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院長コラム

平成24年6月号(Vol.86)
じんましんを知ろう!

2012/06/01(更新日)

とても過ごしやすい季節になっていてきましたね。

小さなお子さんを持つ保護者は、最近報道で取り上げられているポリオワクチンのことが気になっていると思います。やっと、認可の不活化ポリオワクチンが今秋に始まることに決まりました。さらに来年度から子宮頸がん・ヒブ・肺炎球菌が定期接種化(公費負担)となるそうです。水痘・おたふく・B型肝炎ワクチンも一日でも早く定期接種化していただきたいと強く思います。

今月は身近な病気である「じんましん」について取り上げます。皮膚科が中心でみる病気ですが、小児科でも診る機会が多い病気です。昨年、日本皮膚科学会から出された「じんましん診療ガイドライン」を基にお話します。

 

じんましんとは 

じんましんは皮膚の一部に突然蚊に刺されたような赤いふくらみがでてきて、かゆみを伴うことが多い病気です。多くの場合、数時間程度でおさまります。赤くふくらむ場所は大きさが様々で、いろいろな場所に出たり消えたりします。数日同じ場所に赤みが出続ける場合は、じんましんではなく他の病気が考えられます。1ヶ月以内でおさまる場合を「急性じんましん」、1ヶ月以上続く場合を「慢性じんましん」と言います。じんましんはアレルギーの病気の一部であり、花粉症・ぜんそく・アトピー性皮膚炎などがある方はかかりやすいと言われています。ガイドラインではじんましんの種類を、「特発性」「刺激誘発型」「血管性浮腫」「じんましん関連疾患」の4つに分けています。今回はじんましんに多くみられる、原因がはっきりしない「特発性のじんましん」と食物・薬・日光・寒冷・機械的刺激・運動・汗などが原因で出る「刺激誘発型のじんましん」の2つを取り上げます。

 

一番多いタイプ~特発性のじんましん~

 一番多いタイプは、原因がはっきりせず毎日のように繰り返し症状がでる「特発性のじんましん」です。疲れや感染もきっかけになることもありますが、特に原因もなく出ます。経過が長くなると、何が原因なのかと心配になってきます。慢性じんましんの原因を調べた29の論文を分析したところ、原因がわかったケースが6462人中105人、1.6%でほとんど原因がはっきりしませんでした。特発性のじんましんの場合、原因を調べてもわからないことが多く、特別な検査は必要ありません。

 

治療の中心は、原因があれば除去+抗ヒスタミン剤

 治療の基本は、原因があれば除去をすることと抗ヒスタミン剤を飲むことです。ガイドラインでは、症状が消えてすぐにやめると再発するため、「急性じんましん」では数日から1週間、「慢性じんましん」では1~2ヶ月症状が治まった後も飲み続けるように書かれています。抗ヒスタミン剤は花粉症・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎でも広く使われている薬です。副作用として眠気がでたりしますが、長く飲むことでの薬の蓄積はなく、数ヶ月~数年飲んでも問題ありません。

また「刺激誘発型のじんましん」では、原因となる食品・薬は飲まない、疲れやお酒を飲むと出る場合は体を休める、皮膚がこすれ出る場合は締め付けない服にする、特殊な例として特定の食品を食べ運動して出る場合は、食後の運動を避けるなどの工夫が大切です。

もう少し知りたい場合は、「じんましんってどんな病気?」(http://www2.jaanet.org/guideline/06_jinma/data/02_jinma-k.pdf)にわかりやすく書いてありますので参考にしてください。

 

インフルエンザとおたふくかぜの出席停止期間が変更

今年4月、文部科学省からインフルエンザとおたふくの出席停止期間が見直されました。抗インフルエンザ薬の登場で以前より熱が早く下がり、早めに登校し感染が拡大することが問題となっていました。

そのため、インフルエンザは、従来の「解熱後2日」から「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」に、おたふくかぜは「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」に変更となりました。

 

参考文献

日本皮膚科学会蕁麻疹ガイドライン 日皮会誌121(7):1339-1388フォームの始まり

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