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院長コラム

 先月は運動会の季節でした。運動会の練習は、例年夏休み明けから園や学校では始まります。運動会の練習に疲れ、腹痛・頭痛・学校に行きたくない・自宅で機嫌が悪くなったお子さんもいたのではないでしょうか。当院においても、毎年夏休み明けからこのような症状で受診されるお子さんがいます。
 腹痛・頭痛など体に症状が出る場合は、本人とよく話をした上で、ご両親が園や学校へ相談をして、お子さんの負担を軽減することが大切です。特に発達障がいのお子さんはより配慮が必要になります。「みんなちがってみんないい」そのお子さんができる所までに留め、できたらほめるといった対応が大切だと思います。
 先月に引き続き、成長曲線を利用しながら体重について考えたいと思います。身長と比較すると体重は変動しやすいです。体重が適切に増えていくことは子どもの成長にとって重要なことです。

子どもの体重の見方

 体重の計測は身長と異なり計測の手技による誤差はあまりありません。子どもの体重は基本的に増えていきます。生後2~4日までは体重が出生時体重より減りますが、その後は増加し続けます。このため、急に体重が減った場合は注意が必要です。特に乳児期の体重の推移は大変気を使います。体重の増えだけで判断するのではなく、お子さんの活気・食欲・熱など総合的に判断することが必要です。服の有無で体重が前後する場合があるため、子育て広場やショッピングモールで体重を測る場合は、おむつだけの状態で測るようにしましょう。

乳児期の体重はとても気を使う

 離乳食が始まるまでは、母乳だけでいいのか粉ミルクを足すべきかを迷うケースが多々あります。体重が適切に増えていれば、安易に粉ミルクを足す必要はありませんが、増えが悪い場合は粉ミルクを足して増えているかを確認します。身長・体重が成長曲線の帯の一番下を推移している場合、帯の中に入っていれば異常ではありません。また、母乳育児の場合、母乳が足りているか不安になり、夕方から寝る前にかけて粉ミルクを足す方が見られますが、体重が適切に増えている場合は安易に足す必要はありません。個人個人で成長が違いますので、気になる場合は小児科医・助産師・保健師に相談することをお勧めします。

体重が増えていない場合

 母乳だけにこだわり過ぎて体重が減っている赤ちゃんがいます。体重が増えていないお子さんは泣く力も弱いため、授乳して最初は吸っていても、途中で疲れて吸うのを止める場合があります。母親が母乳で育てたいという気持ちを尊重しながら、必要に応じて粉ミルクを足すことも大切です。乳児期の1年間は体重が3倍に増え、目に見えない脳・内臓などの臓器が急激に育つ時期です。
 母親がリラックスし快適に抱いているか、おっぱいを深く含ませているかといった与え方が適切でないと赤ちゃんも上手に母乳を吸うことができません。赤ちゃんの母乳の飲み方も確認してみてください。
 体重が増えない他の要因としては、食物アレルギーを気にしすぎて自己判断で食物を数種類除去している・適切に食事を与えない虐待・ぜんそく発作を繰り返している等が挙げられます。この場合は適切な治療をして、食事を提供ことで体重が増加します。

体重が急激に増える場合

 体重の急激な増加の多くは、間食の問題やゲーム中心の生活による運動不足から、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために起こる「単純性肥満」です。子どもの肥満は成人肥満のもとになり、将来的に2型糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病に進行します。小児科の肥満外来では専門的なアドバイスを行なっています。親子だけで気をつけるより医療機関と連携した方が効果的です。肥満はできるだけ早い時期に改善した方がよいことがわかっています。最近では小学校の『健康の記録』において、成長曲線が活用されています。当院においても、小学校からの指導により肥満外来につなげたお子さんがいます。長期の休みを活用して、肥満を克服することは大切です。

平和について考える

 最近、連日北朝鮮のニュースが取り上げられています。不安を抱いている方も多いと思われます。70年前、日本は原爆を落とされ敗戦しました。戦争で多くの命が亡くなりました。同じ過ちを犯すことは決して許されません。歴史が証明するように、一度始まった戦争を止めることはなかなかできません。現状をみんなで考えていくことが今必要です。

 

参考文献

現場で役立つラクラク成長曲線 診断と治療社

日本小児内分泌学会ホームページ

 暑い夏がようやく終わります。みなさんはご家族で海や山などに出かけましたか?きっと色々な思い出ができたのでしょうね。私は娘、妻と一緒にディズニーランドに行ってきました。パレードやショーを見てアトラクションにも乗りました。あるアトラクションでボートに乗りながらキャプテンからの説明がありました。言葉だけではなく、体全身を激しく動かしながら説明をして私たちを楽しませてくれました。ここまでしなくても思うぐらいのパフォーマンスで驚きました。人に何かを伝える時は言葉だけでなく、体全身を使うと効果的だと感じました。
 今月は診療中、よく質問を受ける身長と体重の評価方法についてお話します。お子さんの成長は親にとって高い関心があります。子どもは成人まで成長していくため、小児科医はお子さん1人1人の身長と体重を評価するために「成長曲線」を利用します。身長・体重は一時点だけでは評価しづらく、継続的に見ることでお子さんの健康状態が把握できます。

成長曲線とは

 成長曲線は横軸に年齢、縦軸に身長・体重を記録して作成されます。母子手帳の中にも記載する所があり、健診で計測した時にプロットしています。個人の成長曲線を描くと身長・体重が適切に伸びているかを評価できます。適切に伸びていないと、様々な病気を発見する契機になります。乳幼児期は予防接種等で母子手帳を目にするため気にしてよくみますが、小学生以上になるとその機会も減るため関心が薄くなってきます。年に1~2回は学校から配布される「健康の記録」を確認し適切に身長が伸びているかをみてください。

身長のみかた

 身長の計測は小さい子だと動いてしまい、計測にバラツキが出ることがあります。気になった場合は再度計測をしてください。身長も体重も子どもの場合は増えるのが普通です。ただ、1か月前の計測では比較しづらいため、3~6か月前と比較しないと増えがはっきりしないこともあります。
 母子手帳にある成長曲線には男子が青く、女子がピンクで帯が描かれています。その帯の真ん中が平均になります。実際、お子さんの曲線をみると、平均になることを目指しがちですが、個人差があるので、その帯の中にいれば基本的に問題ありません。子どもと親は顔が似ているように身長・体重も親の背格好に似るのが普通です。

身長の伸びが気になる場合

成長曲線が急に伸びたり、伸びなかったりする場合は何か病気が隠されている場合があります。成長曲線の帯の中に入っていても、伸びが大きすぎる場合、伸びが小さい場合も注意が必要です。
 伸びが大きい場合は思春期が早く訪れる思春期早発症・成長ホルモンが過剰に分泌されて身長が急激に伸びる下垂体性巨人症などが疑われます。
 逆に伸びが小さい場合は、頻度として多いのが成長ホルモン分泌不全性低身長症です。成長曲線の帯の一番下よりさらに下を推移している場合はこの病気が疑われます。他には甲状腺機能低下症・思春期遅発症というホルモン分泌異常の場合もあります。また、自己判断による過度な食事制限・虐待によりお子さんに栄養が充分に与えられない・両親の離婚・身内の死・転校・友人との別れ・いじめなど環境の変化でも身長が伸びないことがあります。
 成長曲線だけではなく、「元気がなくなってきた」「目つきがおかしい(視野障害)」「視力が低下した(脳下垂体の病変)」などの症状や2次性徴に伴う体の変化が適切であるかも気になるところです。2次性徴は女児で乳房腫大・陰毛・月経の順で出現し、男児では精巣の大きさが増し思春期開始となります。女児では7歳6か月未満で乳房発育が見られる、男児では9歳未満で精巣・陰茎・陰嚢の明らかな発育が起こると思春期早発症が疑われます。
 身長の伸びが気になる場合はまずかかりつけ医に相談し、必要があれば小児内分泌専門の先生を受診し検査・治療が必要な場合があります。身長・体重の増えが気になって相談に行く場合は成長曲線を作成するため、今まで計測した身長と体重の値を持参していくと良いです。

全国病児保育研究大会に参加して

 当医院では病児保育室を運営して早8年になります。年々利用者が増え、以前に比べて知名度も出てきました。利用する大切なお子さんを安心・安全にお預かりする上で、うちのスタッフ10数名と7月に2日間大阪で開かれた病児保育の勉強会に参加して多くの学びを得ました。今後も質の高い病児保育を提供していきたいと考えています。

参考文献

現場で役立つラクラク成長曲線 診断と治療社
日本小児内分泌学会ホームページ

 例年のように猛暑が続く暑い夏、みなさんいかがお過ごしですか?水分補給をこまめに行い、クーラーを活用したり、シャワーを浴びたりしながら熱中症に気をつけてください。
先日、乳がんと闘っていた小林真央さんが亡くなりました。幼いお子さんを残してどんなに無念だったかと想像します。悲しく残念でたまりません。真央さんのブログから前向きに生きる姿が多くの方に伝わりました。また一日一日を大切し前向きに生きていくことを教えられました。ご冥福をお祈りします。
 今月は視点を広げて医療と上手に関わりながら子育てをしていくには・・という話をしたいと思います。昨今はブログなどを含めたネットが普及し、情報が氾濫しています。子育ての情報のみならず、医療情報も多く、どの情報を信じればよいか迷う時もあります。

 

喘息との関わり

 私が小児科医になったばかりの20年前は、喘息の治療薬があまりなかったため、夜発作を起こした子どもの受診が多く、救急外来は忙しい日々でした。現在は治療法が進歩し、抗ロイコトリエン薬や吸入ステロイドの誕生で発作を起こす子どもたちが明らかに減ってきています。喘息の治療をみても、昔より格段に進歩しています。薬を上手に使うことにより発作で苦しまずに済むお子さんが多くなってきています。喘息のお子さんは気道炎症が24時間起こっており、発作がなくても、抗炎症薬を使用し気道炎症を抑えることで発作を抑えることが大切です。上手に薬を使うと生活の質が高まります。

ステロイド軟膏を上手に使用する

 20数年前、ステロイド軟膏の副作用に関する誤ったテレビ報道をきっかけに使用を控える方が増加し、アトピー性皮膚炎の炎症が悪化し、真っ赤な顔になり受診する方が多く見られました。その後、その誤解を正すために多大な時間を要することになりました。その頃は私たち医師の話より、メディアや民間療法の影響が強く、ステロイド軟膏の使用に関して躊躇している方が多い印象をうけました。
2000年に日本皮膚科学会からアトピー性皮膚炎ガイドラインが誕生し、普及が進むことで、医師・患者の両者の共通理解が深まりました。そのおかげでステロイド軟膏を使用しない方は現在、ほとんどみられなくなっています。ステロイド軟膏の副作用が出にくい免疫抑制剤の軟膏も登場し、以前よりアトピー性皮膚炎の治療も進歩しています。

予防接種を上手に利用する

 最近いくつもの予防接種が登場し、多くの恩恵が得られています。特にヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンが始まり、髄膜炎にかかるお子さんが激減しています。うちのクリニックでもヒブワクチンが始まる前は髄膜炎にかかるお子さんが年に数人はいましたが、現在はほとんどいません。またロタウイルスワクチンがない頃は、多くのお子さんが点滴や入院をしていたのですが、開始されてからは点滴治療も入院も激減しています。予防接種は発熱や接種部位が腫れることはありますが、重い副反応はまれとなっています。現在使われているワクチンは長い歴史があり、世界中のお子さんに使用されてきて安全性が確認されています。
予防接種をした後に高熱を出したり、脳炎を起こし報道される場合があります。接種後に起こすと直接的な原因と思われがちですが、その因果関係を調べることは簡単にいかないことも多いのが現状です。私が予防接種を勧めるときには予防接種のメリットとデメリットのバランスを考えて、メリットがデメリットを上回るようなら接種した方がよいと話をしています。予防接種の必要性についてはネット情報だけではなかなか理解できません。大切な自分の子どものワクチンの必要性について親としていろいろと心配するのは当然のことです。必要性があるかはかかりつけ医に相談をして、納得のいく説明を聞き、子どものために決定することが必要です。私たち小児科医は科学的なデーターを収集し、国の方針や日本小児科学会の提言を考慮し判断しています。

 最後に喘息やアトピー性皮膚炎で上手に薬を使用することで、症状が軽くなっていること、予防接種をした恩恵でいろんな病気にかからないで済む時代になっていることを痛感します。私が医師になったばかりの頃と比較すると小児医療の進歩は早く、今の子どもたちは本当に幸せだと感じます。皆さんもご存知の通り、子育ては一人ではできません。医療との付き合い方も同様で、かかりつけ医に相談しながら、現在の最新の医療を上手に取り入れていただきたいです。そして、その情報を家族で共有しながら子どものために良い選択をしていってほしいと願っています。

 昨今の森友学園・加計学園問題さらに共謀罪強行採決の報道を目にするたびに、しっかりとした説明をせず、はぐらかしていく政府の対応に嫌悪感を抱きます。こんな大人の世界を子どもたちはどう感じているのでしょうか。
最近4歳のうちの娘は、自分の言うとおりにならないと「パパと結婚しないけど、いいの?」「アイスを3個買わないと許してあげない!」と色々な言葉を言って私を困らせます。私が「結婚しなくてもいい」と開き直ると、娘は「そうじゃない!」と憤慨します。数分もすると、けろりと忘れていつも通りに戻ります。日々成長する我が子との問答を楽しんでいます。
私は2年前から小児訪問診療を始め、その家族(特に母親)の疲弊を少しでも軽減するためにという思いで、家族の休息(レスパイト)として昨年3月から医療的ケアが必要な重症心身障がい児を昼間預かり施設を開設しました。そして6月10日に利用しているお子さんとその家族の集いを初めて行いました。今月はそこでの家族の声を皆さんにお伝えしたいと思います。

医療的ケア児とは

 生まれた時から重い障害があり、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な子どもたちのことを「医療的ケア児」と言います。文部科学省の調査では、特別支援学校や通常の小中学校に通っている医療的ケア児は平成26年度8,750人で8年前の1.5倍に増加しています。昔だったら救えなかった命が医療の進歩により助かるようになったことで、医療的ケア児は年々増えています。一方で2年前の厚生労働省の調査では、医療的ケア児に関わる親の負担が相当重く、睡眠時間をどの程度とれているかの設問には、睡眠をまとまってとれる(21%)・ある程度とれる(51%)・まとまってとれない(26%)という結果が出ています。このことからも充分な睡眠時間がとれていないことがわかっています。うちの施設を利用している方の家族も利用時、体を休めていることがあり、日々のケアで疲弊していることが伺えます。  

家族の集いから

 隣接する保育園で行なわれた夏祭り行事に参加し楽しんだ後に、交流会をしました。利用している6名のうち3家族が参加し、父親と兄弟も含めて家族全員来てくれました。初めの自己紹介では固い表情でしたが、話をしていくうちに互いに打ち解け、涙あり、笑いありの非常に充実した時間となりました。今回すべての家族で父親が参加してくださり、夫婦間での思いを確認することもできました。話の中で、母親から「もう、本当に、いっぱい、いっぱいでした」、「旦那もとてもよく子どもをみてくれる」父親からは「家内には本当に苦労をかけている」「生まれた時、本当につらかった、なぜ・・・」といった発言がありました。ある母親は話をするだけでつらかった日々を思い出して、涙があふれ言葉にならず、それを聞いた他の母親たちも涙顔となり、聞いていた私自身、言葉では言い表せない気持ちになりました。夫婦間だけでは消化できなかったことも、同じ境遇の家族間だと分かり合えることも経験できたのではないでしょうか。さらに医療的ケア児の兄弟に対して忙しさのあまり「ちょっと待ってね。」ばかり言ってしまい、がまんばかり強いている・負担をかけていると言っていました。保育園に受け入れてもらえないこと・学校においてはスクールバスでの利用ができず、毎日親が送迎をしなければならない等のことから、既存の制度では医療的ケア児に対しての想定ができていない実態を知りました。
 実はこの交流会に参加を予定していた2家族が欠席しました。1家族は直近で入院してしまいました。もう1家族は父親が仕事のため、移動に人手が必要で人手がないための欠席でした。そのお子さんは人工呼吸器を装着しているため母親1人だけでは車での移動ができずに参加することができませんでした。

皆さんに伝えたいこと

 普通のお子さんを持つご家庭でも、日々の子育てはたいへんだと思います。さらなる負担がある医療的ケア児を持つ家族はなおさらです。そのため、落ち着いて物事を考えたり、家族でゆっくりと生活を営むことさえままなりません。その現状を皆さんに知っていただけたらと願っています。医療的ケア児とその家庭が安心して生活ができるような社会を作っていくことが今、私たちに求められています。

参考文献 

厚生労働省 医療的ケア児について

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000118079.pdf

全国医療的ケア児者支援協議会ホームページ http://iryou-care.jp/problem/

 

 新年度が始まり、G・Wも終わり新しい生活リズムや人間関係には慣れたころでしょうか?先月、アメリカが北朝鮮に武力行使を検討、ミサイルが日本にもやってくるなどの報道がなされ、不穏な状況になっています。他人事ではなく隣国との関わりについてより一層の関心を持たねばなりません。最近、うちの4歳の娘にたかいたかいを何度もしていたところ、右肩を痛めてしまいました。50歳に近づいている私の右肩には大きな負担でした。体を労わりながら子育てをしていきたいと思います。
 今月は「PFAPA症候群」というあまり聞いたことがない病気についてお話します。ここ数年前、うちのクリニックでこの病気にかかっている2名のお子さんに出会いました。毎月のように高熱が4~5日続き、学校や園を休まねばならず、本人も家族もこの病気に悩まされています。

PFAPA症候群とは?

 PFAPAはPeriodic fever(周期性発熱)・aphthous stomatitis(アフタ性口内炎)・pharyngitis(咽頭炎)・cervical adenitis(頸部リンパ節炎)の略で、PFAPA症候群という病気は、周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・頚部リンパ節炎の4つの主症状があり、乳幼児期に発症する「自己炎症性疾患」です。関節リウマチなどの膠原病などの「自己免疫疾患」と違って、自己炎症性疾患は1999年に提唱されたばかりのまだ新しい概念で「自分で勝手に炎症のスイッチが入ってしまう」病気で原因や治療もまだ確立はされていない分野です。これから研究が進むことで病態解明されることが期待されています。
 PFAPA症候群は、5歳以下で発症することが多く、約1か月に1回の頻度で反復する発熱を認め、発熱期間は約5日程度、40度近い熱が出ます。発熱時はぐったりすることもあります。咽頭炎・口内炎・頸部リンパ節炎などの症状があり、感冒と診断されてしまう場合があります。正常な発育・発達で、発熱していない時はまったく普通の生活ができています。重い合併症は少なく、小児期に自然寛解することが多く、家族の半数で反復する発熱・扁桃摘出術をした人がいます。約1か月に1度、周期的に熱がある場合はPFAPA症候群を疑う必要があります。
 治療法は、大きく3つ挙げられます。一つ目は胃酸抑制薬(シメチジン内服)で約50%の有効性が認められます。二つ目はステロイド薬ですが、飲むと数時間で熱は下がりますが周期が短くなるデメリットがあります。三つ目は扁桃摘出術で100%近い効果がありますが、全身麻酔下で手術になります。そのため子どもの年齢や症状に応じた治療を考えていきます。この病気は医療者側にもまだ認知が低く、風邪と診断され、無効な抗生剤を投与することもあります。

当科でのケース

 この病気の2人は診断にたどり着くまでに家族がネットなどで情報収集しながら、いくつもの病院を受診して診断が診断がつきました。当クリニックで対応した小学校高学年のお子さんは、周期が約30日で熱が出ると5日間、39~40度の高熱が続き、口内炎を認めました。高学年にもなるとカゼをひくことも少なくなり、発熱すると大抵この病気の発症でした。その都度、病院受診し血液検査を受けていました。本人も病気のことがわかっていて繰り返される熱に落ち込んでいました。発熱時はつらいようで、学校を休み自宅で過ごします。勉強にも支障がでてきますし、中学校のことも考えるといつ頃病気が治るのか不安な日々だったそうです。現在はシメチジンを飲んでいますが、効果はあまりないようで、ステロイド薬は周期を短くするため積極的には内服していません。効果が期待できる扁桃摘出術は全身麻酔での手術に対して本人の不安があり、悩んでいます。そろそろこの病気が治るのではないかという期待と不安が入り混じっていました。子どもが成長するにつれて本人の意思も大切であるため、ご両親の悩みも大きいようでした。
 皆さんにこういった病気があって悩んでいる方がいるということを知っていただけたら幸いです。

参考文献

古本雅宏, 他:PFAPA症候群100例の臨床像. 日本小児科学会雑誌119:985-990, 2015

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