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院長コラム

平成28年2月号(Vol.129)
「男性の育休休暇」について思う

2016/02/01(更新日)

暖冬が原因なのか、それとも3種から4種に変更されワクチンの効果が高いかはわかりませんが、例年と比較してインフルエンザの流行シーズンが遅れています。今シーズンは9年ぶりに年明けからの「流行入り」となりました。家族全員で手洗い・うがいを励行し予防しましょう。

先月、みなさんによいお知らせが2つあります。まず、重度心身障害児の窓口無料化が復活します。みなさんの署名を集め訴え続けていただいた「子どもの医療費窓口無料化を求める会」に感謝いたします。もう一つが県内の第2子以降の保育料が3歳まで無料となります。まだ市町村レベルでの調整が必要なようですが、山梨県における子育てしやすい環境が一つ一つ整っていると実感します。

昨年12月に自民党の宮崎謙介衆議院議員が同党で妻の金子恵美衆議院議員の出産で育児休暇の取得を表明し大騒動になっています。昨秋、発表された政府の基本方針の中に「あらゆる面で子育てに優しい社会へと改革を進める」と述べています。男性も育児休暇を気軽に取れないと女性が安心して出産もできず少子化が止まらないのではないかと思います。これをきっかけに男性の育児休暇取得率が上がることを切に願っています。今月は男性の育児休暇について私見も含めて述べます。

 

私も育休を取りました

 4年前、第5子出産時に3日間の育休を取りました。予定日10日を過ぎても生まれず、促進剤の使用に伴う妻の入院に合わせて出産前の3日間、クリニックを急遽休診にしました。予約の患者さんには断りの電話を入れ、快く了解していただき出産に集中することができました。その時に了解してくださった方、本当にありがとうございました。難産で第5子ながら初めての女児が誕生しました。女児が生まれた喜びとしっかりと育てる責任を感じました。出産に立ち会った経験は子育てのベースとなり、父親としての自覚が生まれ、子育てのスイッチが入るきっかけになります。そして、その後の子育てに効果的で、仕事を効率的に考え早く帰宅する思いを持つようになります。仕事は40年の長期間続きますが、立ち合い・育休は本当にわずかな期間にすぎません。

 

日本の男性育休取得率はほんのわずか

 男性育休取得率はアメリカが3割、スウェーデンが8割、日本は2.3%(2014年度)と非常に低い状況で、一方で日本女性の取得率は9割近くあります。欧米では家庭での役割を担っている男性社員ほど、労働者としての生産性も高いという調査結果がでており、育休の取得が進んでいます。日本では今までに文京区長、広島県知事、三重県知事が男性の育休取得をしています。日本生命保険相互会社は男性の育児取得率が100%を達成しました。期間は1週間程度で、休んで家事をしてみると、妻の苦労が具体的にわかり、早く家に帰ろうと思うようになったり、女性社員に対し共感性が高まったりと変化が生まれたそうです。この会社の育休取得はトップダウンでできました。育休が広がれば、パートナーシップや親子の絆が強化されると言われています。日本も首長や社長さんが男性に育休を強制していかないと広がらないと思います。育休を取らないと損をする政策を立案してほしいです。今回の男性衆議院議員の育休宣言はたいへん勇気のある行動で賞賛したいです。まず政治家や公務員がお手本になって取得率を自ら上げる努力をするべきです。女性の社会進出を促しておきながら、出産前後は女性にすべて押し付けるのはたいへんです。出産だけでなく仕事も子育ても夫婦が協働して行うとうまくいきます。

 

イクボスが普及のカギ

 イクボスとは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のことを言います。イクボスは部下から育休を相談されたら、「育休?男は仕事だろう?おまえは何を考えている?」ではなく「育休?心配しないでいいぞ。俺の仕事は君たちが働きやすい環境をつくることだから」、部下に子どもができたら「おめでとう!俺も経験したけど、奥さんが大変だから家庭を優先しろよ。」と言える方です。これからの会社は、子育てだけでなく介護の問題も出て、社員の多様な働き方に対応できないと優秀な人材が確保できなくなります。

育休取得を悩んでいる人は勇気を持って上司に相談をし、短期間でも経験してください。経験したあなたはいいパパになっています。私もそうでした。そしていつの日か部下が育休取得したいと申し出てきた時、「自分がフォローするから安心しろ!」と声をかけて欲しいと願っています。

 

参考文献

NPO法人ファザーリング・ジャパン ホームページhttp://fathering.jp/

できるリーダーはなぜメールが短いのか 青春出版社 安藤哲也

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