小児科医から最新の医療情報と県内の子どもにまつわる情報をお伝えしております。
この内容は、県内子育て情報誌「ちびっこぷれす」の「午後10時、クリニックにて…〜おほしさまの先生からの子育て応援”談”!〜」に掲載されています。
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花粉症が終わり、桜が散り、ハナミズキが咲きほこる清々しい季節となりました。新年度を迎え新しい生活には慣れてきましたか?焦らずゆっくりと調整しましょう。先月、今年の目標だった南アルプス桃源郷マラソン大会に出場しました。40歳台10kmの部、タイムは51分59秒。楽しく走ろうと思ったのですが、なぜか真剣に走ってしまいました。50分が切れるようにまた挑戦したいと思います。天候もよかったので体にとてもいい1日となりました。
今月は、ここ最近、マスコミでも取り上げられている「風しん」についてお話します。
風しんとは2~3週間の潜伏期間を経て、発熱・発しん・リンパ節腫脹などの症状が見られる病気です。原因は風しんウイルスです。咳やくしゃみなどにより他人に感染します。別名「三日はしか」とも呼ばれています。治療薬はなく、子どもは比較的に症状が軽いのですが、脳炎などの合併症が2,000~5,000人に1人の割合で起こります。大人がかかると、発熱や発疹の期間が子どもよりも長く、関節痛がひどくなります。
昨夏から風しんの流行がみられ、全国調査では今年2月20日時点で、昨年同時期と比較し約20倍の患者数が出ています。今年3月末時点で、すでに昨年の報告数2,353人を上回っています。これまでにない患者数の増加がみられており、県内では昨年11人風しんにかかっています。患者さんの多くが、定期予防接種がなされなかった世代である20~40歳代の男性でした。昨年の厚生労働省の調査によると30~40歳代の男性の2割弱は風しんの抗体がありません。風しんは春から初夏にかけて流行するのでこれからさらに患者数の増加が予想されます。風しんの患者数が多くなると「先天性風しん症候群」にかかるお子さんが増えて問題になります。
妊娠初期(とくに12週まで)の妊婦さんが風疹にかかると、胎児が難聴や心疾患、白内障、精神や身体の発達の遅れなどの症状をもつ「先天性風疹症候群」という病気にかかる可能性があります。昨年は全国で5人、今年は1人がこの病気にかかってしまいました。
風しんを予防するには予防接種しかありません。妊娠している場合は接種できないため、妊婦さんへの感染を防ぐため、妊婦の夫、子どもやその家族の方で予防接種をしていない場合は接種してください。妊婦さんは妊娠すると風しん抗体を調べ、抗体の値が低い場合は出産後接種をするように言われます。接種した場合は2ヶ月の避妊が必要になります。県内ではまだ実施していませんが、流行を防ぐために東京都や一部の市町村ではワクチンの半額助成を行い、予防接種をしやすくしています。
現在、風しん流行のため風しんワクチンが足りなくなっており、十分な量が供給されていません。ご希望の方は麻しん風しん混合ワクチンを接種することをお勧めします。大人の方の多くは麻しんワクチンを1回しか接種していないので麻しんの免疫をつけることにもなりますので、風しん単独のワクチンより混合ワクチンがよりよいと思われます。また、ワクチンをしたかはっきりしない場合は抗体の検査でわかりますが、費用もかかるため、抗体検査せず接種することをお勧めします。接種回数は子どもの頃の回数も含めて2回です。詳細はかかりつけ医に相談してください。
笛吹市では4月からロタウイルス・水ぼうそう・おたふくかぜの3ワクチンが公費助成となりました。公費助成は全額ではありませんが、個人負担が軽減されます。県内初でとてもうれしいニュースです。笛吹市在住の方はぜひ助成を活用して積極的に接種してください。合わせて他の市町村にも助成が広がっていくことを期待したいと思います。今年4月から予防接種法が一部改正され、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン・子宮頸がんワクチンの3つが定期接種に加わりました。まだ任意のワクチンが残っています。早く定期接種化(=無料)して欲しいものです。
国立感染症研究所ホームページ 風疹
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ha/rubella/392-encyclopedia/429-crs-intro.html