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院長コラム

令和2年11月号(Vol.186)
オンライン交流を経験して

2020/11/01(更新日)

 夏が終わったと思った途端に秋らしい日々が巡って来ました。コロナ禍における日々の診療の中で、風邪や胃腸炎のみならず、頭痛・腹痛・だるさなどの不定愁訴で受診してくるお子さんが増えています。マスク・消毒・手洗い・距離を保つといった子どもたちの新生活様式への負担等が原因として考えられます。お子さんが調子の悪さを訴えた場合、少し立ち止まって、家や園・学校での困りごとを聞くことでヒントが隠されています。しかし、原因がわかないこともありますので、その時はいつもより優しく対応しながら体を休ませて、それでも改善がみられなければ園・学校を休ませて一息つくことで改善する場合があります。不定愁訴の診察では親子の話に耳を傾けて、子どもの気持ちに寄り添うことを心がけています。

 半年以上にも及んでいるコロナ禍での生活で、家に閉じこもりがちになっていると思います。私も以前までと違い、家にいることが多くなりました。家族との触れあう時間が増えた一方で、家族以外と触れ合う時間が極端に減ってしまいました。それを補う工夫として、ネットを利用して家にいながら交流をするようになりました。今までのように学会や会議へ出向くことがなくなり、オンラインで行うようになり生活が一変しています。今月は、オンラインを上手に活用しながら経験した出来事を基にお話ししたいと思います。

 

県立大学でのオンライン授業

 昨冬に県立大学での授業の依頼を受け、コロナの影響で対面ではなくオンラインで行うように言われました。学生向けに授業をするのも久しぶりなのに、さらにオンライン授業で行わなければならず、困ってしまいました。オンライン授業の操作方法も未経験であり1人でやれる自信もなかったため、助けを求めることができる大学の教室で授業をしました。出欠の確認・グループワーク・生徒の意見を聞くことなど全て、自分で操作をしながら行いました。授業で話をすることも加わり、対面の時以上の緊張を強いられました。広い教室で私1人がパソコンに向かって話をしましたが、学生さんがどう思って聞いているのかわからず、不安でした。途中で「退出」ボタンを間違って押して授業が中断したといったハプニングもありました。ハプニングを救ってくれたのは学生さんでした。助けてくれてありがとう!

 

初のテレキャンプ参加

 「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という難病は、麻しん(はしか)に感染してから数年の潜伏期間の後に発病し、発病後は数か月から数年の経過で神経症状が進行します。SSPEの家族の会が主催し、北杜市白州のあおぞら共和国で開催されるサマーキャンプに4年前から参加してきました。今年はコロナ禍のため、初めてオンラインを使ったテレキャンプが行われました。北は宮城県から南は沖縄県まで、これまで移動が難しく北杜市まで来ることができなかった方々の参加があり、過去最高の参加者数となりました。患者さんは寝たきりであるため、今回のようなテレキャンプの方が参加しやすいという良い面もありました。事前に郵送された配布物を利用しながらの工作・ビンゴゲーム・家族懇談会など楽しみながら、「一人ではない」ことを確認し合えたキャンプとなりました。

 

医療的ケア児のご家族とオンライン交流会

 私のクリニックに隣接する子ども園にある子育て支援センターでは、親子が集う場だけでなく、様々な行事も行っています。医師による子育て講演会や体験教室等、コロナ禍で休止しているイベントもありますが、子育てが少しでも楽しめるような場の工夫をしているようです。中でも医療的ケア児の家族の懇談会は、3年前より年3回実施しています。医療的ケア児とは人工呼吸器や胃ろう等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な子どもたちのことを言います。今年はコロナ禍であるため、2回オンラインで開催してきました。運営者も参加者も慣れないオンライン交流会ですが、基礎疾患があるために感染症の影響を強く受ける家族にとっては、唯一の交流の場となったようです。参加者は主に母親でコロナ禍でのストレスをかかえながら、看護や兄弟の子育てに必死になっているという切実な話を聞き、共感して時に笑い時に涙しながら、リレートークしていきます。似た経験を持ち、同じ思いを共有できる同士だからこそ、互いに励まし合い次の交流会まで頑張ろうと話がまとまります。ここでも外出が難しい方にとってのオンライン交流の意味が理解できました。

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