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院長コラム

平成26年2月号(Vol.106)
祝 水痘ワクチンの定期接種化!

2014/02/01(更新日)

一年で一番寒い2月がやってきましたね。この寒さを乗り切るために最近色々な温泉に下の子ども2人と共に行っています。山梨には温泉がたくさんあり、低価格でいろんなお風呂が楽しめる上リフレッシュできます。山梨のいい所の一つで私は温泉好きになりました。

昨年12月に水痘ワクチンの定期接種化が今秋から始めることが決まりました。本当にうれしい限りです。水痘ワクチンの定期接種が始まれば水痘にかかるお子さんが激減します。水痘で苦しむ子どもがいなくなる日が楽しみです。今月は「水痘」の病気について話をします。

 

水痘(水ぼうそう)にかかると

 水痘は「みずぼうそう」とも言われ、空気感染で強い感染力がある病気です。2週間の潜伏期を経て発症し熱がでることが多く、水疱を伴う発疹が全身に広がり、その後かさぶたになります。治るまでに1週間程度かかり、園や学校を休むことになります。治療法は特効薬であるアシクロビルを飲み、発疹に専用の軟膏を塗って対応します。

多くの場合は1週間もたてば後遺症もありませんが、中には脳炎・脳症、脳梗塞などの合併症を起こす場合があります。また移植などで免疫が低下しているお子さんがかかると重症化します。妊娠初期にかかると胎児に重篤な障害を残し、新生児がかかると重篤になる場合があります。毎年約100万人発症し、年間約4000人が入院、約20人が死亡しています。予防法は水痘ワクチンを接種することですが、任意接種であるため接種率は40%程度にとどまっています。

 

定期接種化すると水痘は激減する

20年前に水痘ワクチンの定期接種化が始まったアメリカでは、患者数が激減しました。日本も今秋、水痘ワクチンが定期接種化されると、接種率が上がり集団内に免疫を持つ人が多くなり、病気自体が流行しなくなる「集団免疫」の効果もみられると予想されるため患者数が大幅に減ります。水痘ワクチンの安全性については国内で25年、海外で15年以上に計1億人以上が接種をして、副反応が極めて低いことが実証されています。

経済的な効果も考慮され、2回接種にかかる費用と現在の水痘にかかった時の治療費と家族の看護の負担費用の合計を比べると定期接種とした方が経済的にも有利でした。

 

水痘ワクチンは2回接種

 水痘ワクチンは麻疹や風疹と同様に2回接種を勧めています。1回接種だけでは十分に抗体が上がらず、6~12%が水痘にかかることがわかっています。このため2回接種することで長期にわたって抗体を維持でき、患者数を減らすことが期待できます。接種後の有効な免疫が20年後まで持続することが確認されています。さらに水痘ワクチンを接種することで高齢者に多い帯状疱疹になりにくくなるという報告が最近されています。

 日本は諸外国と比べて定期接種としてできる予防接種がまだ少ない、いわゆるワクチンギャップがあり、まだまだ遅れていると言えます。数年前に比べるとこのワクチンギャプも解消されつつありますが、残り3ワクチン(B型肝炎、おたふくかぜ、ロタ)の定期接種化へみんなで声をあげていきましょう。さらに同時接種といって注射を何回ができるようになったのですが、1つの注射に1~2種類しか入っていないワクチンが多く、諸外国では1つの注射に3つ以上のワクチンが入っている混合ワクチンが使われています。接種を受ける子どもたちのためにも、この点も合わせて改善していただけるとうれしいです。

 

流行中のインフルエンザについて一言

 抗インフルエンザ薬の登場で以前より発熱期間が短く、早めに登校・登園することで感染をさらに広めてしまうことが問題となり、2年前から登校・登園の基準が「発症後5日を経過し、かつ解熱後3日(幼児)・2日(学童)を経過するまで」と見直しがされました。そのためかかると1週間程度の登校(園)停止となります。

2~3日熱が続き、4日目になり解熱して大丈夫かと思っていると5日目に再び熱が上がる場合があります。2峰性の発熱と言い、よく見られます。抗インフルエンザ薬のおかげで、症状が軽くなっている印象はありますが、油断は禁物です。

 

参考文献

水痘・帯状疱疹とそのワクチン 国立感染症研究所

http://www.nih.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrtpc/4043-tpc404-j.html

水痘ワクチンに関するファクトシート

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqx.pdf

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