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院長コラム

令和8年2月号(Vol.249)子どもの性被害を考えよう!前編

2026/02/01(更新日)

 年末年始は家族・親戚・友人とゆっくりと過ごした方も多いと思います。うちの家族7人はすでに4人が家から離れて県外で生活をしているため、日頃、家族全員で会う機会はなく、1年ぶりに年末年始に全員揃って会うことができました。家族でしか言えない突っ込んだ話をしたり、年越しでは私たち夫婦は早々就寝するも、兄弟5人で深夜遅くまでボードゲームに興じながらバカ騒ぎをしていたようで、家族の絆を確認することができました。

 最近、私のクリニックでは父親が診察室に来られることが以前より多くなったように感じています。私が父親に「今日、お仕事は?」と聞くと、以前までは「ちょうど仕事が休みの日です」という感じでしたが、「育休中です」と言われることが多くなり、育休を取得できる職場が多くなっていると実感しています。育休の経験をした父親は、育休後も母親・家族に対して協力的になってくると思います。中には「仕事よりも家事の方が好きです」といった感想を聞くこともあり、子育ての環境も少しずつ変化していますが、まだまだ世の父親は育休をしっかりと取れていないのが現状です。人生100年の時代で、子育ては期間限定です。仕事はずっとできますので、子どもが生まれたら、車に例えると仕事のギアーを「D(ドライブ)」から「2(セカンド)」に落として、子育てを楽しんではいかがでしょうか。

 最近、中学生・高校生の時、実父から性的暴行を受けていた娘の告白・塾講師の盗撮・児童へのわいせつな行為した保育士など、子どもへの性暴力事件についての報道を見聞きすることが頻繁にあります。私自身、子どもから性被害を打ち明けられた経験はありませんが、数年前、母親から一緒に住んでいる義父に体を触られて困っていることを相談されたことがありました。今月は「子どもの性被害」について考えていきたいと思います。

 

性暴力って

 「性暴力」とは同意のない性的な行為のことです。こどもに対する性暴力の例としては、「着替え・トイレ・入浴をのぞかれた」「抱きつかれた、キスされた」「服を脱がされた」「水着で隠れる部分(プライベートゾーン)を触られた」「痴漢にあった」「下着姿や裸の写真・動画を撮られた、送るよう要求された」が挙げられます。

 

どのくらいの被害があるの?

 内閣府男女共同参画局が若年層を対象に令和3年度行った調査では、回答者6224人のうち、被害に遭遇したことがあったのは1644人(全体の26%)、つまり若年層の4人に1人は性被害経験があったことになります。そのうち被害経験に最初にあった年齢は0~6歳が2.5%、幼い子さえも性的対象になっています。さらに厚生労働省の「潜在化していた性的虐待の把握および実態に関する調査(令和2年度)」を基に、「推定で1日1000人以上の子どもが何らかの性被害に遭っている」とする調査もあります。

子どもの場合、性についての知識と経験をまだ身につけておらず、被害を受けていながら「何をされているかわからない」という状況に陥ります。性暴力は家族や友人など誰にも言えない場合も多く、実数は報告されている数よりもはるかに多いと想像できます。

 

被害対象は女の子だけではない

 先程の厚生労働省の調査で年間女児が約31万人、男児が約7万人被害に遭っているという報告からも、決して女児だけが被害に遭うのではないことがわかります。皆さんもご存じの「ジャニーズ性加害問題」はジャニー喜多川が少年たちに性加害を繰り返していました。「男の子だから大丈夫」という考えは危険をだと言えます。

 

加害者はだれ?

 加害者は知らないオジサン、つまり見知らぬ相手であるケースは決して多くなく、むしろ顔見知りの方(親・親の恋人・親族)が多いです。家庭内では簡単に密室をつくれますし、上下関係があるため発覚しにくい状態にあります。また250人もの加害者と対面してきた斎藤章佳さんによると、加害者の外見は「特徴がない」のが特徴だそうです。どこにでも存在し、子どもに近づいてもあやしまれにくい人物像です。つまり、外見からでは見分けがつきません。

 

性被害に気づいたら 

 子どもから被害を打ち明けられたら、必ず「話してくれてありがとう」「あなたは悪くないよ」と繰り返し伝えてください。話を疑ったり、否定したりせず、子どもの話を信じて寄り添いながら聞いてください。専門家でない大人が子どもの話を聞きすぎると、子どもの記憶に影響してしまう場合(記憶の汚染)があります。できるだけ早く警察、ワンストップ支援センター、児童相談所などの専門機関に相談しましょう。子どもの性被害は家族だけで子どもを守ることはできません。まず、みなさんが「子どもの性被害」について知ってもらい、自分に何ができるかを考えるきっかけになれば幸いです。

 

参考文献

こどもを性被害から守るために周囲の大人ができること 政府広報オンライン

https://www.gov-online.go.jp/article/202312/entry-5240.html

今西洋介 小児科医「ふらいと先生」が教える みんなで守る子ども性被害 集英社 2024年 

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