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院長コラム

R8年9月号(Vol.256)最新のアレルギー事情

2026/09/01(更新日)

 7月28日には熊本地震、8月13日には千葉豪雨があり、災害を身近に感じる夏となりました。備蓄や豪雨の際の対応など考える機会となったと思います。亡くなった方々のご冥福をお祈りすると共に、被災地の一日も早い復興を願うばかりです。

 7月19・20日に全国病児保育研究大会in青森があり、職員8名と共に参加してきました。全国から病児保育施設で働く保育士・看護師・医師等ら総勢800人を超える参加があり、情報交流とともに質の向上へ研鑽を積みました。私が主催した広域利用セミナーというシンポジウムの「利用者の声」で、病児保育室を利用している母親の話を紹介したいと思います。

「病児保育室があるからこそ、仕事と子育ての両立ができています。子どもが3人いることから昨年は年間25日利用させてもらって有休を使い切らずに済みました。自分の住んでいる町には病児保育室がなく、隣接した八戸市の病児保育室を広域連携によって利用できています。子どもを病児保育室に預けて仕事を続けていいのかなあという気持ちになることもありますが、利用した子どもが『今日は楽しかった!』『また、行きたい!』と言うので手厚い保育をしてもらっていることに感謝しながら利用しています」という話を聞き、改めて病児保育室の必要性を感じました。私事ですが、2年後に会頭として、この大会を山梨で行うことが決定しました。県内で病児保育に関心のある方々にはぜひ参加していただきたいと思っています。

 今月はこの大会で北沢博先生(東北医科薬科大学医学部小児科講師)から「保育施設における小児アレルギー疾患の対応」のテーマで話された最新のアレルギーについてのダイジェストをお伝えします。

 

喘息の対応法

 喘息は治療薬の進歩もあり、2017年以降国内で死亡するケースがなくなりました。喘息は以前と違い死ぬことのない病気となったので、ご両親の受け取り方として、軽い病気?と考えがちになっています。そのため発作があっても受診をせずに、発作を理由に体育を休めばいいと安易に考えることもあるようです。喘息の治療目標はまず、スポーツも含めて日常生活が普通にできるように治療をしっかり続けることが大切です。そのために吸入ステロイド薬を中心として治療を続けていくことが大事です。

 

蕁麻疹(じんましん)について

 何らかの刺激により体内でヒスタミンが分泌されて、皮膚の血管が拡張し赤く腫れる膨疹ができ、かゆみを生じるのが蕁麻疹です。蕁麻疹の原因は食物・薬・運動・汗・感染等が原因のこともありますが、特発性蕁麻疹と言う原因がわからないタイプが一番多いのが現状です。初めて食べたものを摂取後1時間以内に蕁麻疹がでた場合は、食物が原因の可能性があります。治療は抗ヒスタミン薬の内服が一番よく効きます。保冷剤などで冷やすことも有効です。

 

食物アレルギーについて

 食物アレルギーの典型的なケースは卵・牛乳などを食べて2時間以内に蕁麻疹・ゼイゼイ等が出現する「即時型」がもっとも多いです。一方で最近目立つのは卵・大豆・小麦などを食べて2~3時間後嘔吐が出現する「消化管アレルギー」です。1度嘔吐しただけでは胃腸炎の可能性もあり、消化管アレルギーと決めつけるのは難しさがあります。

 原因食物については、卵・牛乳・小麦が多いのですが、最近は木の実類(特にクルミ)の増加が多くなっており、クルミなどの木の実類には気をつけていただきたいです。

また、乳児期に湿疹があると食物アレルギーを発症するリスクが4~6倍高くなる研究結果があります。湿疹があると、食物が皮膚から侵入してアレルギーを起こしやすくなるのではないかと言われており、軟膏などで湿疹を積極的に治していくことが勧められています。

診断は「血液検査陽性=食べられない」ことではありません。食べられる場合もあるので、病院で行う食物負荷試験をすることで判断できます。安易に自分で決めつけない方が得策です。私自身もよく経験するのが、血液検査が陽性だったので、今まで食べていたものを除去したり、口の周りが赤くなったことで、自己判断で除去を始めるケースがあります。迷う場合はアレルギー専門医による診断をしっかりと受けることをお勧めします。

 

『ネフィー』知ってますか?

 食物アレルギーなどでアナフィラキシー症状がでた場合に使用する自己注射「エピペン」と同じ成分であるアドレナリンが入っている薬『ネフィー』が新登場しました。このネフィーは2026年2月から点鼻タイプ(鼻にスプレー)の薬です。エピペンは太ももの外側に注射、ネフィーは鼻の中にスプレーする違いです。ネフィーは鼻にスプレーするだけなのでエピペンより恐怖心は和らぎます。今年4月から教職員・保育士も使用できるという国からの通知が出ました。対象児がいる場合には、かかりつけ医に相談するように伝えていただけたら幸いです。

 

参考文献

アレルギーポータル https://allergyportal.jp/

食物アレルギー診療ガイドライン2021

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