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院長コラム

便秘

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

先月の2度にわたる記録的な大雪にはびっくりしましたね。1m以上の大雪の時は、家族や近隣の人と総出で周辺道路の雪かきをしました。その後子ども達はまだ有り余る体力で雪合戦やかまくらを作って遊んでいました。また今月は長男が高校を卒業します。家から出て新たな世界へ旅立ちます。18年前に初めての子どもを授かり、妻と試行錯誤しながら子育てをしてきました。育て上げたという達成感が半分ありますが、寂しさも募ります。旅立ちは笑顔で送り出そうと思います。私も18歳で千葉の実家から出て1人暮らしをし始めたことを思い出し、当時の親の心境も同じであったのだろうと思っています。

昨年9月に便秘症の診療ガイドラインが発表されました。今月は便秘のガイドラインに沿ってご説明したいと思います。

 

便秘って

便秘とは便の回数が少ないか、出にくい状態を言います。ただし便が1日1回出ていても、硬かったり、排便時に痛みや出血がある場合は便秘と考えます。普通の便は1~3日に1回程度出て、バナナのような硬さです。

何かのきっかけで便を出さないと、便が大腸にたまります。大腸は便から水分を吸収するので硬い便となります。硬い便を出すとき、痛みがでたり、肛門が切れて出血を伴うこともあります。こうなると子どもは便を出したくなくなるので、便意が出ても出さないようになります。ひどくなると両足をX形にクロスして便を我慢するようになってきます。便が常に腸内に留まっていると腸が伸びてしまって感覚が鈍くなり、大きな便でないと便意を感じなくなってしまい、悪循環が始まります。

便秘の悪循環が多い年齢は1~2歳です。3歳を過ぎてくると、悪循環を脱出するために自ら便を出すように努力できるのですが、1~2歳のお子さんの場合、便を出すのが怖くて、便意があっても便をなにがなんでも出さないように努力をします。そのため1~2歳は便秘がなかなか改善できません。

 

赤ちゃんの便秘

生後すぐの赤ちゃんの便秘は、生まれつきの病気として、直腸の先がふさがって便が出ない「鎖肛」や腸の神経がなくて腸の運動ができないために便が出づらい「ヒルシュスプルング病」を考える必要があります。

しばらく便はうまく出ていたのに途中から便が出づらい時はまずワセリンなどをつけた綿棒で肛門刺激をしてください。数秒間で終わらせないで、2~3分程度長めに行うと大抵出てきます。それでも改善しないときは哺乳が不足している可能性もあります。1歳未満の場合はただの便秘でないこともありますので、気になる場合は医療機関に相談をしましょう。

 

便秘の悪循環から抜け出すには

便秘は一時的な場合は問題がありませんが、1か月以上長引く場合は悪循環にならないように早めに医療機関で相談をした方がいいと思います。硬い便・排便時の痛みや出血・足をクロスさせながら便をする場合は便秘のサインです。

 治療のポイントは食物繊維が豊富な食べ物を増やすことも大切ですが、それだけで改善できないことが多いため、薬を使いながら治療することをお勧めします。水分をとるようにと言われますが、脱水になっていない場合は水分をとらせてもよくなりません。通常通りの尿回数であれば脱水と考えないでください。また腸を空の状態にすることが大事です。そのため下剤やかん腸を使用し、便の塊を除去することが必要となります。硬い便を出すには激しい痛みを伴い、排便したくなくなるので、硬くない便が出るように薬で調節します。薬を使うとすぐに便秘が改善する場合も一部ありますが、数ケ月から長い場合は2~3年続けることも多くいます。便秘の期間が長い方は治るのにも時間がかかっています。また、トイレットトレーニングは便秘が治ってから始めた方が得策です。トイレットトレーニング中に失敗してしかられたりすると、子どもがその意味を理解できず排便を止めたりする場合があります。

 

3・11を忘れない

あの震災から3年が経ちました。うちのかかりつけにも避難してきたご家庭がいます。放射線の危険について質問を受けたこともありました。福島県から山梨に避難した母子は色々と悩んだ末数か月前に旦那さんのもとに戻りました。本当に多くの方の生活が変わりました。これからも微力ながら復興支援に関わっていきたいと思います。

 

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