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院長コラム

平成30年5月号(Vol.156)
母乳育児のすすめ~Part1~

2018/05/01(更新日)

 桜も散り、春本番です。初夏を思わせる陽気になったり、気持ちのいい季節に入りました。うちは先月、18年間ずっと一緒だった第3子が県外の大学に通うため家を出ていきました。家を出る最後の日に「いろいろと面倒を見てくれてありがとう!」と言い残し旅立ちました。長いようで短い子育ての終わりです。
 先月から新しい朝ドラ「半分、青い。」が始まりました。そのヒロイン・鈴愛(すずめ)をご存知ですか?小学生の頃、おたふくかぜにかかり、左耳がまったく聞こえない状況に見舞われるも、いくつかの失敗を重ねながら、持ち前の明るさとユニークな発想力で人生を切り拓いていく人物です。片側だけしか聞こえない場合、大勢での会話ができない・スポーツを楽しめない・方向感覚が欠如する・聞き間違いをするなど生活に支障がでます。おたふくかぜにかかった片側の難聴は治療法がなく完治しません。おたふくかぜワクチン2回を接種することでこのような状況になることは避けられるため、お子さんの接種履歴を確認しましょう。
 今月は「1歳過ぎたらやめなさい」「3時間おきにおっぱいをあげた方がいい?」など周囲からいろいろと言われている母乳についてのお話をしたいと思います。

母乳と粉ミルクの違いは?

 粉ミルクは母乳に近づけるように作られており、いろいろな成分が母乳に似せています。ただ、どうしても作ることができないのが「免疫」です。この免疫が母乳には入っており、赤ちゃんから病気を守っています。母乳育児は人工栄養に比べて下痢・中耳炎・気管支炎などの感染症や喘息、アトピー性皮膚炎になりにくいというデーターが出ています。さらに肥満や糖尿病にもなりづらいとも言われています。子どもだけでなく、母乳育児をした母親は、出産後の出血量が少ない・子どもとの愛着が強くなる・乳がんや卵巣がんなどにもなりづらいということも言われており、母子両方にとってメリットがあります。
 また災害時、人工乳はお湯が必要で水があっても温める必要があります。母乳は準備が必要なく、スムーズに飲ませることができます。母乳は災害に強いです。

母乳が足りている?

 母乳がどのくらい出ているのかを正確に測ることは難しく、赤ちゃんが満足しているのか気になるものです。一般的に、赤ちゃんが元気でおっぱいをゴクゴク飲んでいる音が聞こえていれば、十分な量の母乳を飲めていることが多いです。1日に紙なら5枚以上おむつがびっしょり濡れていて、色が薄く臭いも強くないことが目安になります。飲んだ後にまだ欲しそうにしている場合は足りていないかもしれません。授乳の回数や間隔は個人差があり、1日8回から12回以上あげて構いません。間隔は3時間待った方がよいかと聞かれることもありますが、10分後に欲しがったとしても授乳しても構いません。授乳が足りているか、気になる場合は助産師さんやかかりつけの小児科医に相談をしましょう。

授乳のタイミングは?

 みなさんはいつごろ授乳をしていますか?泣いたときは遅いサインと言われ、泣いている時にあげようとするとうまく飲んでくれない場合もあります。体を
 もぞもぞと動かす・手や足を握りしめる・手を口や顔にもっていく・おっぱいをすうように口を動かすなどが空腹のサインと言われています。このことを1989年、WHO(世界保健機関)とユニセフから発表された「母乳育児成功のための10か条」に謳われています。この10か条の中には、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけ授乳をしましょう・母乳で育てている赤ちゃんには人工乳首やおしゃぶりを与えないようにしましょうなどが書かれています。
 最後に、私も会員になっているNPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会は母乳育児支援を行なう団体で産科医・助産師・小児科医などで構成され、学習会をしたりしています。この協会は科学的根拠に基づいた情報を発信していることが特徴的です。

参考文献

NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会ホームページ
http://jalc-net.jp/
ドクターKIRIKOのおっぱい育て ニライ社 桶谷桐子

 

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