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院長コラム

RSウイルス

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

例年と比較して遅くまで真夏日が続いていましたが、やっと秋らしくなってきましたね。先月、子どもが通っている甲府第一高校の第87回強行遠足が行われました。11年前に女子生徒が車にはねられ亡くなり、距離を短縮し存続していたが、遺族の意向もあり、今年から男子が今までと同じ距離が105.7キロに戻りました。私は高根の救護所で救護ボランティアとして参加し、生徒たちが懸命に挑む姿に触れ合うことができ、たくさんの元気をもらいました。足の痛みをこらえながらもまだまだ先のゴールを目指す生徒・走りたい気持ちはあっても増す痛みに耐えきれずリタイヤした生徒など一人一人が生涯忘れられないよい経験になったことでしょう。

例年冬に流行するRSウイルス感染症の患者数が、大流行した昨年と同数の報告がされているため、今年も大流行の可能性があります。当クリニックでもRSウイルスにかかり咳がひどくなり、入院するケースもでてきています。今月はインフルエンザと肩を並べるRSウイルス感染症についてお話します。

 

RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は咳・鼻水・熱が主な症状で、風邪と同じような症状ですが、風邪よりも咳がひどくゼイゼイして、熱がでてきます。熱は4~5日続くこともあります。2~3歳以上のお子さんは大抵症状が軽く済むのですが、0~1歳のお子さんは重症化しやすく、気管支炎や肺炎になり入院することもあります。全体としては2週間ほどで治ります。わが国のRSウイルス感染症による死亡数は年間約30人いることを考えるとインフルエンザと同様、注意すべき病気です。0~1歳のお子さんがゼイゼイしてきた場合RSウイルス感染症を考えてください。

 

2度以上かかりますか?

このウイルスは1歳までに半数以上が、2歳までにはほぼ100%かかります。1度かかれば、2度とかからない病気ではなく、繰り返し感染してしまいますが、回数がふえるほど症状は軽くなります。大人もかかり、かぜの症状と同じであるためRSウイルスと区別ができず、大人から子どもにうつすこともあります。

 

予防法は?

 潜伏期間が4~6日で、飛沫や接触によって感染しますので、手洗いうがいをしっかりしてください。感染力も強いのでしっかりと治ってから通園しましょう。現在のところワクチンがありませんが、低出生体重・心臓や肺に基礎疾患を持つ子どもたちに限って、ワクチンではない「シナジス」という抗体(抗RSVモノクローナル抗体)を注射して重症化を防いでいます。 

 

検査はできますが、特効薬がありません

 RSウイルスは以前から存在していたウイルスですが、最近、外来で迅速診断ができ、診断が容易になってきました。検査はインフルエンザの検査と同様に綿棒を鼻に入れて行います。

インフルエンザに対しては特効薬がありますが、RSウイルスには特効薬がなく、抗生剤も効きません。細菌感染の合併があるときは抗生剤を使用することもあります。お薬は気管支拡張剤・去痰剤・鎮咳剤が中心で、外来では吸入をしたり鼻水を吸引器で吸ったりしています。家庭では加湿に配慮しながら休んでください。乳児は熱が続き、咳がひどくなる・飲みが悪くなるなどの症状が出て、悪化すると無呼吸や突然死につながることもありますので早めに受診されることをお勧めします。

 

今月から肺炎球菌ワクチンが7価から13価へバージョンアップ

 定期接種の一つである肺炎球菌ワクチンが今まで7種類の血清型をカバーしていたものが、6種類増え、13種類にアップします。当然今までより多くカバーできるため、効果がより高まります。接種回数や時期は今までとまったく同じで、途中まで接種している場合は新しい13価に変えて接種します。

 初回3回と追加接種の計4回終了したお子さんの場合は、追加接種後2か月以上あけて13価のワクチンを接種することができ、さらに効果が期待できるのでお勧めです。このことを補助的追加接種と言い、自費にはなりますが、5歳までが対象になります。うちの子どもも対象となるので、来月接種する予定です。皆さんもご検討ください。

 

参考文献

RSウイルス感染症に関するQ&A(厚生労働省)http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html

RSウイルス感染症(国立感染症研究所)

http://www.nih.go.jp/niid/ja/rs-virus-m/rs-virus-idwrc/3972-idwrc-1336-01.html

 

読者の皆様・ちびっこプレスのスタッフの皆様のお陰で、早60回を迎えることができました。毎月、締め切り日が近づくとストレスを感じることもありましたが、読者の方から「読んでいますよ」なんて言われるとうれしくなり、それを励みに取り組んできたというのが正直な心境です。これからも地域に根差した最新の医療情報を提供していきたいと思いますのでどうぞお付き合いください。

 今月から県内では初めて、市川三郷町で「ヒブワクチン」の助成制度がスタートします。現在自費の予防接種は、おたふく・水痘・ヒブ・肺炎球菌のワクチンがあり、保護者の経済的な負担も多大です。今後さらに多くの市町村がヒブワクチンだけでなく他のワクチンも含めて助成制度が広がることを願っています。

 また、5年前から事実上中断している日本脳炎ワクチンが来月から再開することになりました。昨年8月には熊本市在住の7歳男児が日本脳炎にかかっていますのでお早めに日本脳炎ワクチンを接種していただきたいと思います。ちなみに日本脳炎ワクチンは3歳以上が対象になります。

さて今月は今年に入り猛威をふるっているRSウイルス感染症についてお話します。

 

RSウイルス感染症とは

例年11月から1月にかけて流行を繰り返していますが、今年は新型インフルエンザの影響でまだ流行が続いており、さらに患者数が例年より多い状況です。RSウイルス感染症は咳・鼻水・熱が主な症状で、2~3歳以上のお子さんは大抵症状が軽く済むのですが、乳幼児のお子さんは重症化しやすく細気管支炎や肺炎になり入院することもあります。併せて1歳以下のお子さんは中耳炎の合併もよくみられます。インフルエンザと同様、注意が必要な病気です。

 

そもそもあまり聞いたことがないウイルスですが?

RSウイルスは以前から存在していたウイルスですが、最近、外来で迅速診断ができる検査方法が普及し始めたこともあり、診断が容易になってきたことで耳にすることが多くなりました。検査はインフルエンザの検査と同様に綿棒を使用して、鼻に入れて行います。ただ、この検査は一般的には保険で効かない検査のため、インフルエンザ簡易検査と比較して広がりにくい状況があります。

 

2度以上かかりますか?

このウイルスは乳児の約70%が1歳までにかかり、2歳までにはほぼ100%かかってしまいます。1度かかれば、2度とかからない病気ではなく、繰り返し感染してしまいますが、回数がふえるほど症状は軽くなります。

 

予防法は?

 潜伏期間が4~6日で、飛沫や接触によって感染しますので、インフルエンザと同じく手洗いうがいをしっかりしてください。感染力も強いのでしっかりと治ってから通園させてください。また、ワクチン開発が進められていますが、現在のところワクチンがありません。ただし低出生体重・先天性心疾患・慢性肺疾患をもつ子どもたちに限って、数年前から「シナジス」という抗体(抗RSVモノクローナル抗体)を注射して重症化を防ぐ方法があります。

 

治療法は?

 インフルエンザに対しては特効薬がありますが、RSウイルスには特効薬がなく、抗生剤も効きません。対処療法のお薬が中心で、外来では吸入をしたり鼻水を吸引器で吸ったりしています。家庭では安静にして加湿に配慮して水分をしっかりとってください。乳児は咳がひどくなったり、飲みが悪くなり、無呼吸や突然死につながることもあります。早めに受診されることをお勧めします。普通のかぜと違い熱が4~5日続く場合も多く、症状が治まるまで10日前後かかります。

 

診察をしていて、乳幼児を持つ家族の多くがRSウイルス感染症を知りませんでした。

読者の皆様の中でも、今まで知らなかった人が多いのではないかと思います。来月もお楽しみに。

 

参考文献

国立感染症研究所 感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_22/k04_22.html

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