R7年11月号(Vol.246)<br>医療的ケア児とご家族の交流会~あおぞら共和国にて~
10月は園・学校・地域で運動会が開催されたところも多かったと思います。
娘(中1)も体育祭があり、リレー・タイヤ綱引きなどの競技を応援しました。競技を真剣に取り組む姿と体が大きくなった中学生の迫力を感じ、その中で仲間と力を合わせる娘の姿に成長を感じました。
ここ3年間、日本に土着株よる感染が確認されていないことから、日本は2025年9月下旬に風疹の排除を達成されたと世界保健機関から認定されました。妊娠20週ごろまでの女性が風疹にかかると、風疹ウイルスが胎児に感染して、出生時に先天性心疾患・難聴・白内障などの障がいを引き起こすことがあります。2018年に流行後「風疹の追加的対策」を実施したこともあり、排除に至りました。中々ニュースに取り上げられませんが、大きな成果だと思います。
風疹の排除を維持するためには1歳と年長で実施されている麻疹風疹混合(MR)ワクチンの接種率をこれまで同様に高めつつ、社会全体での啓発活動を継続することが大切です。これから生まれてくる子ども達が二度と先天性風疹症候群にかからないように、みんなで心がけていきましょう!
今月は、私が参加した医療的ケア児とご家族の交流会について取り上げます。昨年に引き続き、9月20日げんきキッズクリニックとげんき夢こども園子育て支援センター共催で「あおぞら共和国」(北斗市白州町)の施設をお借りして、医療的ケア(医ケア)児を含む重症心身障がい児とご家族との交流会を行いました。医ケア児とは生まれた時から重い障害があり、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、痰の吸引や経管栄養などの医ケアが日常的に必要なお子さんのことです。
私の医ケア児とその家族とのお付き合いは10年以上になります。小児訪問診療を始め、その家族が介護で疲弊している実態を知り、家族のレスパイト(休息)目的で自院内に医ケア児を昼間お預かりするデイサービスを2016年に立ち上げました。さらにその家族との交流会を子育て支援センター、自院内で実施し、昨年から「あおぞら共和国」で行っています。県内に医ケア児は100名弱しかいません。医ケア児のことを知るきっかけになれば幸いです。
「あおぞら共和国」とは
北杜市白州町にある「あおぞら共和国」は、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークが運営する施設です。寄贈された白州の土地3,000坪を活用し、病気や障害のあるこどもたちのための「夢のレスパイト施設(癒しの宿泊施設)」で、利用は難病や障がいのある子どもとその家族が対象で「誰にも気兼ねなく」過ごせる特別な場所です。5棟のロッジと複数の付帯施設で構成されています。チャリティーウォーク(春・秋)、プラネタリウム、星空観望会などのイベントも行なわれています。
今年3月24日には山梨県との連携協定を締結し、ふるさと納税クラウドファンディングにて「あおぞら共和国」の活動を支援して頂けるようになりました。
交流会を実施して
10組近い家族の参加があり、各ご家庭が自己紹介をして、チームに分かれて家族全員参加のレクレーションを楽しみました。その後、患児の兄弟は別室で保育士スタッフが野外活動や室内遊びに連れて保育を行ないました。保護者はうちの園長が司会をしながら、一家族ずつ近況報告や子育ての振り返りなどの話をしながら交流を深めました。「自分自身・パートナーの親としての成長について」のお題で参加した両親がそれぞれ語り、介護・看護で協力しあいながらもお互いを尊重し仲の良い夫婦関係を築くために努めていることが理解できました。この頃になると、関係性も深まり、夕食で会話が弾み、子どもたちの大好きな花火をしてお開きとなりました。これだけでも満喫できましたが、宿泊した家族を誘って夜11時まで、家族皆参加の2次会を開催しました。子どもたちもパジャマ姿の上お菓子持参で参加し、我が家の子ども達が参加した子どもの遊び相手になり、ロッジ内をかくれんぼして、大興奮の夜になったようです。大人はご夫婦の馴れ初めなどを聞いたり、最近の出来事を互いに話したりお互いに励まし合えたようです。後日ご夫婦はもとより、参加した兄弟児からも「またあおぞら共和国に行きたい!」と満面の笑みでお礼を言われ、企画側の満足度も非常に高いものになりました。
医ケア児の家族は外泊で旅行に行くことは難しいため、今後も私たちができる範囲内で非日常体験に関わることができればと思っております。医ケア児と家族の生活は24時間気を休めず、精神的にも肉体的にも疲弊しています。家族の負担感を増強させているのは在宅生活のサービス体制の不足です。具体的にはレスパイト入院施設の不足や人工呼吸器装着児に対して通学・授業中に家族の付き添いが必要であり、家族の負担感を強いています。山梨県内でどんな障害のある子が生まれても安心して子育てできるように、早期に是正して欲しいと願うばかりです。
参考文献
あおぞら共和国HP https://www.aozorakk.com/about













