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院長コラム

平成28年10月号(Vol.137)
麻疹(はしか)感染拡大中!~私たちができること~

2016/10/01(更新日)

ようやく夏が終わり過ごしやすくなってきました。夏休みが終わったことで、学校や園では運動会などの練習が行なわれている頃かと思います。この時期診療しているとお子さんの頭痛、腹痛などの不定愁訴での相談がみられます。かぜや胃腸炎が原因の場合もありますが、1週間以上続く症状があれば、運動会の練習による疲れで症状がでている場合があります。親は晴れの舞台を見ようと子どもに期待してしまいますが、中には練習に耐えきれずに体にまで症状がでて困っている子どもたちがいます。子どもに何らかの変調を感じた場合は時間を取りきちんと話を聞く姿勢が予防につながります。

昨年3月末に世界保健機関から日本が「排除状態」になったと認定を受け、麻疹の持続的な感染がなくなったと安堵していた矢先、今年8月から麻疹の患者数が増えてきました。国立感染症研究所によると9月13日、全国で今年に入り82人と関西国際空港・保育園(兵庫県尼崎市)での集団発生も報じられ、関西・関東にも広がっています。県内にも感染が広がってくるのは必至です。今月は麻疹についてお話します。

 

麻疹を知る

最近、麻疹の報道を耳にし、多くの方が不安を抱いていると思います。相手を知るつまり麻疹のことがわかると過剰な心配をしないで済みます。麻疹は麻疹ウイルスによって起こり、感染力は非常に強く、空気感染・飛沫感染・接触感染によってうつります。感染から約10日後に熱・せき・鼻水などの症状がでて、その後全身に発疹が出てきます。肺炎・中耳炎の合併症を伴うことも多く、1000人に1人が死亡する重い病気です。特効薬はなく、予防法は予防接種をすることです。日本産婦人科学会からは妊婦さんがかかると重症化しやすく流産・早産にもつながるため、感染者が多い場所への外出を控えるよう呼びかけています。診断はインフルエンザのような迅速でできる検査はなく、症状が熱・咳・鼻水といったかぜと同じような症状であるため、初期の診断は困難です。また麻疹ワクチンをしている人でもかかる可能性はあり、症状が軽くなる半面、診断はさらに難しくなります。

 

かからないようにするために

今年かかった82人の内訳では20~30歳代が6割、ワクチン接種していない方が多くいることがわかっています。麻疹ワクチンを接種していない人はすぐに接種していただきたいです。一番心配なのは体力もないまだ免疫もまったくない1歳前のお子さんです。1歳になったらすぐに接種をしてください。2期の対象である年長さんはまだ接種をしていない場合は早く接種をお願いします。保育園や幼稚園の先生方は園児さんの接種状況を確認して勧奨していただくと助かります。大人の方で麻疹にかかってなくワクチンもしていない人も接種をお勧めします。ご夫婦で自分の母子手帳をみて確認しましょう。接種回数は1回では免疫が不十分ですので2回接種がお勧めです。今後、状況によっては希望してもワクチンがなくなる恐れがありますので早めに医療機関に問い合わせて下さい。

 

SSPE(亜急性硬化性全脳炎)青空の会代表と患者さんらも厚生労働大臣へ訴え

先月初旬、東京で麻疹の怖さやワクチンによる予防の大切さを訴える集会が開かれ、先月号でお話しした「SSPE青空の会」代表の患者さんも含めた家族も参加し、厚生労働大臣にその要望書を手渡しました。この集会は医師が主催しましたが、麻疹にかかったSSPEの患者さんまでもが予防接種の啓蒙を訴えた姿に胸を打たれました。NHKや民放でもテレビで取り上げられていました。私自身はこの集会に参加できませんでしたが、医師と患者さんの両方で麻疹を含めた予防接種の必要性を伝えた非常にインパクトのある会だったと思います。

 

今月からB型肝炎ワクチンの定期接種開始!~今年4月・5月生まれのお子さんはご注意を~

特に平成28年4月生まれの方は接種間隔も決まっているため、10月に入ったらすぐに接種を始めないと3回接種が完了できなくなる恐れがありますので早めに接種しましょう。B型肝炎ワクチンについては来月号で改めてお話します。

 

参考文献

国立感染症研究所ホームページ

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