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院長コラム

平成29年10月号(Vol.149)
成長曲線を上手に利用しよう!~体重編~

2017/10/01(更新日)

 先月は運動会の季節でした。運動会の練習は、例年夏休み明けから園や学校では始まります。運動会の練習に疲れ、腹痛・頭痛・学校に行きたくない・自宅で機嫌が悪くなったお子さんもいたのではないでしょうか。当院においても、毎年夏休み明けからこのような症状で受診されるお子さんがいます。
 腹痛・頭痛など体に症状が出る場合は、本人とよく話をした上で、ご両親が園や学校へ相談をして、お子さんの負担を軽減することが大切です。特に発達障がいのお子さんはより配慮が必要になります。「みんなちがってみんないい」そのお子さんができる所までに留め、できたらほめるといった対応が大切だと思います。
 先月に引き続き、成長曲線を利用しながら体重について考えたいと思います。身長と比較すると体重は変動しやすいです。体重が適切に増えていくことは子どもの成長にとって重要なことです。

子どもの体重の見方

 体重の計測は身長と異なり計測の手技による誤差はあまりありません。子どもの体重は基本的に増えていきます。生後2~4日までは体重が出生時体重より減りますが、その後は増加し続けます。このため、急に体重が減った場合は注意が必要です。特に乳児期の体重の推移は大変気を使います。体重の増えだけで判断するのではなく、お子さんの活気・食欲・熱など総合的に判断することが必要です。服の有無で体重が前後する場合があるため、子育て広場やショッピングモールで体重を測る場合は、おむつだけの状態で測るようにしましょう。

乳児期の体重はとても気を使う

 離乳食が始まるまでは、母乳だけでいいのか粉ミルクを足すべきかを迷うケースが多々あります。体重が適切に増えていれば、安易に粉ミルクを足す必要はありませんが、増えが悪い場合は粉ミルクを足して増えているかを確認します。身長・体重が成長曲線の帯の一番下を推移している場合、帯の中に入っていれば異常ではありません。また、母乳育児の場合、母乳が足りているか不安になり、夕方から寝る前にかけて粉ミルクを足す方が見られますが、体重が適切に増えている場合は安易に足す必要はありません。個人個人で成長が違いますので、気になる場合は小児科医・助産師・保健師に相談することをお勧めします。

体重が増えていない場合

 母乳だけにこだわり過ぎて体重が減っている赤ちゃんがいます。体重が増えていないお子さんは泣く力も弱いため、授乳して最初は吸っていても、途中で疲れて吸うのを止める場合があります。母親が母乳で育てたいという気持ちを尊重しながら、必要に応じて粉ミルクを足すことも大切です。乳児期の1年間は体重が3倍に増え、目に見えない脳・内臓などの臓器が急激に育つ時期です。
 母親がリラックスし快適に抱いているか、おっぱいを深く含ませているかといった与え方が適切でないと赤ちゃんも上手に母乳を吸うことができません。赤ちゃんの母乳の飲み方も確認してみてください。
 体重が増えない他の要因としては、食物アレルギーを気にしすぎて自己判断で食物を数種類除去している・適切に食事を与えない虐待・ぜんそく発作を繰り返している等が挙げられます。この場合は適切な治療をして、食事を提供ことで体重が増加します。

体重が急激に増える場合

 体重の急激な増加の多くは、間食の問題やゲーム中心の生活による運動不足から、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために起こる「単純性肥満」です。子どもの肥満は成人肥満のもとになり、将来的に2型糖尿病・脂質異常症・高血圧などの生活習慣病に進行します。小児科の肥満外来では専門的なアドバイスを行なっています。親子だけで気をつけるより医療機関と連携した方が効果的です。肥満はできるだけ早い時期に改善した方がよいことがわかっています。最近では小学校の『健康の記録』において、成長曲線が活用されています。当院においても、小学校からの指導により肥満外来につなげたお子さんがいます。長期の休みを活用して、肥満を克服することは大切です。

平和について考える

 最近、連日北朝鮮のニュースが取り上げられています。不安を抱いている方も多いと思われます。70年前、日本は原爆を落とされ敗戦しました。戦争で多くの命が亡くなりました。同じ過ちを犯すことは決して許されません。歴史が証明するように、一度始まった戦争を止めることはなかなかできません。現状をみんなで考えていくことが今必要です。

 

参考文献

現場で役立つラクラク成長曲線 診断と治療社

日本小児内分泌学会ホームページ

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