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院長コラム

一年で最も気持ちのいい季節になりました。青空を見ていると心にゆとりが生まれてきます。先月、あるショッピングセンターで私(45歳)が愛娘(1歳)を抱きながら歩いていたところ、高齢の男性から「失礼ですが、お孫さんですか?」と聞かれてしまいました。「自分の子どもです。」と素直に答えました。がっかり・・・。気になったとしても言わないでください。

先月行われたアレルギー学会に出席し勉強してきましたので、最新のアレルギー事情についてお話します。今月はまず「ぜんそく」についてです。

 

ぜんそくの今昔

 「ぜんそく」とは息を吐くときにヒューヒュー、ゼーゼーという笛のなるような音(喘鳴)がして、呼吸が発作的に苦しくなる病気です。私が医師になりたての20年前には、現在の治療の根幹をなす吸入ステロイドは乳幼児に適用することができませんでした。発作は夜起きやすいこともあり、病院で勤務していたころは呼び出され対応に追われた日々が多々ありました。そのため発作による入院や救急受診が多かったのです。最近ではガイドラインの普及や吸入ステロイドなどの薬が乳幼児でも使用できるようになったおかげで、ぜんそくの病態である「慢性の気道炎症」が治まり、発作が減り、生活・人生の質(QOL)が向上するようになりました。

 

コントロールをよくするためには

 ぜんそくは長期管理が必要な病気で毎日薬を使用するため、患者さんが自ら治療に参加し、積極的に治していこうとする気持ちを持つことが大切です。また、慢性的に気道の炎症が起きているので、発作がない時でもお薬を使うことが大切です。

 発作が起こり、気道が傷つくと、傷ついた気道の組織はもとに戻ろうとするときに正常な状態に戻るわけではなく、傷を残したままで治っていきます。皮膚の傷口が治っていく時にその部分だけが硬くなったりしますが、同じようなことが気道の中でも起きています。なるべく発作をおこさないようにコントロールすると気道が傷まず、次の発作を抑えることができます。

 発作が起こった時の原因がわかると発作を抑えることにつながります。布団の上で遊んだ時、花火やたばこの煙を吸い込んだ時、猫と触れ合った時、疲れたりした時などの場合はそのきっかけに気をつければ防げるかもしれません。運動をして発作が起こることがありますが、この場合、運動をしないようにすることはお勧めできません。子どもが体を動かすことは成長する上で大切なことですので、運動して発作がでる場合は治療薬を見直すことが必要です。

 治療の目標は「日常生活が支障なく過ごせる」ことです。スポーツを含めて昼夜を通じて症状がなく、β2刺激薬の頓用がない状態が続くことが大切です。夜の咳がないかと気にしがちですが、昼間の咳の様子も注意してください。

 

海外の報告から

 最近、海外で吸入ステロイドの副作用で子どもの身長の伸びが抑えられる可能性があると報告がありました。5~13歳の小児で吸入ステロイドを4~6年間使用した場合、コントロール群と比べて最終身長が平均1.2cm低かったという結果です。この報告が出たことで吸入ステロイドは使用しないということではなく、副作用もわかって対応してもらえれば幸いです。恐がって使用しないことは発作が増えるため生活・人生の質(QOL)が低下します。一方で漫然と使用し続けることも得策ではありません。吸入ステロイドはぜんそくにとっては欠かせない薬であるため、かかりつけ医とよく話をしながら、病状や薬とうまくつきあっていくことをお勧めします。

 

うちの夫婦げんか対処法

 うちの夫婦はそろそろ20年を無事経過しようとしています。夫婦げんかは時折してしまいますが、昔に比べると減ってきてはいます。原因は些細なことです。仲直りの方法はどちらがいけないのかははっきりしませんが、私が「ごめんね」と謝って終わります。好きで結婚したわけですから、長引かせない方がいいと思います。子どもは巣立ちます。残された時間を夫婦で楽しめるような関係を築いておきましょう。

 

参考文献

日本小児アレルギー学会(監修):家族と専門医が一緒に作った小児ぜんそくハンドブック2012年改訂版. 協和企画, 2008

濱崎雄平, ほか(監修),日本小児アレルギー学会(作成):小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012. 協和企画, 2011

 

桜が終わりハナミズキが咲き新緑あふれる季節です。うちの庭の芝生も緑が深まってきました。4月から新生活が始まりようやく慣れてきた頃と思います。

先月、うちの保育園の研修会で、「メイク・ア・ウィッシュ」の事務局長である大野寿子さんの講演会を聞く機会がありました。皆さんにもこの活動を知っていただきたいので今月はこのお話を取り上げます。

 

メイク・ア・ウィッシュって?

「メイク・ア・ウィッシュ」とは「願い事をする」という意味で、難病と闘う子どもたちの夢をかなえるお手伝いをしているボランティア団体のことです。夢をかなえることで子どもたちに生きる力や病気と闘う勇気を持ってもらおうと設立されました。国際的な団体で1980年にアメリカで発足し、今では世界28か国にまで広がり夢をかなえた子たちは12万人を超えました。日本では発足して20年が経ち、2000人以上のお子さんの夢をかなえてきました。

この講演を聞き、私は小児科医になって最初の4年間、難病の子たちの治療に携わってきたことを思い出しました。その頃の私は未熟でしたから子どもの細い血管に点滴・採血をするだけで悪戦苦闘の毎日で、診察・カルテ書き・コンピューターの入力などの仕事に朝から晩まで追われていました。やりがいがある一方、難病のためお子さんが亡くなるという切ない経験もしました。最近は少なくなりましたが、その当時の苦い経験を思い起こし悪夢を見ることもあります。ただ今振り返ると、携わるスタッフのストレスと比較できないほど難病のお子さんやそのご両親・兄弟の不安や辛さは大きいものだったと思います。

 

活動の紹介

 皆さんは子どもの頃どんな夢がありましたか?「野球選手になりたい。パティシエになりたい。保育士さんになりたい」と多くの子どもたちは夢を持ちます。しかし、難病の子どもたちは長い闘病生活の中で「あれをやりたい」「これをやりたい」と言っても、そのたびに「病気が治ったらね」「元気になったらね」と言われ夢見ることをあきらめたり、つらい治療が続きうれしいことや楽しいことを忘れてしまいがちになります。そんな難病を抱えた子どもたちひとりひとりに「君の夢はなんですか?その夢をかなえるお手伝いをしますよ」と問いかけ、夢の実現をお手伝いするのが「メイク・ア・ウィッシュ」です。

 メイク・ア・ウィッシュが夢のお手伝いをしたのは、ディズニーランドに行ったり、イルカと一緒に遊んだり、自宅に帰ったりと多種多様でありました。そして夢が実現した子どもたちはひとまわりもふたまわりも大きく見えるほど、堂々として誇らしげになるのだそうです。この夢実現へのステップで親が病気になった子どもに対して自分を責めたり兄弟に迷惑や心配をかけている気持ちばかりであったのが、少し整理され前向きに人生を歩んでいこうと変わってくるそうです。夢の実現はゴールではなく、新しい夢へのスタートラインになっていくようです。

  「絵本を作る」夢をかなえた12歳の女の子のお話をします。内容は動物たちが力を合わせて宝物を探しだすというストーリーで、動物たちは宝物の箱を見つけ出しますが、中は空っぽでした。大切なのはみんなで力を合わせることであり、そういう仲間がいることだと締めくくられています。題は「いちばん大切なもの」でこれまでに2万冊近く売れました。さらに本人が病気と闘っている子どもたちに「つらいのはきみひとりだけじゃないよ、元気を出してほしいから。」とプレゼントしたそうです。その女の子は絵本ができる前日に旅立ったそうです。この本はクリニック・保育園でも購入しました。皆さんもぜひ手に取っていただきたいと思います。

 

最後に

今回の講演の中で「頭を鍛えるには勉強をする、体を鍛えるには運動をする、心を鍛えるにはボランティアをする」という話が心に残りました。自分のボランティア経験は被災地への医療活動の経験があったぐらいで、ボランティアで心を鍛えることを知り、これから積極的にボランティアに挑戦したくなりました。子育て中でも、ママ友に声をかけ互いの子育てを励ましあったり、手を貸したり、席を譲ったりということは立派なボランティアといえます。自分の人生の中でボランティアをする心の余裕を持ちたいですね。

私も含め、げんき夢保育園ではスタッフと園児さんがメイク・ア・ウィッシュのTシャツ・トレーナーを購入し活動を支援しています。

 

参考文献

メイク・ア・ウィッシュの大野さん 大野寿子 メディアファクトリー

 

ようやく春の到来です。日も長くなり、外出したくなりますね。この時期悩むのが花粉症対策です。私は花粉症なので毎年本当に困っていて、この時期はお薬を飲みながら生活しています。うちの四男が昨年から花粉症デビューしてしまいました。私より症状がひどく毎日つらそうにしています。

先日、話題になっている「永遠の0」の映画を家族みんなで観て来ました。平和が続いていることを感謝し、あの時代のことを決して忘れず、同じ過ちをしないようにと子どもと話をしました。

今月は2年前に改定された「母子健康手帳」についてお話します。

 

いつ頃から始まったの?

 「母子健康手帳」の始まりは戦争中の昭和17年、「妊産婦手帳」に始まり、戦中・戦後は生活物資不足から配給を受けるための手段として活用されました。昭和23年、現在の「母子手帳」の様式が始まり、昭和40年、母子保健法の制定とともに「母子健康手帳」と改称されて現在に至っています。この手帳はわが国の妊産婦死亡率や乳児死亡率の改善に一定の役割を果たしてきました。

 この手帳をみると、妊娠期・出産時の母の様子、お子さんの健診・予防接種の記録がこの1冊に詰まっていてコンパクトにまとまっています。海外では母と子の手帳が別々になっていることが多く、日本の母子健康手帳は妊娠・出産・子どもの健康の記録が1冊にまとまっていて、利便性がよく、他の国々から高く評価され各国に採用され広がっています。日本の母子健康手帳は世界に誇れる非常に素晴らしいものです。

 

改定のポイント

  • 妊婦の記録欄が大幅に拡充されました。この欄に妊婦健診時に尋ねたいことを記載したり、各時期の両親の気持ちを書くことをお勧めします。
  • 胆道閉鎖症を早く発見するために「便色カード」が生後1カ月の欄に添付されました。今までにないカードで、お子さんの便の色で病気かどうかがわかる形になっています。胆道閉鎖症は1万人に1人の割合で発生する病気で予後が不良な病気です。この病気が疑われる場合、生後すぐは黄色便だったのが生後1カ月前後から淡黄色便になります。早期発見が予後をよくするので生後1カ月前後の便の色を確認してください。気になる場合は早めに医療機関に相談をしてください。
  • 今までの予防接種欄はページ数もあまり多くなく接種が多くなると紙を足したり見栄えがいいと言えませんでしたが、今回の予防接種欄は記録欄が大幅に増えて任意接種のワクチンに名前が記されていて使いやすくわかりやすくなりました。
  • 手帳の後半部に18歳までの身体発育曲線(成長曲線)が新たに掲載されました。小学・中学生時になると学校からの「健康カード」で身長・体重を確認するため、乳幼児期から連続的な経過が把握しにくくなっています。18歳までの成長曲線を利用すると、急に身長が伸びることで思春期早発症が早く発見できたり、いじめがあると身長が伸びなかったり体重の増減が見られたりします。そのため心身の健康を把握する上で参考になります。

 

活用にあたって一言

手帳の前半は母子の健診の様子、予防接種の記録、後半は育児に役立つ情報が書かれています。今の社会は情報が氾濫しすぎています。混乱しないためにも後半部の情報は信頼性が高いものなのでじっくりと読んでいただくと大変役立ちます。

今回の改正でパパとママが自由に記載できる欄が増えたのでぜひとも各時期でのお子さんに対する思いをたっぷりと書いてください。今では小中学校の道徳教育などで自分の母子手帳を見る機会もあるため、お子さんが成長し読み返した時、父母の当時の気持ちがわかり、愛されていたことを改めて確認できることでしょう。

 

年長さんのお子さんがいるパパママへ

 今年に入り麻疹(はしか)の患者数が昨年に比べ3倍増です。麻疹は春から夏にかけて流行します。年長さんは麻疹風疹混合(MR)ワクチンの2回目が4月から始まります。ここ数年は麻疹が落ち着いていましたが、今年流行の懸念がありますので、春休みを利用してお早めに接種をお勧めします。

 

参考文献

母子健康手帳の交付・活用の手引きhttp://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/hatsuiku/index.files/koufu.pdf

チャイルドヘルス Vol.16 No.12

先月の2度にわたる記録的な大雪にはびっくりしましたね。1m以上の大雪の時は、家族や近隣の人と総出で周辺道路の雪かきをしました。その後子ども達はまだ有り余る体力で雪合戦やかまくらを作って遊んでいました。また今月は長男が高校を卒業します。家から出て新たな世界へ旅立ちます。18年前に初めての子どもを授かり、妻と試行錯誤しながら子育てをしてきました。育て上げたという達成感が半分ありますが、寂しさも募ります。旅立ちは笑顔で送り出そうと思います。私も18歳で千葉の実家から出て1人暮らしをし始めたことを思い出し、当時の親の心境も同じであったのだろうと思っています。

昨年9月に便秘症の診療ガイドラインが発表されました。今月は便秘のガイドラインに沿ってご説明したいと思います。

 

便秘って

便秘とは便の回数が少ないか、出にくい状態を言います。ただし便が1日1回出ていても、硬かったり、排便時に痛みや出血がある場合は便秘と考えます。普通の便は1~3日に1回程度出て、バナナのような硬さです。

何かのきっかけで便を出さないと、便が大腸にたまります。大腸は便から水分を吸収するので硬い便となります。硬い便を出すとき、痛みがでたり、肛門が切れて出血を伴うこともあります。こうなると子どもは便を出したくなくなるので、便意が出ても出さないようになります。ひどくなると両足をX形にクロスして便を我慢するようになってきます。便が常に腸内に留まっていると腸が伸びてしまって感覚が鈍くなり、大きな便でないと便意を感じなくなってしまい、悪循環が始まります。

便秘の悪循環が多い年齢は1~2歳です。3歳を過ぎてくると、悪循環を脱出するために自ら便を出すように努力できるのですが、1~2歳のお子さんの場合、便を出すのが怖くて、便意があっても便をなにがなんでも出さないように努力をします。そのため1~2歳は便秘がなかなか改善できません。

 

赤ちゃんの便秘

生後すぐの赤ちゃんの便秘は、生まれつきの病気として、直腸の先がふさがって便が出ない「鎖肛」や腸の神経がなくて腸の運動ができないために便が出づらい「ヒルシュスプルング病」を考える必要があります。

しばらく便はうまく出ていたのに途中から便が出づらい時はまずワセリンなどをつけた綿棒で肛門刺激をしてください。数秒間で終わらせないで、2~3分程度長めに行うと大抵出てきます。それでも改善しないときは哺乳が不足している可能性もあります。1歳未満の場合はただの便秘でないこともありますので、気になる場合は医療機関に相談をしましょう。

 

便秘の悪循環から抜け出すには

便秘は一時的な場合は問題がありませんが、1か月以上長引く場合は悪循環にならないように早めに医療機関で相談をした方がいいと思います。硬い便・排便時の痛みや出血・足をクロスさせながら便をする場合は便秘のサインです。

 治療のポイントは食物繊維が豊富な食べ物を増やすことも大切ですが、それだけで改善できないことが多いため、薬を使いながら治療することをお勧めします。水分をとるようにと言われますが、脱水になっていない場合は水分をとらせてもよくなりません。通常通りの尿回数であれば脱水と考えないでください。また腸を空の状態にすることが大事です。そのため下剤やかん腸を使用し、便の塊を除去することが必要となります。硬い便を出すには激しい痛みを伴い、排便したくなくなるので、硬くない便が出るように薬で調節します。薬を使うとすぐに便秘が改善する場合も一部ありますが、数ケ月から長い場合は2~3年続けることも多くいます。便秘の期間が長い方は治るのにも時間がかかっています。また、トイレットトレーニングは便秘が治ってから始めた方が得策です。トイレットトレーニング中に失敗してしかられたりすると、子どもがその意味を理解できず排便を止めたりする場合があります。

 

3・11を忘れない

あの震災から3年が経ちました。うちのかかりつけにも避難してきたご家庭がいます。放射線の危険について質問を受けたこともありました。福島県から山梨に避難した母子は色々と悩んだ末数か月前に旦那さんのもとに戻りました。本当に多くの方の生活が変わりました。これからも微力ながら復興支援に関わっていきたいと思います。

 

一年で一番寒い2月がやってきましたね。この寒さを乗り切るために最近色々な温泉に下の子ども2人と共に行っています。山梨には温泉がたくさんあり、低価格でいろんなお風呂が楽しめる上リフレッシュできます。山梨のいい所の一つで私は温泉好きになりました。

昨年12月に水痘ワクチンの定期接種化が今秋から始めることが決まりました。本当にうれしい限りです。水痘ワクチンの定期接種が始まれば水痘にかかるお子さんが激減します。水痘で苦しむ子どもがいなくなる日が楽しみです。今月は「水痘」の病気について話をします。

 

水痘(水ぼうそう)にかかると

 水痘は「みずぼうそう」とも言われ、空気感染で強い感染力がある病気です。2週間の潜伏期を経て発症し熱がでることが多く、水疱を伴う発疹が全身に広がり、その後かさぶたになります。治るまでに1週間程度かかり、園や学校を休むことになります。治療法は特効薬であるアシクロビルを飲み、発疹に専用の軟膏を塗って対応します。

多くの場合は1週間もたてば後遺症もありませんが、中には脳炎・脳症、脳梗塞などの合併症を起こす場合があります。また移植などで免疫が低下しているお子さんがかかると重症化します。妊娠初期にかかると胎児に重篤な障害を残し、新生児がかかると重篤になる場合があります。毎年約100万人発症し、年間約4000人が入院、約20人が死亡しています。予防法は水痘ワクチンを接種することですが、任意接種であるため接種率は40%程度にとどまっています。

 

定期接種化すると水痘は激減する

20年前に水痘ワクチンの定期接種化が始まったアメリカでは、患者数が激減しました。日本も今秋、水痘ワクチンが定期接種化されると、接種率が上がり集団内に免疫を持つ人が多くなり、病気自体が流行しなくなる「集団免疫」の効果もみられると予想されるため患者数が大幅に減ります。水痘ワクチンの安全性については国内で25年、海外で15年以上に計1億人以上が接種をして、副反応が極めて低いことが実証されています。

経済的な効果も考慮され、2回接種にかかる費用と現在の水痘にかかった時の治療費と家族の看護の負担費用の合計を比べると定期接種とした方が経済的にも有利でした。

 

水痘ワクチンは2回接種

 水痘ワクチンは麻疹や風疹と同様に2回接種を勧めています。1回接種だけでは十分に抗体が上がらず、6~12%が水痘にかかることがわかっています。このため2回接種することで長期にわたって抗体を維持でき、患者数を減らすことが期待できます。接種後の有効な免疫が20年後まで持続することが確認されています。さらに水痘ワクチンを接種することで高齢者に多い帯状疱疹になりにくくなるという報告が最近されています。

 日本は諸外国と比べて定期接種としてできる予防接種がまだ少ない、いわゆるワクチンギャップがあり、まだまだ遅れていると言えます。数年前に比べるとこのワクチンギャプも解消されつつありますが、残り3ワクチン(B型肝炎、おたふくかぜ、ロタ)の定期接種化へみんなで声をあげていきましょう。さらに同時接種といって注射を何回ができるようになったのですが、1つの注射に1~2種類しか入っていないワクチンが多く、諸外国では1つの注射に3つ以上のワクチンが入っている混合ワクチンが使われています。接種を受ける子どもたちのためにも、この点も合わせて改善していただけるとうれしいです。

 

流行中のインフルエンザについて一言

 抗インフルエンザ薬の登場で以前より発熱期間が短く、早めに登校・登園することで感染をさらに広めてしまうことが問題となり、2年前から登校・登園の基準が「発症後5日を経過し、かつ解熱後3日(幼児)・2日(学童)を経過するまで」と見直しがされました。そのためかかると1週間程度の登校(園)停止となります。

2~3日熱が続き、4日目になり解熱して大丈夫かと思っていると5日目に再び熱が上がる場合があります。2峰性の発熱と言い、よく見られます。抗インフルエンザ薬のおかげで、症状が軽くなっている印象はありますが、油断は禁物です。

 

参考文献

水痘・帯状疱疹とそのワクチン 国立感染症研究所

http://www.nih.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrtpc/4043-tpc404-j.html

水痘ワクチンに関するファクトシート

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqx.pdf

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