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院長コラム

 コロナ禍でまだ自粛モードではありますが、コロナ感染者数が今夏をピークに急減し、先月は県内の感染者数ゼロが続きました。感染予防を考えながらも楽しみやリラックスの時間を確保するのも大切ではないかと思っています。

先月、甲府市の千代田湖近くにある武田の杜で行われたツリークライミング体験に娘と一緒に参加しました。ツリークライミングは専用のロープを利用して木に登り、自然との一体感を味わう活動です。コロナ禍のため親の参加はできませんでしたが、娘がロープを使って楽しそうに木に登っている姿や、紅葉の中散策し甲府盆地や富士山を見ることができ最高の一日になりました。

 今月は『帯状疱疹ワクチン』について取り上げます。対象年齢が50才以上になるため、多くの読者の方が対象外になってしまいますが、皆様のご両親等の健康のために参考にしていただけたら幸いです。

 

帯状疱疹とは

 水痘・帯状疱疹ウイルスの感染に伴って水痘(みずぼうそう)にかかり、治った後もウイルスが体内(神経節)に潜伏し、過労やストレスなどで免疫が低下すると、再び活性化して、帯状疱疹を発症します。発症すると体の片側に水疱を伴う紅斑が帯状に広がります。症状は痛みを伴うことが多く、3~4週間ほど続きます。治療は抗ヘルペスウイルス薬を使用します。全国では毎年約60万人が発症し、80歳までに約3人に1人が経験すると推定されています。日本人成人の90%以上は水痘・帯状疱疹ウイルスが体内に潜伏しているのでほとんどの人が帯状疱疹になる可能性があります。

 最も多い合併症として帯状疱疹後神経痛(PHN)があり、これは皮膚症状が治った後も、3か月以上痛みが続きます。50才以上で帯状疱疹を発症した人の約2割の方がかかります。

 帯状疱疹を発症した場合、接触感染によって水痘にかかる可能性があります。そのため、水痘ワクチンがまだしていない乳児や水痘にかかったことがなく、さらに水痘ワクチンもしていない人とは接触を避けてください。

 

帯状疱疹の患者数が増加傾向

 水痘は定期接種化が始まる前までは、毎年子どもを中心に約100万人がかかり、約4千人が入院、20人弱が死亡と推定されていました。2014年から水痘ワクチンの定期接種化が始まり、水痘の患者数が大きく減少しています。一方で、帯状疱疹の発症者は増加しています。宮崎県においては1997年から2017年にかけて人口は減少しているが、帯状疱疹の発症数は増加しているというデーターが出ています。

水痘ワクチンの定期接種がなかった時代は、自然の水痘が一定の割合で流行しており、自然感染による免疫の増強(ブースター)を受けて、結果的に帯状疱疹の発症を免れてきました。水痘ワクチンの定期接種により、水痘に対する免疫の低下から、帯状疱疹にかかりやすくなっていると言われています。

つまり、水痘の患者がいなくなり、免疫の増強を受けられなくなったことから、免疫を増強させる目的として帯状疱疹ワクチンがあります。

 

帯状疱疹を予防するワクチン

 帯状疱疹の予防ワクチンは「水痘ワクチン」と「乾燥組替え帯状疱疹ワクチン」の2つがあります。対象は50才以上のすべての方です。

「水痘ワクチン」は子どもが定期接種として使用しているものと同じで生ワクチンで1回接種です。50才以上に帯状疱疹ワクチンとして2016年から認可されました。「乾燥組替え帯状疱疹ワクチン」は不活化ワクチンで2回接種です。2020年から認可されました。2つのワクチンは予防効果・持続期間・副反応などで違いがあります。情報をしっかりと収集していただき、かかりつけ医に相談をし、ぜひとも前向きに接種していただくことをお勧めします。

今年1月、元横浜市長が帯状疱疹にかかり、左顔面麻痺を合併し1か月間入院したことが報道されました。ご本人は帯状疱疹にかかった痛みは「耳に鉛筆を刺されたような痛さ」であったと語っていました。

 今回の対象者は50才以上の方になります。ぜひ、対象年齢である周囲の方にお伝えいただけたら幸いです。

 

参考文献

公益社団法人 日本皮膚科学会ホームページ

予防接種に関するQ&A集 一般社団法人日本ワクチン産業協会

帯状疱疹ワクチンに関するファクトシート(平成29年2月10日版)国立感染症研究所

 先月までの暑さがうそのように秋が深まってきました。今夏はコロナの第5波により子どもの感染者も増加し心配していましたが、その後、急速に患者数が減少、気持ちが少し和らいでいます。

9月に屋内運動施設でクラスターが発生しました。このクラスターではお子さんの陽性者もいたため、地域の学校や園、そのご家庭に影響が出ました。当院のスタッフも検査の対象ではないものの、自粛して勤務を数日休みました。1人1人が意識を高く持ち、人に広げないように、特にお子さんと接する方は体調が悪い場合はコロナに罹ってなくても、接触を控える配慮をしていただけたらと願っています。

 先月、娘が校外学習に行ってきました。数日前から、バスの隣の席の子の様子や工場見学での話を楽しみにしていました。当日の朝は気持ちが高ぶり、帰ってきてからもとても機嫌がよく、いろいろな話をしてくれました。コロナ禍で様々な行事が変更される中で、予定通りに実施してくれたことに感謝したいです。

 今夏、文部科学省は2020年度の学校保健統計調査の結果を公表しました。肥満傾向がある児童の割合が高校1年を除く全学年で前年度より上昇し、県内では8歳男子でその割合が全国最高となりました。コロナ禍で家にいることが多く、運動不足などが原因と言われています。今月は子どもの肥満についてお話しします。

 

子どもの肥満はどうやって評価する?

 大人の肥満を評価するBody Mass Index(BMI)は子どもでは成長期であるため不適切とされ、子どもは肥満度で評価します。

肥満度とは『標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもの』で、【肥満度=(実測体重―標準体重)/標準体重×100(%)】で計算されます。  幼児では肥満度15%以上:太りぎみ20%以上:やや太りすぎ30%以上:太りすぎとされ、学童では肥満度20%以上:軽度肥満30%以上:中等度肥満50%以上:高度肥満と言います。ただし、乳児の肥満は多くが様子をみてよいとされています。肥満度は日本小児内分泌学会ホームページの「肥満」の中に掲示されている「肥満度判定曲線」を利用すると、身長と体重からすぐに肥満度が調べられます。肥満の多くは明らかな病気がない原発性肥満とされていますが、まれには中枢神経系や内分泌系などの病気が原因で肥満になる二次性肥満があります。

 

肥満は心理的問題にも影響する

 肥満は特に生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などが原因となり、これらは動脈硬化を促進し将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めます。さらに脂肪肝や睡眠時無呼吸への移行や、膝・腰などに悪い影響を与えますので肥満の状態を長く続けていることはよいことではありません。今まで述べたような身体的な問題だけでなく、心理的な問題も指摘されており、肥満はいじめの標的になりやすいといわれています。また自己肯定感・自尊心の低下から無気力や不登校に陥る例もあります。

 

治療法は

 子どもの肥満は大人の肥満に移行しやすいことがわかっています。肥満度が高く、年齢が高いほど大人の肥満リスクが高くなっています。子どもの軽・中等度肥満の20-45%、高度肥満の約75%が大人の肥満に移行しています。このことから早い時期からの対応が大人の肥満に移行せずに済みます。子どもの時期は肥満があっても対応が遅れがちですが、将来のことを見据えて、親がお子さんのために生活習慣等気にしていただくことが大切です。

 治療の目標は体重を減らすことではなく、過剰に蓄積した内臓脂肪を減少させて、肥満に伴う合併症の数や程度を減少させることで、まずは肥満度をそれ以上増加させないことです。

具体的には朝食の摂取・野菜の摂取・薄味・間食を与えすぎない・清涼飲料水はできるだけ与えないなどの食生活だけでなく、テレビやゲームなどの時間を1日2時間以内とし外遊びをしたり、早寝早起きの生活を心がけたり、毎日の体重測定といった生活も含めて対応することが大切です。

私の体重は長らく68kg前後で推移していましたが、数か月前70kg超えてしまい、慌てました。対策として仕事帰りに楽しみにしていたコンビニでの買い食いを止め、運動も気にするようにしたところ、以前の体重に戻りました。体重測定の大切さを実感しました。

肥満の治療は毎日コツコツ、地道な対応が大切ですので、親から子どもに強制させると長続きしません。親子で一緒にできることから始めてください。さらに専門家である医療機関と一緒に治療を進めることをお勧めします。

 

参考文献

日本小児内分泌学会ホームページ http://jspe.umin.jp/public/himan.html

小児肥満症診療ガイドライン2017

幼児肥満ガイド 日本小児医療保健協議会

第5波はこれまでより感染者数が多く、医療への影響が大きかったため先が見えない不安感がありました。ようやくまん延防止等重点措置が解除され、小中学校も分散登校なども終了し、皆が揃った学校生活を営み始めたのではないでしょうか。さらにRSウイルス感染症も落ち着きました。一方で運動会や修学旅行等、子どもの行事への影響がまだまだ強く残っており、子どものいる家族も子どもとかかわる仕事をしている方も緊張感が強くなっているでしょう。親や子どもとかかわる仕事をしている方々の精神的なストレスも心配されます。理解しあえる仲間との繋がりが心を強くしてくれます。子どもたちのためにも、ご自身の心と体の健康に目を向けて下さい。合わせて最近では感染者数増加のため、コロナ感染を心配しているお子さんが多くなった印象があります。お子さんには過度な不安を与えないように、話をよく聞き、安心させてあげる声かけが大切です。気分転換として感染に気をつけながら、秋晴れの日には公園などに出かけ、お子さんと遊んでください。コロナに加えて、運動会のシーズンになると、練習が多くなり、子どもたちは疲れています。いつもより優しく対応していただけるとありがたいです。

最近では、12歳以上のお子さんの新型コロナワクチンについて迷われているかもしれません。8月号に続き、新型コロナワクチンについて話をします。

子どもたちは接種した方がいいか?

接種するメリットは、高い予防効果・自分が免疫を持つことで周囲の人を守ることができます。デメリットは接種した部分の痛みや腫れなどの局所反応がほとんどの子どもにおこることです。頭痛・全身倦怠感・発熱などの全身反応は2回目接種後の多くの子どもにみられます。特に副反応は高齢者と比べて、思春期の子どもたち・若年成人の方が高く見られます。反応は接種翌日をピークに減少し、1週間以内にほぼ改善します。接種しないと感染しやすく、感染したら軽症や無症状でも隔離が必要となり、隔離による精神的なダメージもあります。

日本小児科学会の調査によると、新型コロナに罹患した子どもの約8割が家庭内感染であるため、親がかからないことが子どもを感染から守ることになります。そのため、子どもよりも先に親が新型コロナワクチンを接種するとよいでしょう。また、文部科学省からの報告では高校生は症状のある感染者が多く、家庭内感染が少なく、学校内感染・感染経路不明が多いと報告されています。高校生には接種をお勧めします。

家族に1人感染者が出ると、濃厚感染者として2週間の自宅待機となります。つまり仕事や園・学校は行けなくなり、経済的にも精神的にも苦痛を伴います。感染した場合のリスクを自分だけではなく、家族全体の問題として捉える必要があります。

一番大切なことは本人の同意

私が実際、お子さんの新型コロナワクチンを接種して気になることがあります。お子さん自身が接種に同意せず、嫌々受けに来ることです。お子さんが接種に不安がある場合は接種を急がせずに、親から必要性を説明したり、お子さんが気になることを聞きましょう。親子で決められなければ、かかりつけ医に相談したり、接種したお友達に聞くのもいいかもしれません。

接種時の心構え

まず、接種時の痛みはイメージしているより、あまり痛くはありません。多くの方は「えっ、もう終わったの?」と言います。今まで予防接種や採血時などで気分が悪くなったことがある方は緊張や痛みなどのストレスによって、血管迷走神経反射(血圧の低下・脈拍の減少など)が今回の接種で起こる場合があります。予防策としては座って接種せずに、横になって接種する方法もおすすめです。睡眠も十分にとって体調を整え、リラックスして臨むとよいです。遠慮せず、予診時に相談することをおすすめします。

接種した翌日は副反応の影響が一番でやすいので、なるべく予定を入れないことをお勧めします。副反応が出ている場合は部活動などの体を動かすことも控えたほうが賢明です。

授乳中の方へ

授乳中の方も接種ができ、接種すれば新型コロナ感染の予防ができます。ママが感染すれば高い確率で赤ちゃんにも感染しますので接種をお勧めします。また、ワクチン自体の成分は母乳中には分泌されませんが、接種によってママの体には新型コロナウイルスに対する抗体が母乳から分泌されるので赤ちゃんを感染から守る効果が期待できます。接種することで安心して子育てしていただきたいです。

参考文献

日本小児科学会ホームページ https://www.jpeds.or.jp/

厚生労働省ホームページ https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/

VPDを知って子どもを守ろうの会ホームページ https://www.know-vpd.jp/

昨年に続き、今年の夏もコロナ感染対策を気にしながらの夏休みでしたね。我が家も家で花火をしたり、プールに行ったり、控えめな夏を過ごしました。

今まで以上に患者数が増加している第5波での感染が気になりますが、親としては子どもに笑顔で対応できるように、ご自身の心のケアにも気遣ってください。今月は予定していたコロナワクチンについてではなく、夏前から県内でも大流行しているRSウイルス感染症について変更してお話します。RSウイルス感染症は秋から冬に流行しピークが12月から1月になることが例年の流行状況でした。昨年はコロナの影響でほとんど発生がなかったためか、県内では今年5月から患者数が増えており、7月にピークを越えた状況にあります。しかし現在(2021年8月)も当院における診療で多く見られています。

 

RSウイルス感染症って?

 咳・鼻水・熱が主な症状で、風邪と同じような症状ですが、風邪よりも咳がひどくゼイゼイして、熱が4~5日続くこともあります。2~3歳以上のお子さんは大抵症状が軽く済むのですが、0~1歳のお子さんは重症化しやすく、気管支炎・肺炎・細気管支炎になり入院することもあります。症状がおさまるまでに2週間近く続きます。潜伏期間は2~8日、主な感染経路は飛沫感染・接触感染です。

 1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%かかります。1度かかれば、2度とかからない病気ではなく、繰り返し感染します。ただ、回数が増えるほど症状は軽くなります。大人も罹り、かぜの症状と変わらないため区別できないのが実態です。

 予防は飛沫や接触によって感染するため、コロナの予防と同じで手洗い・うがいをしっかりしてください。低出生体重児・心臓や肺に基礎疾患を持つ子どもたちは「シナジス」という抗体(抗RSVモノクローナル抗体)を注射して重症化を防いでいます。

 

診断と治療について

 診断は迅速検査でわかりますが、年齢が上がると症状が軽くなり、熱も出ないと感度も悪いため検査で陰性になる場合もあり、迅速検査の限界もあります。流行期は風邪との見分けが難しいこともあるため、咳・鼻水・熱といった風邪様症状があるときはRSウイルス感染症を疑う必要があります。コロナ禍においては診断がつくことでコロナ感染でないこともわかり安心できるメリットがあります。積極的に迅速検査をしてもらうことができないと不安を抱いている方がいると思います。その理由は診療報酬の体系が迅速検査をしても診療報酬(外来時)に認められていないことが挙げられます。結果として迅速検査をしても診療報酬として認めてもらえず、検査の試薬代が医療機関側の負担になってしまっています。このような背景から園では検査をお願いしたいが医療機関では消極的になり、その間の立場にあるご両親が困惑する現状があります。こういったことを解消するには診療報酬を改訂し、診療報酬に迅速検査を認める環境を整えていくことも必要ではないかと感じています。

治療は特効薬がなく、抗生剤も効きません。但し、細菌感染の合併があるときは抗生剤を使用することもあります。通常は気管支拡張剤・去痰剤・吸入療法などの対処療法を行います。咳がひどくなる・飲みが悪いなどの症状があった場合は早めの受診をお勧めします。特に生後1~2か月のお子さんは悪化すると無呼吸や突然死につながることもあります。

 

0・1歳児を守るために園がすべきこと

 0・1歳児がいるご家庭では、RSウイルス感染症流行期は咳・鼻水などの風邪様症状がある方との接触は控えた方がよいです。合わせて家族でこのような症状がある場合はRSかもと疑い対応することをお勧めします。

園は役割として一人一人のお子さんの健康と安全を確保するだけでなく、集団全体の健康と安全を確保し、流行を最小限に留めるようにガイドラインに示されています。流行期は咳・鼻水のあるお子さんはRSを疑い、再度保護者に理解を求め、感染が収まるまで通園を控えること、保育士さんも感染源になるので同様の症状があれば休むことも必要です。登園の目安は「呼吸器症状が消失し、全身状態がよいこと」であって、咳・鼻水が収まっていない場合は感染を広げる可能性があります。

 

今後の課題

 RSウイルス感染症は保険診療の体系として医療機関が迅速検査をしやすい環境整備、予防としてのワクチン、さらに治療薬としての抗RSウイルス薬の開発ができれば、もっと子どもたちが苦しまずに生活ができるようになります。今後の研究に期待したいです。

 

参考文献

小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2021

保育所における感染症対策ガイドライン2018年改訂版

 猛暑がやってきました。今年の夏も昨年同様、マスク着用を気にしなければなりません。猛暑時は通常より熱気がマスク内側にこもり、息苦しくなりやすいため、特に幼児はマスクを外して顔の表情を確認してください。

 6月末、県内でオリンピック聖火リレーが行われました。うちの息子(大学生)が企業枠で応募し聖火ランナーの1人に選出していただいたため、沿道での応援に行ってきました。親として子どもの応援者として関わり、子どもの成長を感じ、親孝行をしてくれた息子に感謝・感無量の時間となりました。

 ここ最近、県内にてRSウイルス感染症が猛威を振るっています。RSウイルス感染症は咳・鼻水・熱が主な症状で風邪と同じような症状ですが、風邪よりも咳がひどくゼイゼイして発熱が見られたり、熱が長引くこともあります。0~1歳代のお子さんがかかると、重症化しやすく気管支炎や肺炎になって入院することがありますので、インフルエンザと同様、注意すべき病気です。園で流行した場合は重症化しやすい0~1歳児を守るために、咳や鼻水の症状があるお子さんはRSウイルス感染症の可能性があることを気にする必要があります。RSウイルス感染症にかかった場合の当園のめやすは「呼吸器症状が消失し、全身状態がよいこと」(保育所における感染症ガイドラインより)となっています。

 今年に入り、国内でも新型コロナワクチン接種ができるようになりました。医療従事者から高齢者、さらに64歳以下の方へ接種対象者が広がって、当科でもお子さんや妊娠・授乳している方はどうすればいいのか、質問が増えてきましたので、今月は新型コロナワクチンについてお話をします。

 

子どもを守るには子どもの接種より大人の接種が大切!

 日本では新型コロナウイルス感染症にかかった人が2021年7月までに約83万人が感染、約1.5万人が亡くなりました。新型コロナウイルス感染症対策としての切り札として期待されているワクチンの対象者が医療従事者・高齢者・さらに64歳以下の方へと広がっています。

 国内においては、新型コロナにかかった子どもの7割が家庭内、1割強が学校や保育所などでの感染であることがわかっています。子どもを取り巻く周囲の大人がワクチン接種することで家庭内や保育所にウイルスを持ち込まないことが重要ですので、子どもが接種する前段階として、周囲の大人である親や教師・保育士が接種し子どもたちを守ることが大切です。

 7月12日、重度障がい者や医療的ケア児を在宅で介護しているご家族が感染することで生活が立ちいかなくなることが危惧されるため、県から市町村へ早めの接種への配慮の必要性について文書にて伝えられました。対象者は遠慮せず、お住いの市町村に問い合わせをしていただければ幸いです。

 

12歳以上の子どもへの接種について

 日本小児科学会から重篤な基礎疾患のあるお子さんは重症化が危惧されるため、ワクチン接種で重症化が防ぐことが期待されること、12歳以上の健康な子どもも受ける意義があることが言われています。12歳以上の健康なお子さんの接種についてはメリットとデメリットを本人と養育者が十分に理解することが大切です。

 メリットは海外の報告で小児(12~15歳)への接種経験で、新型コロナワクチン2回接種後、ワクチン接種群で新型コロナウイルス感染症を発症したのは1,119人中0人、プラセボ群(接種していない人)では1,110人中18人でした。この報告から高い予防効果が期待できます。また、自分自身が接種によって免疫を持つことで周囲の人を守ることにつながり、大勢の人がワクチンを受けることで流行を抑えることができます。

 デメリットとして、国内の医療従事者2万人の調査の結果から接種した同日から翌日にかけて、8~9割の人が接種した腕の痛みや重み、5~6割が倦怠感や頭痛、2~3割が悪寒や筋肉痛、2割が38度以上の発熱がみられました。しかし、いずれの症状もほとんどの場合は2~3日で軽快しています。まれに接種直後にアナフィラキシーという重度のアレルギー反応が起こることがあるため、15~30分間、接種会場で様子を見る必要があります。主に若年の男性にワクチン接種数日以内にまれに心筋炎が発生することが報告されていますが、ほとんどが軽症でした。

 今後もいろいろな報告が出てきます。最新の情報を知りながら、メリットとデメリットを考えて決めていただきたいと思います。大切なお子さんの接種となると慎重になります。かかりつけの小児科医の助言もお聞きになって判断してはいかがでしょうか。来月もワクチンの話をしますね。

              

参考文献

日本小児科学会ホームページ

厚生労働省ホームページ

VPDを知って子どもを守ろうの会ホームページhttps://www.know-vpd.jp/

 

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