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院長コラム

令和7年2月号(Vol.237)<br>猛威を振るうインフルエンザに負けるな!

2025/02/01(更新日)

 今月も寒い冬が続きますね。寒さに負けそうになりますが、意識して体を動かすことも大切です。先月、富士スピードウェイで「第17回スーパーママチャリグランプリ」に出場してきました。この大会は10名以内のチームがレース場をママチャリで走り、順位を競う6時間耐久レースです。げんきキッズクリニックとして2チームエントリーをし、息子たち若人ら精鋭10人が死に物狂いでママチャリを漕ぎ、堂々11位(509チーム中)、もう1チームは私も参加し結果は436位でした。最初は下りが多くスピードが出てとても気持ち良かったのですが、後半は上りが多く、息が切れました。レース場をママチャリで力走でき、とても刺激的な経験ができました。

 そして、先月「雪の花」という映画の試写会を妻と一緒に観てきました。死に至る病と恐れられていた天然痘が猛威を振るい多くの人命を奪っていた江戸時代末期、福井藩の町医者が種痘(予防接種)という方法があることを知り、藩・幕府をも巻き込んで、命がけで種痘の普及に努めていくストーリーでした。人を救うことに命がけで取り組んでいた町医者の姿に感動すると共に、自分も改めて与えられた職種を全うしていこうと痛感しました。

 コロナ禍では感染対策を強化したため、多くの感染症の流行がなくなりました。インフルエンザの感染も激減、このため、多くの方々がインフルエンザに対する免疫力が低下したためか、今シーズンのインフルエンザは過去10年の中で最多のペースで患者数が増加しています。

今月は猛威を振るっているインフルエンザの対応法についてお話します。

インフルエンザって

 インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38度以上の熱・のどの痛み・鼻水・咳・頭痛・関節痛・筋肉痛・全身倦怠感などの症状があり、子どもの場合、まれに急性脳症になることもあります。インフルエンザウイルスは小さな変異を繰り返すため、以前にインフルエンザに罹ったことがあっても、ワクチンを接種したことがある人でも罹ってしまう感染症です。

 

インフルエンザ流行期、発熱したら

 インフルエンザ流行期に熱があった場合、検査で鑑別をすることをお勧めします。インフルエンザに罹った場合、抗インフルエンザ薬を使用することで症状が楽になるからです。抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスを殺すのではなく、増殖を抑えるため発症後48時間以内に使用することが原則となっています。発症後48時間以内に受診することを意識した方がよいでしょう。また、検査するタイミングは熱がでてから12時間後以降が最適と言われています。

 家族内にすでにインフルエンザにかかっている人がいる場合は、検査をせず、みなし陽性として診断を確定する場合があります。事前に医療機関に相談をするのも得策です。

 

抗インフルエンザ薬について

 抗インフルエンザ薬の効果としては通常1~2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量が減少することで重症化予防効果があります。薬は5種類で、内服薬・吸入薬・点滴静注液があります。タミフル(内服薬)は全年齢が対象になりますが、吸入薬の場合は低年齢では上手に吸い込むことが難しいのでお勧めしません。薬の選択に迷う場合は内服薬の方が無難です。

 以前、抗インフルエンザ薬の服用後に異常行動が報告されており、皆さんも気になっていると思います。異常行動の結果、極めてまれですが、転落などによる死亡事例も報告されています。薬の服用と異常行動との因果関係は不明ですが、これまでの調査結果などからは、抗インフルエンザ薬を服用していない場合でも、同様の異常行動が現れていることから、抗インフルエンザ薬の服用の有無に関わらず、異常行動による転落などの防止に注意するよう言われています。注意点としては、インフルエンザにかかった時(特に発熱から2日間)異常行動に備えて、玄関や全ての部屋の窓の施錠・ベランダに面していない部屋で寝かせる・1階で寝かせるなどの対策が必要になります。特に就学以降の小児・未成年者の男性に多いと報告されています。

 

予防が一番!

 予防はワクチン接種・手洗い・十分な休養とバランスのとれた栄養・適度な湿度・人混みなどを避ける・こまめな換気と言われています。ワクチンはまだ遅くないので検討してください。65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については、34~55%の発症予防効果があり、82%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。また6歳未満の小児を対象とした2015~2016年の研究では、発症予防に対するワクチンの有効率は60%と報告されています。毎年、インフルエンザA型の後、B型が流行してきます。今シーズンにインフルエンザA型にかかった人も、B型にかかることがあります。しばらくインフルエンザの状況を気にしながら冬を乗り切りましょう。

 

参考文献

令和6年度インフルエンザQ&A 厚生労働省ホームページ

2024/25シーズンのインフルエンザ治療・予防指針 日本小児科学会ホームページ https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20241202_2024-2025_infuru_shishin.pdf

平成11年度 厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業「インフルエンザワクチンの効果に関する研究(主任研究者:神谷齊(国立療養所三重病院))」

平成28年度 厚生労働行政推進調査事業費補助金(新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業「ワクチンの有効性・安全性評価とVPD(vaccine preventable diseases)対策への適用に関する分析疫学研究(研究代表者:廣田良夫(保健医療経営大学))」

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