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院長コラム

平成27年9月号(Vol.124)
続 ワクチンの効果は絶大!

2015/09/01(更新日)

 先月は猛暑日が続き、体調をくずした方も多かったのではないでしょうか。猛暑が続いていた夜、小児夜間救急の診察中、バスケットボールの練習していた小学生が数人次々に倒れ、受診に来ました。頭痛・吐き気の症状があり、熱中症と判断、幸い軽症で済みました。まだ9月に入っても暑い日があると思いますので、くれぐれも体調管理には気を付けてください。

今年も我が家の夏休みの恒例行事となった市川の花火大会に行ってきました。大小、様々な形の花火でハートやかえるの顔の形までみられ、本当に見事でした。今年は加えて、初めて第26回清里フィールドバレエを観てきました。芸術にあまり触れる機会がない私ですが、多くのバレリーナの演技に圧倒され、屋外に設置された幻想的な舞台を楽しみました。

今月も先月に引き続き、ワクチンの話をします。

 

ヒブワクチンで髄膜炎が激減!

 ヒブワクチン導入前、細菌性髄膜炎の原因菌は半分がヒブ(インフルエンザ菌b型)でした。国内10都道府県の調査では導入前全国で年間約600人いた髄膜炎が、導入3年後罹患率が半分に減少、2013年には減少率が98%とヒブによる髄膜炎がほとんどいなくなりました。ヒブワクチンの効果は非常に高いものがあります。

 

肺炎球菌ワクチンも効果大!

 肺炎球菌ワクチン導入前、細菌性髄膜炎の原因菌は約25%が肺炎球菌でした。導入前と比べると、ヒブワクチンまでの効果はありませんでしたが、導入後髄膜炎の減少率は70%と罹患率を大きく減らすことができました。肺炎球菌は血清型というタイプがいくつもあり、すべての型に対応できておらず、導入時は頻度の多い血清型の7種類、現在は13種類に増え、より効果的になっています。

 

子宮頸がんワクチン2年間ストップ

 2年前、子宮頸がんワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後みられたことから、現在厚生労働省から「積極的にはお勧めしていない」という状態になっています。子宮頸がんは、乳がんに次いで若い女性に2番目に多くかかるがんで、今でも年間9,000人がかかり、2,700人が亡くなっています。早めに発見することが大切です。20歳になったら必ず2年に1度の子宮頸がん検診を受けてください。

 

日本脳炎ワクチン

 8年前、マウス脳による製法で作られた日本脳炎ワクチンが重症の急性散在性脳脊髄炎の健康被害と関係があったため、一時中止となりました。5年前から組織培養による製法で作られた日本脳炎ワクチンに改良されたおかげで、現在、重い副反応の報告はありません。一時中止となった期間が3年間あった影響もあり、平成7~18年度に生まれた方は接種が不十分になっています。日本脳炎という病気は今でもあり、蚊を介して感染します。後遺症を残したり亡くなることもあります。計4回接種をお勧めしています。

他のワクチンでは、生のポリオワクチンは副反応でまれにポリオを発症することが問題になっていましたが、3年前不活化ポリオワクチンに変更されました。現在は不活化ポリオワクチンを3種混合ワクチンに加えた4種混合ワクチンを使用しています。世界的には5種、6種ワクチンが登場しており、日本でも早く使えるとお子さんの負担軽減につながります。10年前と比べてワクチンの数が大幅に増え、その効果が大きく、病気が減り、重症化も防げています。

 

平和の尊さ

今年は戦後70周年の節目の年となりました。私の父は昭和10年生まれ、満州で生まれ、10歳で終戦を迎えました。父の母は戦時中病死、継母によって育てられたそうです。安保法案の審議を聞いていると説得力のある説明ができていないように感じます。戦争に行くのは子どもたちです。同じ過ちをしないためにもこの法案の推移には強く関心を持っていく必要があると考えています。70年前、多くの人が戦争で亡くなりました。多くの悲劇がありました。戦争をしていいことは一つもありません。多くの犠牲者の上に今の平和があります。平和を維持することが戦争を回避する一番の手段ではないでしょうか?残念ながら学校ではあまり現代史を教えてくれません。平和や戦争については親が子に伝える必要があると思います。

 

参考文献 

国立感染症研究所 感染症疫学センター

     厚生労働省ホームページ

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