が悪くなる等があります。症状は午前中に強く現れて、午後からは体調が回復します。夜には元気になり、目がさえて眠れません。症状の程度が日・天候によって異なり、一般的には春先から夏に悪くなります。小学校の約5%、中学生の約10%の頻度で見られ、男女比は1:1.5~2、好発年齢は10~16歳、不登校の3~4割は起立性調節障害が占めていると言われています。

 

診断と治療

 立ちくらみ・めまい・立っていると気持ち悪くなる・朝起きられないなどの症状をいくつ満たすかという診断基準で、血液・尿検査などで他の病気を除外した上で診断をしていきます。さらに、寝ているときと急に起こした時の血圧・心拍数を計測する『新起立試験』を用いて4つのサブタイプを分類しています。

 治療でまず大切なことは、本人のさぼりや怠けが原因でないことを親や教師が理解することです。朝起きられないといった症状があるので、ついつい気合でなおそうと思いがちですが、自律神経の乱れから起こる病気であることを理解していただきたいです。

まずは日常生活を見直すことから始めます。早寝早起きのリズムを正しくし、だるくても日中は横にしないようにします。朝起きるときは頭を下げたまま歩き始めてください。頭を上げて立ち上がると脳血流が低下して気分が悪くなります。立ち上がる時(入浴時など)には急に立ち上がらずに30秒ほどかけてゆっくりと起立してください。朝起きられない場合は声掛けをしながら、カーテンを開けて朝日を入れてください。運動は散歩などの軽いものでもいいので、1日15~30分程度はしましょう。食事は塩分(1日10~12g/日)を多く摂取し、循環血液量を増やすために水分は最低1.5リットル必要です。適切に行うことで、軽症例では数か月以内で改善します。生活を見直すことをしてもよくならない場合は昇圧薬などの薬物療法も加えて対応していきます。

 

気になる場合は早めに医療機関へ

学校側の理解も大切で、起立性調節障害はよくある病気であることと捉えて、午後からの登校も快く受け入れていただけると回復が早くなります。

 実際の例をお話します。そのお子さんは今まで、友達とのトラブルもなく、毎日、楽しく学校へ行けていましたが、ある日を契機に朝起きることができず、母が何度も、起こしてもベッドから起きることができませんでした。ただ、昼過ぎから動けるようになり、夜にはすっかりいつも通りの元気さになっていました。学校も休みがちになったことで、私のクリニックに受診しました。他の病気を除外し、診断基準から起立性調節障害と診断、上記に述べた生活の見直しをお願いしたところ、徐々に症状は回復し、1か月程度でいつも通りに学校へ行けるようになりました。このケースは軽症だと思われます。不登校が長期間に及ぶと、体をあまり動かしていないため、症状もすぐに軽快しません。親や学校側が本人の怠けと思い込んでいると、解決が遠のいてしまいます。気になる場合は医療機関を早めに受診をして、適切な方法で症状と向き合っていくことをお勧めします。

 

参考文献

小児心身医学会ガイドライン集 南江堂

理化学研究所ホームページ

 3年ぶりの行動制限のない夏休み、いかがでしたか?

帰省や、海・山へ行き貴重な思い出ができたのではないかと思います。私は県外にいる4人の息子たちと会い、久しぶりに家族全員7人で会うことができました。社会人や大学生の息子たちの話を聞き、我が子の成長を感じ感慨深いものがありました。成長している子どもたちとは正反対に、年を重ねた50歳過ぎの私は最近、無意識に眼鏡を頭の上に掛けて近くをみるようになっていました。先日眼鏡を帽子の上に引っ掛けたことを知らずに、「眼鏡がない、眼鏡がない」と妻に伝えたところ、急に妻が大笑いし、自分のかぶっていた帽子に眼鏡が引っ掛かっていたことを指摘されました。続いて私も大笑い、老夫婦の珍事でした。

 7月中旬、千葉県にて全国病児保育協議会の研究大会が開催されました。夜尿の講演を聞いていたところ興味深い話を聞きました。様々な動物の排尿についての話の中で、ゾウの排尿時間はどのくらいかと質問がありました。答えは21秒だそうです。2015年、米ジョージア工科大のチームの研究で「体重が3キロ以上の哺乳動物の排尿時間はすべて約21秒である」ということを明らかにしたそうです。犬や猫からゾウやシロクマもヒトも平均21秒で排尿するそうです。動物園に行く機会がありましたら、ぜひ排尿時間を測定してみてください。

 1991年から3歳児健診に視覚検査が導入され、全国の自治体で視力検査が始まりました。しかし多くの弱視が見逃されてきた現状があり、近年、簡便な屈折検査機器が登場したことがきっかけで、2021年7月日本眼科医会から「3歳児健診における視覚検査マニュアル」が策定されました。子どもの弱視の発見のために屈折検査機器を積極的に導入することが期待されています。今月は子どもの弱視についてお話します。

 

子どもの視力

 子どもの視力は出生直後には目の前のものが動くのがわかる程度しかなく、眼球や脳の発達に伴い急速に発達します。視力は生後3か月では0.05、1歳では0.2、2歳で0.4、6歳には1.0程度に到達します。また、子どもの視力は3歳までに急速に発達し、6歳から8歳頃には完成します。

 

弱視とは

 子どもの弱視は50人に1人あると言われ、医学的には「視力の発達が障がいされておきた低視力」と言われています。つまり、弱視とは乳幼児期に何らかの障がいがあり正常な視力の成長が止まってしまい、眼鏡をかけても十分に視力が得られないことです。

 視力の成長は、他の成長と同じく成長期があり、8歳を過ぎてしまうと治療に反応しにくくなります。早期に治療を開始するほど、治療に反応して視力が改善していきます。

 治療の目標は眼鏡をかけて1.0の視力が得られることです。ピントがあっている状態で視力が出ることが重要で、裸眼視力がいくら悪くても、眼にあった眼鏡をかけた状態で1.0の視力があれば弱視ではありません。

 

3歳児健診の前に視力検査をしっかり!

 3歳児健診に行く前に、1次検査である視力検査とアンケート(問診)をご家庭で行ってください。視力検査は「Ⅽ」の形をしたランドル環を使って片方ずつ行うようにと書かれています。子どもは見えにくくても、自分から「見えにくい」とは言いません。片目ずつしっかり検査をしないと「片目のみえにくさ」はわかりません。うまくできないときは何回か練習をすることでできるようになります。実施年齢としては実施可能率が3歳0か月児73.3%、3歳6か月児95.0%という結果があるので、3歳になってすぐに行うのが難しければ、3歳半頃に行うとよいでしょう。それでも難しい場合は、健診会場で相談をしてください。

アンケート(問診)は、「目つきや目の動きがおかしい」「黒目が内側に寄る、外、上、ななめ上にずれる」「ひどくまぶしがる」などの項目があり、弱視だけではなく眼の病気がないかを確認しています。必ずチェックして健診会場に持参しましょう。

 

3歳児健診に屈折検査機器導入始まる

 近年、全国的に屈折検査機器が導入され始め、3歳児健診で行われる自治体が増えています。県内においてもいくつかの自治体で導入されています。この機器の導入により今まで見逃されてきた弱視の発見が高まることが期待されています。検査結果は診断ではなく、スクリーニングのためであるため、異常判定が出た場合は眼科を受診してください。また、3歳未満での精度が確立していないため、3歳以降での検査がお勧めです。自治体で導入されていない場合は医療機関で導入されている場合もあるので1度検査を実施することをお勧めします。ちなみに当院でも機器を導入して検査を行っています。

弱視は早めに発見し治療につなげることが大変大切です。

 

参考文献

「3歳児健診における視覚検査マニュアル」日本眼科医会

日本弱視斜視学会ホームページ

 例年と比較して早く明けた梅雨でしたが、その後戻り梅雨のような陽気になり、ようやく夏らしくなってきました。コロナの感染増は気になりますが、夏祭り、花火大会が予定されています。感染対策を気にしながら、お子さんと一緒にいろんな体験・経験をしていただけたら幸いです。

8月15日は終戦記念日であり、77年前のこの日に第2次世界大戦が終結しました。この大戦で日本人の軍人の死者数は230万人、民間人の犠牲者数が80万にのぼりました。今の日本の平和は多くの犠牲者の上で築かれています。今年2月からはロシアがウクライナに進行しており、戦後も世界各国で戦争が絶えません。この機会にご両親から子どもたちに戦争の悲惨さ・平和の尊さを伝えていただけたら幸いです。

先月、ラジオNIKKEIの「小児科診療 Up-to-DATE」という番組から「子どもの自殺を考える」(10/27放送予定)の依頼があり、東京にあるスタジオに行き収録をしてきました。ラジオ番組の収録は初めてで緊張しながら話をしてきました。今回はこの収録を通じて、学んだこと・知ってほしいことをテーマに掲げます。

過去約40年間の厚生労働省「人口動態調査」から18歳以下の自殺者の日別自殺者数をみると、夏休み明けの9月1日に最も自殺者数が増えています。長期休み明けはお子さんの生活環境が変わる時期で大きなストレスがあります。今月は子どもの自殺予防の中で大切な要素と言われている「援助希求力を高める」ことの大切さについてお話します。

 

子どもの自殺の現状

 全国の自殺者数は2010年から減少傾向にあり、令和3年の自殺者数は21,007人でした。その中でも大人の自殺は社会問題となり減少傾向に向かっています。しかし、少子化にも関わらず10代の自殺者数は減少しておらず、令和3年の小中高生の自殺者数は473人でコロナ前に比べて約100人多く、ここ2年間の増加はコロナ禍であることが影響しています。いじめに関連した自殺があると報道され一時期な関心の高まりは見られますが、「子どもの自殺が増えている」ことに関しては社会的な関心が低いのが実態です。

子どもの自殺の原因は「いじめ」だと多くの人が思いがちですが、2020年コロナ禍の児童・生徒の自殺の原因をみると、原因が明らかにされた理由の第1位が「進路の悩み」、第2位が「学業不振」、第3位が「親子関係の不和」となっています。しかし、6割が原因不明であり原因を探ることも困難なのが実情です。

 

大人が子どもたちに伝えるべきこと

 子どもたちには、ひどく落ち込んだ時には親・教師・友達の誰でもいいので伝えやすい人に相談をするように伝えてください。思春期になると相談相手は大人よりも友人が多くなります。「死にたい」と打ち明けられたら、その友達の気持ちを大事にしながら話を聴いて、信頼できる大人につなぐことがとても大切であることを強調してください。

 

「死にたい」と訴えられたら

 信頼関係のある先生に子どもから「死にたい」と訴えてくるかもしれません。訴えられた人は強い不安に襲われると思いますが、Tell(伝える)・Ask(尋ねる)・Listen(聴く)・Keep safe(安全を確保する)という「TALKの原則」で対応してください。「大丈夫、頑張れば元気になる」といった励ましや「死ぬなんて馬鹿なことを考えるな」等と叱ると、開き始めた心が閉ざされてしまします。徹底的に聞き役に回ってください。こういった場合、学校と保護者だけでの対応には限界がありますので、精神科・心療内科・小児科といった医療機関へつなげていくことも大切です。

子ども自身が大切な命を自分の力で閉じてしまう自殺は「孤立の病」とも言われ、長い時間かかって徐々に危険な心理状態に陥っていくのが一般的です。「誰も自分のことを助けてくれるはずがない」というひどい孤立感・「私なんかいない方がいい」という無価値観・強い怒り・苦しみが永遠に続くという思い込み・心理的視野狭窄が挙げられています。自殺が現実に起きる前に子どもは必ず「助けて!」という必至の叫びを発します。 

現在のコロナ禍においては、子どもへのストレスが増強しており、さらなる生きづらさが子どもの自殺者数の増加の一因になっています。これ以上、子どもの自殺者数を増やさないためにもコロナ感染対策への緩和を求めます。子どもも大人も生きやすい社会がすべての人への自殺予防になります。

 

参考文献

文部科学省:子供に伝えたい自殺予防 2014

文部科学省:教師が知っておきたい子どもの自殺予防

 夏がやってきました。まだまだコロナの感染者が落ち着いてはいませんが、海外からの入国制限の緩和や学校の体育授業でのマスク着用をやめることなど少しずつ緩和の流れがあります。さらに5月14日東京都医師会からコロナの扱いを感染症法上の「2類相当」から「5類相当」に引き下げ、入院や就業制限や健康観察の措置を不要とするインフルエンザと同様の対処にすべきだとする案が出されました。私が診察でコロナにかかった子どもの様子をみると、多くが軽症で済んでおり、過度に恐れる必要はないのではないかと思っています。ご家庭でも感染対策を気にしながら、お子さんのために夏ならではの経験をしてください。

 私は健康のために週2日ほど、1時間程度ランニングをしています。先月気温が高い日にランニング後、血尿が出てとても心配になりました。信頼できる泌尿器科医の先輩に相談をしたところ、筋肉の一部が壊れたことによるミオグロビン尿ということがわかりました。水分摂取不足が原因と言われ、運動時は水分をしっかりととるように言われました。皆さんも気を付けてください。

今月は夏を迎え、コロナ禍での子どもの熱中症対策についてお伝えします。

 

熱中症とは

 熱中症は高温多湿な環境に長時間いることで、体温調整機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態で起こります。屋外だけでなく、室内で何もしていないときでも発症し、救急搬送や、場合によっては死亡することもあります。お子さんの場合は公園で遊んでいる時や、スポーツなどで運動をしているときに起こりやすいです。車内はクーラーをかけていても高温になりやすいので子どもだけにするのは危険です。例年、炎天下でサッカーや野球などの部活動や試合で無理をして気分が悪くなり、受診されるケースがあります。炎天下での部活動や試合は行うべきではありません。

 初期の症状としてはめまい・立ちくらみ・筋肉痛・汗を多くかく・気持ち悪いなどがあり、症状が進行してくると、頭痛・嘔吐・だるさなどが出て、重症になると、意識がなくなる・けいれんが起こります。

 

子どもは大人より熱中症になりやすい!

 子どもが大人よりも熱中症になりやすいのは、子どもは体重に比べて体表面積が広い分、気温など周囲の影響を受けやすい・子どもは大人よりも身長が低いため地面からの照り返しの影響を強く受けやすい・子どもは発汗の機能(汗を出して体温を下げる)が弱いため、体温を下げる能力が低く、体の中に熱がこもりやすいためです。さらに、子どもは自分で適切な水分摂取ができないことがあります。のどが渇いていても親に訴えることができず、遊びや運動に夢中になると体の不調を訴えなくなるため、異変がないか大人が気にする必要があります。

 

予防法

 予防法はこまめな水分補給が大切です。水分補給は水とともにナトリウム(Na)などの電解質が失われるため、必要に応じてイオン飲料や経口補水液がお勧めです。お子さんが「のどが渇いた」と言ったときは、水分が失われています。のどが渇く前に少しずつ水分をとってください。通気性のよい涼しい服を着させ、帽子もかぶってもらえるといいです。子どもは大人よりも照り返しの影響を受けることを気にして、こまめに日陰や屋内で休憩をとってください。また、子どもは体調の異変を言葉にできないことを知っていただくことも大切です。もし、気持ち悪い・頭がいたい・くらくらするなどの訴えがあった場合は早めに対応しましょう。

 コロナ禍ではマスク着用が気になります。マスクをしていると皮膚からの熱が逃げなくなり、熱中症のリスクが高まります。屋外では人と2m以上離れていれば、マスクをはずすことをお勧めします。

 

対応法

 熱中症かもと思ったら、衣類をゆるめ、涼しいところに頭を低くして寝かせてあげてください。イオン飲料・経口補水液などをこまめに少しずつ飲ませてください。冷たい濡れタオルで体を拭き、クーラーの効いた部屋に寝かせて、積極的に体を冷やしてください。意識がない・けいれんをしている場合はすぐに救急車を呼んでください。

コロナ禍で子どもがコロナにかかり亡くなったケースはほとんどいません。そのため、マスク着用を気にしすぎて、熱中症でお子さんが亡くなることがあってはならないことだと思います。

最後に今月10日に参議院選挙が行われます。一票で何も変わらないように思いがちですが、決してそんなことはありません。一票の積み重ね、特に若い人が投票に行くことで若い人や子どもたちの声が政治に反映されます。ぜひ、子どもを連れて投票に行ってください。子どもが選挙のことを親に聞いてきたら、わかりやすく政治について話をしてください。選挙は子どもの教育にもなります。

 

参考文献

国立成育医療研究センターホームページ

厚生労働省ホームページ

熱中症診療ガイドライン2015

 今年のG・Wは行動制限がなく、少しずつ自粛の解除が感じられる雰囲気が出てきました。先月、17日文部科学大臣記者会見において「体育の授業ではマスクの着用は必要ないということ、気温とか湿度や暑さ指数が高い日には、熱中症への対応を優先させてマスクを外すこと」と述べています。昨年、大阪の小学5年男子が体育の授業でマスクをつけて持久走後死亡した報道がありました。これからの季節は特に感染対策を重視しすぎて熱中症のリスクを見逃してはならないと思います。

先月、国立成育医療研究センターがアンケート調査を行ったところ、小学高学年から中学生1~2割にうつ症状・3割は自分にうつ症状が出ても「誰にも相談しない」ということが明らかにされました。いらいらしている・朝起きられないなどのサインがあれば、子どもの話を聞く、必要ならためらわず医療機関に相談をしてください。先月、芸能人の自殺がありました。うつから自殺に発展します。子どもの自殺は増加傾向になっています。子どもの変化に気づくためにも日頃の親子の会話を大切にしてください。

今月は「教育」について考えます。先日現役の公立小学校の教師と本音で話す機会がありました。私も妻も我が家の子どもたちも公立小中高でお世話になっています。子どもたちに質のよい教育を受けてもらうためにも公教育について考えてもらえる契機になればありがたいです。

 

小学校教員採用試験倍率2.4倍

 文科省から発表された令和4年度の教員採用試験の倍率は全国平均3.4倍(うち小学校2.4倍)、10年前は5.8倍で年々低下傾向にあります。教師になりたいと思う人が少ない、人気がなくなってきている職種であることがわかります。教師は国の根幹である人づくりの立役者であり、子どもへの教育を通じて、日本を支える役割を担っていると言えます。

一方で最近は、教師の仕事は「ブラック」と言われています。小学校の担任先生はクラスの授業を朝から夕方まで担当し、休み時間は宿題のチェック、給食は自分も食べながら子どもたちと一緒で休む暇がありません。仕事を家に持ち帰ることもあると聞きます。質の良い授業をする上では休憩時間を取る・授業の準備をする時間が必要です。

魅力ある職場にするためには、休憩時間を増やす・雑務を減らすことが求められます。具体的には、担任の先生以外の先生にいくつか授業を担当してもらい、空き時間を作ること・雑務を減らす等が求められます。県内では全国初となる公立小学校1年生の1クラス25人学級の制度ができており、教育に力を入れています。教師の質にも着目し、教師側に立った両輪の政策が求められます。

 

じわじわとかさむ教育費

 うちの娘(小4)が昨年から学校から支給されたノートパソコンを家に持ち帰り、パソコンを使いながら宿題をしていました。このパソコンは国から支給されたようで無償でしたが、今年度より山梨県教育委員会が県立高校の新入生に対してノートパソコン購入を求めています。文科省によると公立高でのパソコンなどの導入の費用負担は保護者負担と行政負担が全国的に約半々でした。現在、少子化対策で医療費・教育費など家計の負担を抑える流れに逆行しているように思えます。 

子育て政策の充実(医療費・給食費・保育料・遊び場利用料・おむつ代の5つの無料化)により人口増加・税収増・経済の活性化が注目されている兵庫県明石市の市長によると「トップの決断で予算の無駄遣いを減らし、予算をシフトすれば、よりよい子ども施策が実現できる」と述べていました。県内でも実現可能ではないかと勇気をもらいました。

 

小学校のクラス替え

 小学校のクラス替えは2年に1度と信じ込んでいた私は、近年全国的にクラス替えが毎年へと変わりつつあることを知り驚きました。クラス替えは国や都道府県に明確な指針はないようで、各学校の判断に任されているそうです。

 2年に1度では一貫した指導がしやすく、教員と子ども・子ども同士で深い人間関係が築けるメリットはあります。一方毎年になると、様々な子どもや教員らと出会う機会が増えます。クラスの生徒や先生との相性が合わず、戸惑っているお子さんが腹痛・頭痛などの不定愁訴を認め、不登校に発展していた子がクラス替えをきっかけに症状が改善することもあります。少子化が進行していることもあり、様々な子どもたちとの出会いや交流を考えると毎年のクラス替えのメリットも考えながら、これまでの学校の判断を踏襲するだけでなく、検討する必要性もあるのではないかと感じました。

 

引用文献

末松信介文部科学大臣記者会見録(令和4年5月17日)

国立成育医療研究センターホームページ

【まちづくり】こども家庭庁の創設に際して‐発想の転換を-

 

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