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院長コラム

平成22年7月号(Vol.63)
アトピー性皮膚炎を見直そう!

2010/07/01(更新日)

暑い夏がやってきました。海や山へと楽しい計画を立てる方も多いと思いますが、くれぐれも水の事故には注意して下さいね。

 さて、全国に先駆けて山梨県全市町村で子宮頸がんワクチンの全額助成が制度化されました。うれしい限りです。対象者は小6・中3の女子です。対象者の方は必ず接種しましょう。ワクチンだけでなく、20歳以上の女性の方は子宮がん検診も大切ですので、忘れずに受診して下さい。

また、今月11日の参議院選挙が決まりました。先月は首相がまた変わり、「また?」と驚きました。政治に関心を持ち、みなさんの一票をしっかりと国政に反映することがよりよい社会にする一歩です。仕事や子育てで忙しいと思いますが、子どもを連れて投票所に行き、子どもに選挙の話をしてください。

今月は5月に行われた日本アレルギー学会に参加して学んだ「アトピー性皮膚炎」についてお話します。

 

Q1. アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

アトピー性皮膚炎は「増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」とガイドラインには書かれています。つまり、かゆみを伴う発疹がよくなったり悪くなったりを繰り返す病気で、主に顔・首・ひじの内側・ひざの裏側などにできます。本人や家族の多くは喘息、アレルギー性鼻炎、じんましんなどのアレルギーの病気を持っています。

アトピー性皮膚炎の発症率は、平成18~20年度厚生労働科学研究によると生後4ヶ月で16.2%でした。多くは乳幼児・小児期に発症し、年齢とともに減り、一部の人は大人まで症状が続くと言われています。先ほどの研究の中で生後4ヶ月にアトピー性皮膚炎を発症したお子さんの70%が1歳6ヶ月には治ったという興味深いデーターがでました。生後2~3ヶ月でアトピー性皮膚炎にかかっても多くは1歳過ぎに治るということです。

 

Q2. 診断法

 アトピー性皮膚炎は血液検査だけで診断できるものではありません。かゆみを伴う発疹が顔・首・ひじの内側・ひざの裏側などに繰り返しでき、乳児では2ヶ月以上、1歳以上では6ヶ月以上続いた場合に診断されます。特異的IgE抗体価といった血液検査は絶対的な検査、つまり陽性=アトピー性皮膚炎であるとは言えません。この検査結果は参考程度と考えてください。この誤解は日頃診療していてしばしば経験します。

 さらに、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎との違いについてもよく質問されます。乳児湿疹は乳児期におこる湿疹を言い、乳児湿疹の中にアトピー性皮膚炎や乳児脂漏性皮膚炎などの病気が含まれると考えてください。

 

Q3. アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの関係は?

 アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、どちらもアレルギーという病気に含まれますが、2つの病気は別々と考えてください。両方の病気にかかってしまい、合併していることもあります。

アトピー性皮膚炎になると、子どもの食事をどうしたらよいか心配になりますが、アトピー性皮膚炎の原因は食物だけでなく、ダニ・ほこり・ペット・汗・乾燥などのさまざまな原因が絡み合っています。乳児期では離乳食をどう進めたらよいか心配になりますが、普通のお子さんと同じように離乳食を始めて構いません。卵などを食べて皮膚の悪化がみられるようであれば、かかりつけ医と食物制限が必要か相談をしてください。くれぐれも素人判断での食物制限はやめてください。過度の食事制限でお子さんの成長などに問題がでることがありますし、食事制限を続けることは家族に大きなストレスがかかります。

親がアトピー性皮膚炎だと、子どもが発症しないか不安になるのは当然のことだと思います。現在のところ残念ながら予防法はなく、妊娠中や授乳の時に母親が卵などを制限することでの予防効果はありません。

 

来月は「アトピー性皮膚炎の標準治療」についてお話します。

 

参考文献

アトピー性皮膚炎 診療ガイドライン2009(日本アレルギー学会作成)

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