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院長コラム

予防接種

あけましておめでとうございます。ちびっこぷれすの連載も早10年が経ちました。今年も最新の子どもの医療情報についてお伝えできるよう努めていきたいと思っております。皆さんは今年どんな年にしたいですか?私は「健康」な一年にしたいと考えています。若い時はそんなに意識していなかったのですが、年々自分の健康について考えるようになったのがきっかけです。体とこころの両面が健康でなければ、仕事で患者さんにもよい対応ができません。健康を維持するための体力づくりとして数年前からランニングをしています。月に100kmを目標に健康を維持したいです。合わせてわがままな私を受け入れてくれる妻にも感謝しながら家族を大事にする良き1年にしたいと思います。

今月は診察時によく質問されるようになり、関心が高くなってきた「化血研の不正問題」について詳しくお話しします。先月、100ページ以上にも及ぶ第三者委員会の報告書が発表され、血液製剤の不正からワクチン、さらに人だけでなく動物用ワクチンまで化血研の製品に製造手順の不正が見つかりました。ここ数年で新しいワクチンが誕生し明るい話題が多かったのですが、今回のワクチン不正問題については残念だというよりも憤りを感じます。

 

不正の詳細

化学及血清療法研究所(化血研)は血液製剤やワクチンを製造している会社です。昨年6月に血液製剤で承認された製造方法と異なる製造をしていることがわかり、ワクチンにも不正が見つかりました。化血研のワクチンはインフルエンザ・4種混合・日本脳炎・B型肝炎・A型肝炎ワクチンを製造、国内でも大きなシェアがあり、今回の騒動でワクチン不足が全国的に起きています。

 第三者委員会の報告書によると、40年前から不正があり、国側の検査に備え、1995年からは虚偽の製造記録を作成するなどの隠蔽工作を重ねて、当時の製造部門の部長の指示のもと、組織的に進められていました。まず、2種類の製造記録を作成し実際の製造記録は明朝体で記録しました。一方、国の査察用はゴシック体にして区別していました。また、過去の製造記録を書き直す際には、筆跡の似た職員にサインをさせて古い書類に見せかけるため、紙を紫外線で焼くなど手の込んだ改ざんが行われていたそうです。記者が化血研の理事長になぜ不正を改善しなかったのかと問いただしたところ「改革をすると血液製剤の供給がストップするから」と述べていました。倫理観の欠如が甚だしく、おごりとしか言いようがありません。

 

4種混合ワクチンの安全性?

一番皆さんが不安なのは、化血研のワクチンの安全性だと思います。厚生労働省が精査したところ、4種混合ワクチンの製造方法に細かい所も含めて348か所の違いが見られました。製造過程に書かれていない抗凝固剤であるヘパリンナトリウムが添加されていたり、ワクチンの能力である力価を調べる方法が変更されていたなどの不備が見つかっています。4種混合ワクチンは他のメーカーと比較して化血研のワクチンだけに副反応が多いという結果はでていないこともあり、「品質および安全性などに重大な影響を及ぼす可能性は低い」という報告が出されています。1日でも早く「安全であること」を発表していただきたいと思います。今回の化血研の不正を知り、自分が医師としてできることは化血研のワクチンを使用しないことだと考えています。

東芝の不正会計処理、横浜市のマンションの傾きで明らかになった杭打ちデータ改ざん問題と偽装だらけでいやになりますが、偽装してもいつかは発覚し会社の存続に関わる大きな問題となります。膿を出し切り健全な会社に改めていただくことを期待します。40年前、3種混合ワクチンが一時中止したことで接種率が下がり、百日咳が流行してしまった苦い経験があります。予防接種をしないことで防げる病気にかかってしまうリスクがあることも考えていただき、今回の不正をきっかけに安易にワクチンをしないという考えにならないでほしいと願っています。

 

たばこ増税案

 2017年4月の消費税率10%への引き上げ時に軽減税率を導入するための代替財源をたばこ増税に一部充てる話がでています。禁煙の理由でたばこ代が高くなったからということをよく聞きます。先進国に比べてまだまだ安いと言われていますので、ぜひともこの機会に料金を引き上げて禁煙する人が多くなることを期待しています。

 

参考文献

第三者委員会報告書(化血研)

http://www.kaketsuken.or.jp/credibility00.html

 先月は猛暑日が続き、体調をくずした方も多かったのではないでしょうか。猛暑が続いていた夜、小児夜間救急の診察中、バスケットボールの練習していた小学生が数人次々に倒れ、受診に来ました。頭痛・吐き気の症状があり、熱中症と判断、幸い軽症で済みました。まだ9月に入っても暑い日があると思いますので、くれぐれも体調管理には気を付けてください。

今年も我が家の夏休みの恒例行事となった市川の花火大会に行ってきました。大小、様々な形の花火でハートやかえるの顔の形までみられ、本当に見事でした。今年は加えて、初めて第26回清里フィールドバレエを観てきました。芸術にあまり触れる機会がない私ですが、多くのバレリーナの演技に圧倒され、屋外に設置された幻想的な舞台を楽しみました。

今月も先月に引き続き、ワクチンの話をします。

 

ヒブワクチンで髄膜炎が激減!

 ヒブワクチン導入前、細菌性髄膜炎の原因菌は半分がヒブ(インフルエンザ菌b型)でした。国内10都道府県の調査では導入前全国で年間約600人いた髄膜炎が、導入3年後罹患率が半分に減少、2013年には減少率が98%とヒブによる髄膜炎がほとんどいなくなりました。ヒブワクチンの効果は非常に高いものがあります。

 

肺炎球菌ワクチンも効果大!

 肺炎球菌ワクチン導入前、細菌性髄膜炎の原因菌は約25%が肺炎球菌でした。導入前と比べると、ヒブワクチンまでの効果はありませんでしたが、導入後髄膜炎の減少率は70%と罹患率を大きく減らすことができました。肺炎球菌は血清型というタイプがいくつもあり、すべての型に対応できておらず、導入時は頻度の多い血清型の7種類、現在は13種類に増え、より効果的になっています。

 

子宮頸がんワクチン2年間ストップ

 2年前、子宮頸がんワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後みられたことから、現在厚生労働省から「積極的にはお勧めしていない」という状態になっています。子宮頸がんは、乳がんに次いで若い女性に2番目に多くかかるがんで、今でも年間9,000人がかかり、2,700人が亡くなっています。早めに発見することが大切です。20歳になったら必ず2年に1度の子宮頸がん検診を受けてください。

 

日本脳炎ワクチン

 8年前、マウス脳による製法で作られた日本脳炎ワクチンが重症の急性散在性脳脊髄炎の健康被害と関係があったため、一時中止となりました。5年前から組織培養による製法で作られた日本脳炎ワクチンに改良されたおかげで、現在、重い副反応の報告はありません。一時中止となった期間が3年間あった影響もあり、平成7~18年度に生まれた方は接種が不十分になっています。日本脳炎という病気は今でもあり、蚊を介して感染します。後遺症を残したり亡くなることもあります。計4回接種をお勧めしています。

他のワクチンでは、生のポリオワクチンは副反応でまれにポリオを発症することが問題になっていましたが、3年前不活化ポリオワクチンに変更されました。現在は不活化ポリオワクチンを3種混合ワクチンに加えた4種混合ワクチンを使用しています。世界的には5種、6種ワクチンが登場しており、日本でも早く使えるとお子さんの負担軽減につながります。10年前と比べてワクチンの数が大幅に増え、その効果が大きく、病気が減り、重症化も防げています。

 

平和の尊さ

今年は戦後70周年の節目の年となりました。私の父は昭和10年生まれ、満州で生まれ、10歳で終戦を迎えました。父の母は戦時中病死、継母によって育てられたそうです。安保法案の審議を聞いていると説得力のある説明ができていないように感じます。戦争に行くのは子どもたちです。同じ過ちをしないためにもこの法案の推移には強く関心を持っていく必要があると考えています。70年前、多くの人が戦争で亡くなりました。多くの悲劇がありました。戦争をしていいことは一つもありません。多くの犠牲者の上に今の平和があります。平和を維持することが戦争を回避する一番の手段ではないでしょうか?残念ながら学校ではあまり現代史を教えてくれません。平和や戦争については親が子に伝える必要があると思います。

 

参考文献 

国立感染症研究所 感染症疫学センター

     厚生労働省ホームページ

5月には真夏のような日が続いたかと思うと、先月は長引く梅雨が続きました。連日の雨で洗濯物が乾かず、我が家も初めてコインランドリーにある乾燥機のお世話になりました。梅雨の季節にフワフワの洗濯物を手にして本当にありがたいと思いました。ようやく夏本番、熱中症に気をつけながら夏を乗り切りましょう。

先月、岩手県の中学2年生がいじめを苦にして自殺したとみられる問題に日本中が大きな悲しみに包まれました。学校関係者の対応については今後より詳細な経過が明らかにされると思いますが、大いに反省をすべきです。また、親としての気づきも大切ではないかと痛感しました。思春期になると親子の会話も少なくなるかもしれませんが、顔の表情や食欲など何らかのサインがあったときは親として積極的に関わるべきで、学校だけをパッシングして終わらしてはいけないと思いました。

今月は最近の予防接種の成果についてお話をしたいと思います。7年前のヒブワクチンに始まり、肺炎球菌ワクチン・不活化ポリオワクチン・ロタウイルスワクチンと新しいワクチンが次々に登場し、昨秋は水痘ワクチン、来年にはB型肝炎ワクチンが定期接種化されます。飛躍的に国内の予防医学におけるワクチンの環境がよくなっています。日本はワクチン後進国と言われていましたが、先進国にあと一歩まで近づいてきています。

 

麻疹排除を達成!

 強い感染力を持ち高熱や発疹など重い症状がでる麻疹(はしか)は、世界保健機関から日本が「排除状態」になったと認定を受けました。8年前はまだ日本で麻疹の流行があり、県内でも高校生を中心に流行がありました。麻疹の予防接種率が高まってきて、今回の排除で麻疹による持続的な感染は国内になくなりました。ただ、接種率が低下すると再び流行することがありますので、これからも接種率を高く保つことが大切です。1歳と年長の時期に2回の接種をお願いします。

 

水痘(水ぼうそう)にかかる人が減少!

 昨秋から水痘ワクチンの1~2歳児に対する定期接種化が始まり、医療機関での定点当たりの水痘にかかる発症数が例年の半分以下に減っています。接種したお子さんが今後さらに増えることにより、患者数が激減することが予想されます。水痘がまれな病気になる日もそう遠くはないでしょう。3歳以上(大人も含めて)で水痘にかかっていない場合は自費になりますが、2回接種をお勧めします。

 

ロタウイルスワクチンで点滴する人が激減!

 4年前、ロタウイルスワクチンが登場するまでは、ロタウイルスによる胃腸炎にかかると、重症化し点滴をしたり入院するケースが多く見られました。私自身、診療を長年していてロタが流行する冬は点滴処置をよく行なっていました。10年前の開業時は点滴を管理するための輸液ポンプが5台ありましたが、今は2台で十分です。ひと月に点滴を数人しか行なわなくなり、入院依頼をするお子さんも激減しました。

新潟県新発田市において、ロタウイルスワクチンの導入前2011年と導入後の昨年との比較で、重症化した患者数が約80%減少したという報告がありました。ロタウイルスワクチンにより胃腸炎で苦しむお子さんが大幅に減っています。ただ、副反応で腸重積のリスクが増加する可能性があると言われています。原因不明である腸重積は生後4か月から患者数が増えてくるため、腸重積になりづらい生後早期に接種を始めることが勧められています。まだ任意接種のため費用がかかりますが、お勧めしたいワクチンです。

ここ最近は製造工程で使用する細胞を変えたり、添加物を減らしたり、ワクチンの品質も向上し重い副反応の報告も減ってきています。ただ、副反応がまったくないワクチンはなく、接種した周りが赤くなったり、発熱がでることはあります。かかりつけ医とよく相談をし、お子さんのために前向きに接種をしていただけたら幸いです。

 

参考文献 

国立感染症研究所 感染症疫学センター

 

電気を考えよう3

 最近、家の屋根や遊休地に太陽光発電をみかけるようになってきました。山梨県は晴天率が高く、太陽光発電に向いています。遠方から運ばれる送電線の場合、最初に作られた電気の65%が失われてしまいます。電気を県内でまかなう「電気の地産地消」ができれば、県内で電気に関する仕事が増え雇用も生まれ、災害に強くもなります。山梨県は2050年に県内の電気を100%再生エネルギーにする計画を立てています。

一年で一番寒い2月がやってきましたね。この寒さを乗り切るために最近色々な温泉に下の子ども2人と共に行っています。山梨には温泉がたくさんあり、低価格でいろんなお風呂が楽しめる上リフレッシュできます。山梨のいい所の一つで私は温泉好きになりました。

昨年12月に水痘ワクチンの定期接種化が今秋から始めることが決まりました。本当にうれしい限りです。水痘ワクチンの定期接種が始まれば水痘にかかるお子さんが激減します。水痘で苦しむ子どもがいなくなる日が楽しみです。今月は「水痘」の病気について話をします。

 

水痘(水ぼうそう)にかかると

 水痘は「みずぼうそう」とも言われ、空気感染で強い感染力がある病気です。2週間の潜伏期を経て発症し熱がでることが多く、水疱を伴う発疹が全身に広がり、その後かさぶたになります。治るまでに1週間程度かかり、園や学校を休むことになります。治療法は特効薬であるアシクロビルを飲み、発疹に専用の軟膏を塗って対応します。

多くの場合は1週間もたてば後遺症もありませんが、中には脳炎・脳症、脳梗塞などの合併症を起こす場合があります。また移植などで免疫が低下しているお子さんがかかると重症化します。妊娠初期にかかると胎児に重篤な障害を残し、新生児がかかると重篤になる場合があります。毎年約100万人発症し、年間約4000人が入院、約20人が死亡しています。予防法は水痘ワクチンを接種することですが、任意接種であるため接種率は40%程度にとどまっています。

 

定期接種化すると水痘は激減する

20年前に水痘ワクチンの定期接種化が始まったアメリカでは、患者数が激減しました。日本も今秋、水痘ワクチンが定期接種化されると、接種率が上がり集団内に免疫を持つ人が多くなり、病気自体が流行しなくなる「集団免疫」の効果もみられると予想されるため患者数が大幅に減ります。水痘ワクチンの安全性については国内で25年、海外で15年以上に計1億人以上が接種をして、副反応が極めて低いことが実証されています。

経済的な効果も考慮され、2回接種にかかる費用と現在の水痘にかかった時の治療費と家族の看護の負担費用の合計を比べると定期接種とした方が経済的にも有利でした。

 

水痘ワクチンは2回接種

 水痘ワクチンは麻疹や風疹と同様に2回接種を勧めています。1回接種だけでは十分に抗体が上がらず、6~12%が水痘にかかることがわかっています。このため2回接種することで長期にわたって抗体を維持でき、患者数を減らすことが期待できます。接種後の有効な免疫が20年後まで持続することが確認されています。さらに水痘ワクチンを接種することで高齢者に多い帯状疱疹になりにくくなるという報告が最近されています。

 日本は諸外国と比べて定期接種としてできる予防接種がまだ少ない、いわゆるワクチンギャップがあり、まだまだ遅れていると言えます。数年前に比べるとこのワクチンギャプも解消されつつありますが、残り3ワクチン(B型肝炎、おたふくかぜ、ロタ)の定期接種化へみんなで声をあげていきましょう。さらに同時接種といって注射を何回ができるようになったのですが、1つの注射に1~2種類しか入っていないワクチンが多く、諸外国では1つの注射に3つ以上のワクチンが入っている混合ワクチンが使われています。接種を受ける子どもたちのためにも、この点も合わせて改善していただけるとうれしいです。

 

流行中のインフルエンザについて一言

 抗インフルエンザ薬の登場で以前より発熱期間が短く、早めに登校・登園することで感染をさらに広めてしまうことが問題となり、2年前から登校・登園の基準が「発症後5日を経過し、かつ解熱後3日(幼児)・2日(学童)を経過するまで」と見直しがされました。そのためかかると1週間程度の登校(園)停止となります。

2~3日熱が続き、4日目になり解熱して大丈夫かと思っていると5日目に再び熱が上がる場合があります。2峰性の発熱と言い、よく見られます。抗インフルエンザ薬のおかげで、症状が軽くなっている印象はありますが、油断は禁物です。

 

参考文献

水痘・帯状疱疹とそのワクチン 国立感染症研究所

http://www.nih.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrtpc/4043-tpc404-j.html

水痘ワクチンに関するファクトシート

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqx.pdf

猛暑続きの夏がようやく終わり、空気も澄んで秋らしく過ごしやすくなってきました。2020年オリンピック・パラリンピックが東京で開催が決まりました。あと7年後、皆さんはいくつになっていますか?今から楽しみですね。

 現在、定期接種化への候補とされるワクチンが3つあります。水痘・おたふくかぜ・B型肝炎ワクチンです。今月はその中でもあまり知られていない「B型肝炎ワクチン」についてお話します。

 

B型肝炎について

日本でのB型肝炎ウイルスの感染者は約100万人(約100人に1人)と推定されています。ウイルスが体に入ると肝炎が起こることもありますが、自覚症状がないことも多く、偶然行った血液検査で初めて感染に気付くこともあります。3歳以下の子どもが感染すると、キャリア(ウイルスを体内に保有した状態)になりやすく、キャリアになると約10%が慢性肝炎になると言われています。慢性肝炎になると将来、肝硬変や肝がんに進行することもあるため、低年齢での感染予防は重要です。また、B型肝炎ウイルスに感染すると急性肝炎から劇症肝炎を起こし死に至ることや、抗がん剤治療で免疫力が低下することで重症の肝炎が起きることもあります。
 B型肝炎ウイルスは数種類のタイプがあり、日本において流行していた遺伝子型Cは慢性化することが少ないタイプだったため、問題になっていませんでした。しかし、最近慢性化しやすい遺伝子型Aというタイプが広がってきたため、慢性肝炎→肝硬変→肝がんへと進行することが心配されています。

感染すると、キャリア化し将来の慢性肝炎→肝硬変→肝がんへの進行・長期にわたり新たな感染源になるという点で問題になります。

 

感染経路は血液や性交渉だけではない

B型肝炎ウイルスは、血液だけではなく、唾液や汗、涙などにも含まれています。母子感染だけではなく、乳児期に父などからの感染や大人になってからの性交渉からの感染(水平感染)も考えられ、さらに感染経路がわからない場合もあります。保育園や学校の部活動を通じての集団感染事例も報告されています。

 

すべての子にB型肝炎ワクチンを!

日本のB型肝炎対策は、1986年、キャリアの母親からの感染(垂直感染)予防から始まり、母子感染は減ってきました。しかし、予防スケジュールがしっかりと行われなかったり、水平感染もあることから、この対策だけではB型肝炎を制圧できない状態が現在も続いています。

B型肝炎は母子感染や水平感染だけではなく、気付かない間にかかることも多いので、WHO(世界保健機関)では、世界中の子どもたちに対して生まれたらすぐに国の定期接種として接種するように指示しています。WHO加盟国95%以上の国々ではWHOの指示通りに定期接種になっていて、B型肝炎の患者さんが激減しました。日本でも早く定期接種になることを願っています。

現在、B型肝炎ワクチンは任意接種で多くの医療機関で接種できますのでこれを機にぜひ接種していただきたいと思います。このワクチンはキャリア化を防ぎ、将来、肝がんから赤ちゃんの命を守る「がん予防ワクチン」です。生後2カ月から行うヒブ・肺炎球菌・ロタウイルスワクチンと同時接種ができます。赤ちゃんだけでなくても、幼児・学童のお子さんや身近にB型肝炎の患者さんがおられる場合などは大人でも接種をお勧めします。接種時期と回数は4週間隔で2回、さらに20~24週経ってから1回、合計3回となります。効果は20年以上続くと言われています。接種年齢は早いほど抗体上昇がよく、早い時期での接種をお勧めします。

 

赤ちゃんパワー

うちの1歳の子とバスや電車に乗り席に座っていると隣の人の多くがニコニコ微笑み声をかけてくれます。大人通しではありえないことですが、赤ちゃんには家族だけでなく、周囲の人までも和ませる力を持っています。高齢化社会で子どもが少なくなる時代に入って子どもが貴重な存在になります。今まで以上にもっと子どもたちを大切する社会になってもらいたいです。

 

参考文献

B型肝炎ワクチンに関するファクトシート  国立感染症研究所(平成22年7月7日版)

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqf.pdf

B型肝炎ワクチン作業チーム報告書

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000014wdd-att/2r98520000016rr1.pdf

VPDを知って、子どもを守ろう。http://www.know-vpd.jp/


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