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院長コラム

令和2年1月号(Vol.176)
インフルエンザ~最新情報~

2020/01/01(更新日)

 

 明けましておめでとうございます。今年も5人目の子育て奮闘中のパパとして県内の小児医療について情報提供しますので、どうぞよろしくお願いします。先月初め、娘(小1)がサンタさんへクリスマスプレゼントのリクエストの手紙を書いていました。「かわいいすいとう、できたらふでばことえんぴつをおねがいします。まいとし、すきなものをくれてありがとうございます。サンタサンげんきでいてください」と書いてありました。またうちの家宝が増えました。今月は新しい話題がありましたので、インフルエンザの最新情報をお伝えします。

 

インフルエンザ流行中!

毎年流行するインフルエンザ、子どもだけではなく大人もかかり、時には家族全員かかってしまうこともあり、猛威を振っています。予防の基本は手洗い・うがい、ワクチン接種です。この時期に熱が出た場合はインフルエンザを疑う必要があります。元気で熱も高くないのに、検査するとインフルエンザという方がいて、かぜのような症状でも疑う必要があります。自己判断で園や学校へ行ってしまい、感染を広げてしまうこともあります。自分の子どもだけでなく、クラスのお子さんに感染が広がらないような配慮もお願いします。

 

インフルエンザワクチン効果あり!

昨秋、国立感染症研究所から6歳未満のお子さんが対象でインフルエンザワクチンの有効性について報告がありました。2013年から2018年までに症例・対照研究(test-negative design)という手法で調査しました。その結果は有効率が41~63%、インフルエンザワクチンの有効性が示されました。私自身の経験でもワクチン接種していただいた方の方がかかっても軽い印象がありますし、うちのクリニックに隣接しているげんき夢こども園は園児が毎年ほほ100%インフルエンザワクチンを接種しているため、例年インフルエンザにかかってしまう園児さんがいても感染拡大がほとんどありません。インフルエンザワクチンの接種はお勧めです。

 

ゾフルーザ、学会が推奨せず!

昨シーズンから抗インフルエンザ薬の新薬として登場した「ゾフルーザ」は1回だけ内服して終了するため、飲みやすく普及しました。ただ、今シーズンの治療方針として、日本小児科学会は12歳未満のお子さんについての使用経験がまだ少なく、十分なデーターの集積がないことと耐性ウイルスが出現したことから、積極的な投与を推奨しないというコメントを発表しました。日本感染症学会でも同様のコメントが出ていますので、ゾフルーザではなく、タミフルの服用をしてください。

今シーズンの治療薬をどうする?

抗インフルエンザ薬は現在5種類、1種類が点滴薬のため入院治療で行うことが多く、外来で使用できるのは4種類(内服薬・吸入薬ともそれぞれ2種類)です。吸入薬は中学生以上であれば大抵問題なくできますが、小学生の場合、吸入薬に慣れていないため「イナビル」はお勧めできません。「イナビル」は1回のみの吸入薬のためにうまく吸えないと効果が期待できないからです。そのため「リレンザ」の薬の方が1日2回5日間(計10回)吸入するため、1回失敗しても大きな問題がないので安全です。ただ、吸入薬は息を止めることが必要なので、難しいようなら内服薬がお勧めです。内服薬は先ほど述べたように「ゾフルーザ」ではなく、「タミフル」を使用してください。

異常行動にも注意を!

先月、広島市内の高層マンションから男子中学生がインフルエンザにかかって転落死したことが報道されました。インフルエンザにかかると、年齢・性別・抗インフルエンザ薬の服薬を問わず、急に走り出す・飛び降りるといった異常行動が起こることがあります。発熱から2日以内に起こりやすいので、お子さんを1人にせず見守りを徹底しましょう。玄関や窓のカギを閉めて、ベランダ側で寝かせない・1階で寝かせるなどの対策も有効です。6年生までのお子さんであれば、必要に応じて病児保育を利用してください。

参考文献

国立感染症研究所 IASR Vol. 40 p194-195:2019年11月号

「2019/2020シーズンのインフルエンザ治療方針」(日本小児科学会)www.jpeds.or.jp/uploads/files/2019-2020_influenza_all.pdf

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