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院長コラム

令和4年9月号(Vol.208)
お子さんの弱視を見逃さないで

2022/09/01(更新日)

 3年ぶりの行動制限のない夏休み、いかがでしたか?

帰省や、海・山へ行き貴重な思い出ができたのではないかと思います。私は県外にいる4人の息子たちと会い、久しぶりに家族全員7人で会うことができました。社会人や大学生の息子たちの話を聞き、我が子の成長を感じ感慨深いものがありました。成長している子どもたちとは正反対に、年を重ねた50歳過ぎの私は最近、無意識に眼鏡を頭の上に掛けて近くをみるようになっていました。先日眼鏡を帽子の上に引っ掛けたことを知らずに、「眼鏡がない、眼鏡がない」と妻に伝えたところ、急に妻が大笑いし、自分のかぶっていた帽子に眼鏡が引っ掛かっていたことを指摘されました。続いて私も大笑い、老夫婦の珍事でした。

 7月中旬、千葉県にて全国病児保育協議会の研究大会が開催されました。夜尿の講演を聞いていたところ興味深い話を聞きました。様々な動物の排尿についての話の中で、ゾウの排尿時間はどのくらいかと質問がありました。答えは21秒だそうです。2015年、米ジョージア工科大のチームの研究で「体重が3キロ以上の哺乳動物の排尿時間はすべて約21秒である」ということを明らかにしたそうです。犬や猫からゾウやシロクマもヒトも平均21秒で排尿するそうです。動物園に行く機会がありましたら、ぜひ排尿時間を測定してみてください。

 1991年から3歳児健診に視覚検査が導入され、全国の自治体で視力検査が始まりました。しかし多くの弱視が見逃されてきた現状があり、近年、簡便な屈折検査機器が登場したことがきっかけで、2021年7月日本眼科医会から「3歳児健診における視覚検査マニュアル」が策定されました。子どもの弱視の発見のために屈折検査機器を積極的に導入することが期待されています。今月は子どもの弱視についてお話します。

 

子どもの視力

 子どもの視力は出生直後には目の前のものが動くのがわかる程度しかなく、眼球や脳の発達に伴い急速に発達します。視力は生後3か月では0.05、1歳では0.2、2歳で0.4、6歳には1.0程度に到達します。また、子どもの視力は3歳までに急速に発達し、6歳から8歳頃には完成します。

 

弱視とは

 子どもの弱視は50人に1人あると言われ、医学的には「視力の発達が障がいされておきた低視力」と言われています。つまり、弱視とは乳幼児期に何らかの障がいがあり正常な視力の成長が止まってしまい、眼鏡をかけても十分に視力が得られないことです。

 視力の成長は、他の成長と同じく成長期があり、8歳を過ぎてしまうと治療に反応しにくくなります。早期に治療を開始するほど、治療に反応して視力が改善していきます。

 治療の目標は眼鏡をかけて1.0の視力が得られることです。ピントがあっている状態で視力が出ることが重要で、裸眼視力がいくら悪くても、眼にあった眼鏡をかけた状態で1.0の視力があれば弱視ではありません。

 

3歳児健診の前に視力検査をしっかり!

 3歳児健診に行く前に、1次検査である視力検査とアンケート(問診)をご家庭で行ってください。視力検査は「Ⅽ」の形をしたランドル環を使って片方ずつ行うようにと書かれています。子どもは見えにくくても、自分から「見えにくい」とは言いません。片目ずつしっかり検査をしないと「片目のみえにくさ」はわかりません。うまくできないときは何回か練習をすることでできるようになります。実施年齢としては実施可能率が3歳0か月児73.3%、3歳6か月児95.0%という結果があるので、3歳になってすぐに行うのが難しければ、3歳半頃に行うとよいでしょう。それでも難しい場合は、健診会場で相談をしてください。

アンケート(問診)は、「目つきや目の動きがおかしい」「黒目が内側に寄る、外、上、ななめ上にずれる」「ひどくまぶしがる」などの項目があり、弱視だけではなく眼の病気がないかを確認しています。必ずチェックして健診会場に持参しましょう。

 

3歳児健診に屈折検査機器導入始まる

 近年、全国的に屈折検査機器が導入され始め、3歳児健診で行われる自治体が増えています。県内においてもいくつかの自治体で導入されています。この機器の導入により今まで見逃されてきた弱視の発見が高まることが期待されています。検査結果は診断ではなく、スクリーニングのためであるため、異常判定が出た場合は眼科を受診してください。また、3歳未満での精度が確立していないため、3歳以降での検査がお勧めです。自治体で導入されていない場合は医療機関で導入されている場合もあるので1度検査を実施することをお勧めします。ちなみに当院でも機器を導入して検査を行っています。

弱視は早めに発見し治療につなげることが大変大切です。

 

参考文献

「3歳児健診における視覚検査マニュアル」日本眼科医会

日本弱視斜視学会ホームページ

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