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院長コラム

令和元年7月号(Vol.170)
スギ花粉症にアレルゲン(舌下)免疫療法がお勧め!

2019/07/01(更新日)

 

 暑い夏がやってきました。適度な休養、水分をとって熱中症にならないように気をつけましょう。先月、なんとこの年齢で初めての経験をしてきました。娘(小1)のクラスの生徒さんに読書ボランティアで絵本を読んできました。うちは日頃、絵本を子どもたちに読んでいるのは妻で私はあまり読んだこともないため、大変緊張しました。ゆっくりと大きな声を出すことを心掛けてやってみたところ、生徒さんたちは集中して、時に感想をつぶやきながら真剣に聞いてくれました。終わった後、子どもたちから話しかけてくれることもあり、子どもたちとの距離が一気に縮まりました。これからも読書ボランティアなどで学校への関りを深めていきたいと思います。

今月は花粉症の新しい治療法であるアレルゲン(舌下)免疫療法についてお話します。

 

アレルゲン免疫療法について

アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。実は以前からも行われていた治療でした。以前までは注射による治療だったこともあり、大学病院などの一部の医療機関でしか行われておらず、広く普及していませんでした。今回の薬はなめるということで、自宅で行なえるため体への負担が小さく普及への期待が高まっています。自分自身の体質を変えていくというアレルゲンに対する過敏性を減少させる今までにない画期的な治療です。食物アレルギーの治療法でも取り入れられていて、食物を除去しても治らない場合は医師の指導の基で原因の食物を少量ずつ食べて体を慣らしています。

 

スギ花粉舌下錠が登場!

花粉症はいまや日本人の5人に1人以上が発症する国民病です。鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどの症状があり、夜間の鼻づまりで眠れない方、対処療法の薬の副作用で昼間の眠気がとれない方には朗報です。舌下免疫療法は、数年前から液体の薬が登場しましたが、適用が12歳以上であったこともあり、小児科では普及が進んでいませんでした。昨年から錠剤が発売され、かつ原則6歳以上に適用が引き下げられました。さらに今年5月からは1か月分の処方ができるようになったこともあり、うちのクリニックでもスギ花粉症のお子さんに声をかけ始めたところ、舌下錠を治療する人が少しずつ増えてきました。数年後には従来の対処療法の薬だけではなく、スギ花粉舌下錠の治療が身近になってくることが期待されます。花粉症は親子で発症している方も多いので、親子での治療もお勧めです。ちなみに、うちの娘も昨年から花粉症を発症し、舌下錠を検討中です。

 

実際の治療法

舌下錠は1日1回、舌の下に置くと1分もしないうちに溶けてしまい、残りを飲み込むだけです。毎日使用しながら、定期的に通院し3年間続けていく必要があります。始める時期はスギ花粉の飛散が終わる今頃から年内までに行ってください。実施できる医療機関はアレルギーの専門的知識と経験を十分に持った医師(アレルギー専門医など)に限られています。実施している医療機関はアレルゲン免疫療法ナビ(http://www.torii-alg.jp/)で検索が可能です。

効果は初年度から現れますが、2年目、3年目と長くなるほど効果が現れやすく、8~9割の人に効果があることがわかっています。3年以上治療を続けてきた患者さん(有効例)では、治療終了後4~5年経過した時点でも8~9割の方が効果の持続があるという調査結果が出ています。さらに体質が変わることでぜんそくやアレルギー性鼻炎などの発症が抑えられる効果も期待できます。副作用は数%の方に口の中の腫れやかゆみがあります。全身の副作用が起こる可能性は非常に低いため安全に行えます。

スギだけではなく、4人に1人いるといわれているダニによるアレルギー性鼻炎にも舌下錠があります。1年中、くしゃみ・鼻水・鼻づまりで日常生活に困っているアレルギー性鼻炎の方への有効性も8~9割効果が期待できます。適応の年齢と治療機関についてスギ花粉と同様ですが、始める時期はいつでも構いません。

 

参考文献

スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版) 一般社団法人日本アレルギー学会(https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf

アレルゲン免疫療法ナビ(http://www.torii-alg.jp/

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