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院長コラム

小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。

 先月まで暑さで悩まされていたのが、もう冬到来となっています。流行語にも「二季」がランクインするなど、四季を感じられなくなってきていますね。

今シーズンのインフルエンザ流行が例年より早まっています。予防として今からでも遅くありませんので、ワクチン接種しインフルエンザから身を守っていただきたいと思います。先月、小1男子がインフルエンザにかかり、マンションから転落した報道がありました。インフルエンザにかかると飛び降りなどの異常行動をおこすことがあり、特に発熱から2日間が要注意と言われています。1人にさせない・窓の鍵をかける・ベランダに面していない部屋で寝かせる・可能であれば1階で寝かせるなどの対策をしてください。また小学校6年生までは病児保育の利用も可能です。ご検討ください。

先月、大学の硬式テニス部OB会がありました。昼間は現役部員と一緒にテニスを楽しみ、夜は飲み会で旧交を温めることができました。OB会での最高年齢は84歳、今も現役で診療をしている橋本敬太郎先生(山梨大学名誉教授、薬理学者)は気さくで、温和な紳士で私が尊敬している大先輩です。私も橋本先生のように長生きしながら診療を続けられれば本望です。読者の皆様は子育てでお忙しいと思いますが、家庭や仕事以外の場で、自分自身を見直す時間も大切にしてください。

今月は小児救急医療体制について、今までの経緯をお伝えしたいと思います。小児初期救急医療センターが始まって20年が経ちました。20年前は全国的に小児救急医療体制が脆弱な体制しかとれておらず、たらい回しなど社会問題化されている時代でありました。2003年に県で小児救急医療体制検討委員会が立ち上がり、2005年から甲府市内、2008年から富士吉田市内に「小児初期救急医療センター」が開設され、夜間・休日の時間外に小児科医が診察するようになりました。2005年以前は時間外受診では他科の先生が子どもを診察し、必要があれば小児科医が対応する体制でした。過去を知ることで今後の体制を考える礎になってもらえたら幸いです。

 

私が開業した理由

 私は小児科医になり5年目から千葉市のみつわ台総合病院で3年間勤務医として働きました。千葉市の小児救急医療体制は全国的にも先進的な体制で海浜病院の隣に初期救急センターがあり、市内の小児科医らが時間外に勤務を交代で対応していました。私は千葉市での勤務を終えた後、山梨市にある加納岩総合病院に勤めました。ここでは千葉市の救急体制と違って、県内の2次医療圏ごとの救急体制がありました。当直医が子どもを診察し気になる場合、病院小児科医を呼び出す体制でした。常勤小児科医が2人のため、私は夜間2日に1回オンコールがありました。年に半分は自宅にいても、当直医・入院中の子どもたちが何か異変があると病棟から呼び出される体制で、呼ばれない日はない状態が続いていました。自分自身が千葉市のような体制が取れないかと試行錯誤していた頃、全国的に先進的な小児救急体制がある熊本市・宇都宮市へ見学に行き、様々な事例を勉強してきました。さらに小児科医の夫婦で24時間診療している「スマイルこどもクリニック」の存在を知り、見学に行った時に「まず、山梨でやってみよう!」と決意し、半年後、2004年4月から平日19時から23時までと休日昼間、私と有志の数名の小児科医と共に、げんきキッズクリニックで診療を始めました。その当時は小児初期救急医療センターがない時代だったため、開業日初日から多くの患者さんが受診し、多くの方からとても感謝されたことを思い出します。県内の新聞・テレビで大々的に報じていただきました。

そして、私の開業1年後、2005年3月に甲府市内に「小児初期救急医療センター」が開設されました。私のクリニックは5年間、時間外診療を続けていきましたが、6年目以降に診療時間を今と同じ昼間の時間に変更し、センターの診療に協力しています。

 

小児初期救急医療センターの20年間

 小児初期救急医療センターは県内の小児科専門医である開業医・勤務医・大学病院医師らが交代で診療を担っています。この体制は開業医のみでは続けることは不可能で、勤務医・大学病院医師の協力がなくては継続できません。また、初期(1次)のみでなく、2次病院は勤務医、3次病院は大学病院が担当しており、県内の小児科医が連携して成り立っています。

昨年までは子どもの頭部外傷の対応が明確化できていない部分がありましたが、小児科医と脳神経外科医との話し合いを経て、今年から子どもの頭部外傷について救急体制が確立されました。今後よりスムーズに受診ができると思われます。

 10月は園・学校・地域で運動会が開催されたところも多かったと思います。

娘(中1)も体育祭があり、リレー・タイヤ綱引きなどの競技を応援しました。競技を真剣に取り組む姿と体が大きくなった中学生の迫力を感じ、その中で仲間と力を合わせる娘の姿に成長を感じました。

 ここ3年間、日本に土着株よる感染が確認されていないことから、日本は2025年9月下旬に風疹の排除を達成されたと世界保健機関から認定されました。妊娠20週ごろまでの女性が風疹にかかると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生時に先天性心疾患・難聴・白内障などの障がいを引き起こすことがあります。2018年に流行後「風疹の追加的対策」を実施したこともあり、排除に至りました。中々ニュースに取り上げられませんが、大きな成果だと思います。

風疹の排除を維持するためには1歳と年長で実施されている麻疹風疹混合(MR)ワクチンの接種率をこれまで同様に高めつつ、社会全体での啓発活動を継続することが大切です。これから生まれてくる子ども達が二度と先天性風疹症候群にかからないように、みんなで心がけていきましょう!

 今月は、私が参加した医療的ケア児とご家族の交流会について取り上げます。昨年に引き続き、9月20日げんきキッズクリニックとげんき夢こども園子育て支援センター共催で「あおぞら共和国」(北斗市白州町)の施設をお借りして、医療的ケア(医ケア)児を含む重症心身障がい児とご家族との交流会を行いました。医ケア児とは生まれた時から重い障害があり、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医ケアが日常的に必要なお子さんのことです。

私の医ケア児とその家族とのお付き合いは10年以上になります。小児訪問診療を始め、その家族が介護で疲弊している実態を知り、家族のレスパイト(休息)目的で自院内に医ケア児を昼間お預かりするデイサービスを2016年に立ち上げました。さらにその家族との交流会を子育て支援センター、自院内で実施し、昨年から「あおぞら共和国」で行っています。県内に医ケア児は100名弱しかいません。医ケア児のことを知るきっかけになれば幸いです。

 

「あおぞら共和国」とは

 北杜市白州町にある「あおぞら共和国」は、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークが運営する施設です。寄贈された白州の土地3,000坪を活用し、病気や障害のあるこどもたちのための「夢のレスパイト施設(癒しの宿泊施設)」で、利用は難病や障がいのある子どもとその家族が対象で「誰にも気兼ねなく」過ごせる特別な場所です。5棟のロッジと複数の付帯施設で構成されています。チャリティーウォーク(春・秋)、プラネタリウム、星空観望会などのイベントも行なわれています。

 今年3月24日には山梨県との連携協定を締結し、ふるさと納税クラウドファンディングにて「あおぞら共和国」の活動を支援して頂けるようになりました。

 

交流会を実施して

 10組近い家族の参加があり、各ご家庭が自己紹介をして、チームに分かれて家族全員参加のレクレーションを楽しみました。その後、患児の兄弟は別室で保育士スタッフが野外活動や室内遊びに連れて保育を行ないました。保護者はうちの園長が司会をしながら、一家族ずつ近況報告や子育ての振り返りなどの話をしながら交流を深めました。「自分自身・パートナーの親としての成長について」のお題で参加した両親がそれぞれ語り、介護・看護で協力しあいながらもお互いを尊重し仲の良い夫婦関係を築くために努めていることが理解できました。この頃になると、関係性も深まり、夕食で会話が弾み、子どもたちの大好きな花火をしてお開きとなりました。これだけでも満喫できましたが、宿泊した家族を誘って夜11時まで、家族皆参加の2次会を開催しました。子どもたちもパジャマ姿の上お菓子持参で参加し、我が家の子ども達が参加した子どもの遊び相手になり、ロッジ内をかくれんぼして、大興奮の夜になったようです。大人はご夫婦の馴れ初めなどを聞いたり、最近の出来事を互いに話したりお互いに励まし合えたようです。後日ご夫婦はもとより、参加した兄弟児からも「またあおぞら共和国に行きたい!」と満面の笑みでお礼を言われ、企画側の満足度も非常に高いものになりました。

医ケア児の家族は外泊で旅行に行くことは難しいため、今後も私たちができる範囲内で非日常体験に関わることができればと思っております。医ケア児と家族の生活は24時間気を休めず、精神的にも肉体的にも疲弊しています。家族の負担感を増強させているのは在宅生活のサービス体制の不足です。具体的にはレスパイト入院施設の不足や人工呼吸器装着児に対して通学・授業中に家族の付き添いが必要であり、家族の負担感を強いています。山梨県内でどんな障害のある子が生まれても安心して子育てできるように、早期に是正して欲しいと願うばかりです。

 

参考文献

あおぞら共和国HP https://www.aozorakk.com/about

今年の夏は本当に暑かったですね。35℃以上の最高気温が連日続き、体にとても応えました。

さて、2学期に入って園・学校生活に慣れないお子さんが、腹痛、頭痛を訴えうちのクリニックに受診します。運動会の練習で疲れている子どもたちもいます。園・学校でがんばった分、家でゆっくりと体を休ませてあげてください。家で充電できれば、翌朝は元気になって飛び出していけます。また必要に応じて子どもたちの訴えを聞き、園・学校に協力していただき調整をしている子どももいます。小児科医として子どもの代弁者であり続けたいと思っています。

さて、私のマイブームをお伝えします。10年前、自宅の屋根に太陽光パネルと設置し、その電気を活かして自宅の電気を一部賄っています。さらに数年前、ネット通販店で太陽光パネルと蓄電池を購入。その蓄電池を利用して、自宅の扇風機、スマホの充電、洗濯機、電子レンジなどで使用し、なるべく既存の電気を利用しないように工夫しています。小さなことですが、少しずつ気にすれば、電気を作る原料となっている石油・石炭・原子力などの軽減化に寄与できるのではないかと自己満足に浸っています。

今月は、ここ20年くらいで世界的に増加している消化管アレルギーについて皆様にお伝えいたします。

 

消化管アレルギーって?

 「消化管アレルギー」という言葉を耳にしたことがない方もいるかもしれません。消化管アレルギーは食物アレルギーの中で、嘔吐・下痢などの消化管症状を認める病気と言われています。以前までは病名がいくつも混在していました。患者数の増加で認知されるようになり、病名もようやく統一されるようになってきたのが現状です。

消化管アレルギーは新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症と好酸球性消化管疾患の2つに大きく分けられます。今回は、新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症のうち患者数が一番多い、代表的な病名である「食物蛋白誘発胃腸炎(≒消化管アレルギー)」について述べさせていただきます。

 消化管アレルギーは新生児や乳児で原因となる食物(卵など)を摂取してからしばらくして、嘔吐や血便、下痢などの症状がみられます。皆様がよくご存じの(即時型)食物アレルギーはじんましんや咳・ゼイゼイなどがみられますが、消化管アレルギーは嘔吐・下痢などの消化器症状のみでじんましんなどの症状がないのが特徴的です。

 

原因食物・発症時期は?

 2024年国立成育医療研究センターの研究結果で、消化管アレルギーの原因食物は鶏卵(58%)が最も多く、大豆(11%)、小麦(11%)、魚(6%)、牛乳(6%)、貝(4%)でした。鶏卵のうち94%が卵黄ということがわかりました。当院においても、原因食物では鶏卵の中で「卵黄」が非常に多い印象があります。また発症月齢は、牛乳が生後1ヶ月と最も早く発症し、続いて大豆6ヶ月・鶏卵7ヶ月・小麦8ヶ月でした。発症が遅くみられるものとして、魚36ヶ月・貝48ヶ月があります。別のデーターでは、初回摂取で症状がでる場合は頻度として少なく、複数回から発症する場合が多いと報告されています。私の経験でも初回発症でなく、3~4回目摂取して発症する場合が多いです。

 

診断、治療は?

 国際的な診断基準があり、「主要基準」を満たした上で、「副基準」のうち3つ以上を満たした場合に診断されます。「主要基準」とは原因食物を摂取後1〜4時間後に嘔吐があり、(即時型)食物アレルギーで認められるような皮膚・呼吸器症状がないことです。「副基準」とは➀同じ食物を摂取した際に、繰り返す嘔吐が2回以上ある ②2つ以上の異なる食物に対して、摂取後1〜4時間後に繰り返す嘔吐がある ③極度の活力の低下 ➃血の気が引き青ざめる(蒼白) ⑤緊急受診の必要がある ⑥輸液をする必要がある ⑦食物摂取後24時間以内の下痢(通常5〜10時間後) ⑧血圧低下 ⑨低体温のうち3つ以上満たした場合に該当します。よくある例は、卵黄を食べ始めて数回試した時に、3時間前後に嘔吐を認め、そのエピソードを2~3回繰り返すことが診断のめやすになると考えられています。疑うことがこの病気の発見につながります。

 治療は原因食物を除去をすることで、嘔吐などの症状はなくなります。その後、原因食物を解除する段階を考える必要があります。幸い、消化管アレルギーは予後良好と言われており、1~2歳で食べられる場合が多く、食物負荷テスト(医師の指示のもと少量から食べる)を病院で行い、症状がなければ除去解除でき完治できます。

 

参考文献

日本小児アレルギー学会. 食物アレルギー診療ガイドライン2012 協和企画

食物たんぱく誘発胃腸症(消化管アレルギー) 国立成育医療研究センターHP

https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/gastrointestinal_allergy.html

Hayashi D, Yoshida K, Akashi M, et al. Differences in Characteristics Between Patients Who Met or Partly Met the Diagnostic Criteria for Food Protein-Induced Enterocolitis Syndrome (FPIES). J Allergy Clin Immunol. 2024 Jul;12(7):1831-1839

 

 今夏は異常とも言えるほど、猛暑が続いています。来月になれば暑さも和らぐので、水分をしっかり取って、エアコンを上手に利用し熱中症に気をつけてください。2学期が始まり運動会の練習も加わると、頭痛・腹痛・だるさなどの体調不良を訴えるお子さんには、学校での困り感がないか聞き、調整をしていただけるとありがたいです。

うちのクリニック隣にあるげんき夢こども園では保護者がわが子と一緒に1日園の見学をする保護者参観があります。その参観の中で、保育士と保護者らで情報交換会があり、そこに参加したある父からの話をお伝えします。園では子どもたちに防煙教育の一環で年長児に対し、たばこの害について説明をしたところ、子どもが父に「たばこには害があるので、パパやめた方がいいよ。」と真顔で言われたことが父の胸に響き、禁煙を決意したそうです。子どもたちへの教育の大切さを感じました。

わが家のブームと言えば、今まで見たことがなかったNHK朝ドラ「あんぱん」を毎晩、見ていることです。「アンパンマン」を生み出したやなせたかしと暢の夫婦の生き様を描いていて、戦中、戦後の荒波を乗り越えていく物語自体、感嘆させられます。テレビをゆっくりと見れるようになったのも、娘が中学生になり、子育てが以前より楽できるようになった証と感じました。

7月の連休に行われた「第35回全国病児保育研究大会in愛知」に、うちのスタッフと一緒に参加してきました。全国各地で精力的に行われている病児保育のスタッフからいろいろなことを学び、親睦を深めてきましたので、皆様にご報告いたします。

 

病児保育とは

病児保育は一般的に保育園や幼稚園に通っている子どもが病気にかかり、集団保育が不可能な場合に、その子どもを預かることを言いますが、正式には全国病児保育協議会により「病児保育とは、単に子どもが病気のときに保護者に代わって子どもの世話をすることを意味しているだけでなく、病気にかかっている子どもに、子どもにとって最も重要な発達のニーズを満たしてあげるために、 専門家集団(保育士・看護師・医師・栄養士等)によって保育と看護を行い、 子どもの健康と幸福を守るためにあらゆる世話をすることである」と定義されています。子どもが病気にかかると親は不安になります。その際経験豊富な専門家が全面的にサポートします。ご安心ください。

 

病児保育に携わって

15年前からうちの病児保育室をクリニックとこども園と一緒に運営しております。保育士・看護師が連携しながら保育を行い、栄養士が個別に対応しながら、小児科医である私も関わり対応しています。現在の利用人数は1日3~4人程度で病気別に部屋を分けて対応しています。利用時、場所や人に慣れないで泣いていた子どもも保育士に慣れ、楽しそうに遊んでいます。利用されたご両親から感謝の言葉を聞くと存在意義を感じます。保育士1名に対して子どもが2,3人と少数のため、利用しているお子さんの満足度は非常に高く、普段通っている園よりも病児保育室に行きたがるお子さんもいます。お子さんの急な病気で仕事を休みにくい場合は病児保育の利用を検討してみてください。

 

広域化シンポジウムを実施

 病児保育は市町村の事業であるため、住所地にある病児保育室しか利用できません。県内どこでも利用できる広域化は利用者の声を私たち県内の施設長らで知事への要望書を提出したことがきっかけでした。2018年、県主導で山梨県内の病児保育施設はどこでも利用できるようになり、これが全国初のことでありました。現在は山梨県も含めて5都道府県にまで広域化が広がっています。

全国病児保育協議会から他の都道府県にも広げて欲しいと声がかかり、私が広域化を広げるプロジェクトリーダーに選ばれ、今回の病児保育研究大会で広域化のシンポジウムを初めて開くことになりました。このシンポジウムでは、広域化が進んでいる福岡県・大分県・鳥取県・愛知県の関係者からの話、広域化できていない地域の利用者から広域化を強く願う訴えもあり、大変有意義な会となりました。このシンポジウムの参加者も多く、関心の高さに驚かされました。  

山梨県で広域化が達成できたのも県と各市町村のおかげであると感謝しております。さらに、2024年10月から利用料の1000円補助が始めり、山梨県の病児保育は他の都道府県と比べ物にならないほど利用しやすいものとなっています。

 

病児保育へのご理解を!

病気のときぐらいは親(特に母親)がみるべきと考えている社会の風潮はまだ残っていると思います。こうした風潮を変えていかないと、子育てしやすい世の中にならないと思います。子どもは急に熱を出し、園や学校に行けなくなると、親は仕事をどうするか困ってしまいます。職場の雰囲気が気軽に休めるようであれば、よいのですが、そういった職場はまだ少ないのが現状です。困ったら病児保育の利用を検討してください。

 暑いですね。夏休みは子どもたちと一緒にいる時間を楽しみましょう。学校に通っていたお子さんたちは長い休みを利用し、心も体もリフレッシュしてくださいね。長い休み明けは、慣れない学校生活に不調を訴えるお子さんがいます。 ゆっくりと順応できるように丁寧に関わっていただきたいです。

6/13公開された映画「フロントライン」を妻と一緒に観てきました。この映画は新型コロナウイルス感染症が国内初の感染者が発表されて1か月もしない2020年2月、大型クルーズ船で新型コロナウイルスの集団感染が起き、災害専門医療組織DMATが未知のウイルス(新型コロナウイルス)に立ち向かう奮闘を描いた実話に基づいた作品です。自分のコロナ禍での診療などを思い出しながら、コロナ禍の初期で情報があまりない中、悪戦苦闘しながらも人命を一番に考え行動するDMATの姿に感動を覚えました。自分自身も医療人として「患者さんのために」これからも働いていこうと励まされました。

 先月、うちのクリニック併設のげんき夢こども園主催で、山梨県子どものこころサポートプラザセンター長である相原正男先生による「子どもが未来に向かうための力とは」という講演会が開催され、園医として一緒に聴講させていただきました。アタッチメント、非認知能力、しなやかな(折れない)こころなどについて、脳科学の研究者の知見も踏まえて、わかりやすく話をしていただきました。

今月はこの講演会でも強調されていた「非認知能力」についてお話します。

 

非認知能力って?

 認知能力は数がわかる・字が書けるなど学力、IQといったテストなどで測れる能力を言い、非認知能力は「目標に向かってがんばる力」「人とうまく関わる力」「感情をコントロールする力」といったIQなどで測れることのできない内面の能力を言います。

 

ペリー就学前プロジェクト

 「非認知能力」が重要視されるきっかけとなったのは、2000年ノーベル経済学受賞者のジェームズ・J・ヘックマンらの研究です。経済的に恵まれない3~4歳のアフリカ系アメリカ人の子どもたちを対象に、毎日平日の午前中は学校で教育を施し、週に1度午後に先生が家庭訪問をして指導に2年間行いました。別のグループの就学前教育を受けなかった同じような経済的境遇にある子どもたちと比較検討し、約40年間、追跡調査が行われました。その2グループを比較したところ、40歳になった時点で就学前の教育の介入を受けたグループでは、介入なしのグループと比べて、高校卒業率・持ち家率・平均所得が高く、婚外子を持つ比率・生活保護受給率・逮捕者率が低いという結果が出ました。就学前の保育の重要性、幼少期に非認知能力を身につけておくことが、大人になってからの幸せや経済的な安定につながっていると考えられました。

この研究結果から2015年OECD(経済協力開発機構)がその重要性を指摘、日本でも文科省が「非認知能力」育成の重要性を伝えています。

 

非認知能力を伸ばすには

 NHKエデュケーショナルすくコムの番組が、幼児期に認知能力を高めることがその後の人生の成功や安定につながっているのかについて調べています。その結果、認知能力とあまり関係がないこと、非認知能力は子ども主体の遊びで育つこと、遊びこむ中でやる気・意欲・粘り強さ・探求していく力が身につくこと、うまくいかないときに諦めず「どうしてかな」「こうやってみよう」「これがだめなら、ああやってみよう」と目標達成まで頑張る姿勢を身につけることや、子どもが遊んでいるときに失敗しかけたら「こうしたらどう?」とフォローしてあげると、頑張りが続き「頑張ればできる」と理解することなどを経験し積み重ねていくことで、非認知能力が伸びていくと述べていました。

うちの子どもたちも小さい頃に、公園などで遊んだり、兄弟げんかをしたり、親と触れ合いながら、非認知能力を高めていたのだと思い起こしました。子育てにおいて、どうしても認知能力に目を奪われがちですが、幼少期の非認知能力を伸ばすことが学童期以降の土台になってきます。

昨今AI(人工知能)が私たち生活に身近になっています。さらなるAIの進歩で将来は多くの仕事がなくなる可能性があると言われています。これからの時代はAIとの差別化を考慮すると、更に「非認知能力」の重要性が高まってくるのではないかと感じています。

 

参考文献

ヘックマン,J,J.(2015)「幼児教育の経済学」東洋経済新報社

中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 ―第2回会議までの主な意見等の整理―

https://www.mext.go.jp/content/20210901-mxt_youji-000017746_2.pdf

NHKエデュケーショナルすくコム 世界で注目される非認知能力って?2017/6/24放送

 

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